ページ番号を入力
本文
現在、新潟県で生産されているマイタケやナメコ、シイタケなど食用きのこの大半が菌床栽培で生産されていますが、菌床栽培の原材料であるおが粉などの培地基材の不足と価格高騰など経営を取り巻く環境が厳しくなっています。
また、生産現場では、菌床栽培後に廃菌床が多く発生しており、その処理に大きなコストがかかっております。
このため、菌床栽培のおが粉の代わりに廃菌床を再利用できれば、廃菌床の処理やおが粉購入等のコスト低減につながると考えました。
食用きのこのうち、ナメコとシイタケは、本県にとって重要な品目であり、また、おが粉を用いた菌床栽培や原木を使った栽培で、いずれもコナラなど広葉樹を使って生産が行われております。
このことから、ナメコ菌床とシイタケ菌床は親和性があり、ナメコ菌床栽培でシイタケ廃菌床が利用しやすいのではないかと想定しました。このため、ナメコ栽培のおが粉に代わる資材としてシイタケ廃菌床の再利用の可能性やその置き換え(以下、置換)率を検証しました。
今回の栽培試験で使用したシイタケ廃菌床は、屋外で乾燥後、粉砕機で粉砕し、使用時まで約3度以下の暗所で屋内保存しました。
栽培試験のコナラおが粉へのシイタケ廃菌床の置換率など培地の設定は、表1のとおりです。
それぞれ設定した培地で、メーカー品種と新潟県が開発した「新潟森研Pn1号」の従属品種である「11―1」を使って栽培試験を行いました。
表1 ナメコ栽培試験の培地設定
栽培試験の結果の概要は表2のとおりです。
きのこ(子実体)の収量については、廃菌床の置換率10%、20%、30%の場合、廃菌床を置換していない培地(置換率0%、以下同様)と比較して、置換した培地の方が収量の増加がみられました。
また、置換率70%、100%の場合、廃菌床を置換していない培地に比べ収量は劣るものの、おが粉の代わりに廃菌床を利用できることが分かりました。
また、菌掻きから収穫までの生育日数は、置換率20%、30%で最短となり、置換率が増加するにつれ、生育日数が延長していく傾向にありました。しかし、生育日数の延長が最大となる置換率100%であっても1日程度の延長となっており、廃菌床の置換率は生育日数に大きく影響していませんでした。
表2 栽培試験の結果
試験研究へ廃菌床を提供いただいた、きのこ生産者の皆様にはこの場を借りて感謝申し上げます。
今後も皆様に研究成果をお知らせできるように、引き続き栽培試験を行っていきます。
写真 「11-1」品種を使った置換率30%の発生の様子
きのこ・特産課 島津 桃子