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【農業技術・経営情報】野菜:育苗ハウスの利活用、トマトやなすのコンテナ栽培

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0404257 更新日:2021年2月1日更新

 園芸導入の一方法として、稲作経営体の経営資源である水稲育苗ハウスを活用したコンテナ栽培があります。これは水稲育苗の終了後に、培地が入った球根コンテナをハウス内に並べ、日々必要な養水分を点滴チューブで供給する栽培方法です。そこで県内の取組事例から栽培する時の注意点を紹介します。

1 コンテナ栽培用機器の導入状況

 平成26年までに県内20JAの管内にOTA社製のシステム63台が導入され、ハウス活用面積は306aとなり年々増えています。栽培されている品目は、主に中玉トマトやミニトマトで、25 年に初めていちじく栽培が導入され、26 年からはなす栽培が始まりました(表1)。

表1 養液土耕栽培システムの導入状況
表1「養液土耕栽培システムの導入状況」
平成26年11月 全農にいがたより聞き取り
他に全農以外から約15台導入されている

 

2 品目と作型

 水稲の育苗が終了してからの栽培のため、5月定植の夏秋作型と6月定植の抑制作型になっています(表2)。栽培品目は価格が事前に決まっている契約中玉トマトやミニトマト、あるいはJAの販路がしっかりしているミニトマト、中玉トマト、丸なすとなっています。

表2 県内の主な品目と作型
表2「県内の主な品目と作型」

 

3 栽培上の注意点

(1)
夏秋作型及び抑制作型は夏期の高温期に生育し収穫を迎えるため、ハウス内環境を整える必要があります。遮光資材を被覆し換気を行っていても、太陽光の入射とともにハウス内気温が40℃程度に急激に上昇し、相対湿度は低下します(図1)。遮光資材を被覆するほかに、ハウス出入り口やハウスサイドを目一杯換気し、更に妻部を除去し通風と排熱を促し、必要により換気扇や循環扇を設置して換気効率を高めます(写真1)。

図1 ハウス内の温度・湿度の推移
図1「ハウス内の温度・湿度の推移」のグラフ
小千谷ハウス内 8月4日 曇り

 

写真1 妻部の開放で排熱
写真1「妻部の開放で排熱」

(2)
害虫の進入を防ぐためにハウスサイドに寒冷紗等を設置しているハウスは、通風が悪く自然換気のみではハウス内部が異常な高温になるので、換気扇による強制換気が必要になります。

(3)
誘引方法は長段収穫に向け斜め誘引とします。誘引用ひもと支柱を縦横に配置し主枝を斜めに誘引します。生長点を最大限に換気できる高さ以内に収まるよう誘引角度を決めます。誘引角度は概ね45°程度です。

(4)
養液管理は生育ステージ別の目安表を事前に作成し、生育状況と気象を加味しながら給液量を加減します(表3)。養水分の吸収状況を把握することとトラブルの事前発見のためにもモニタリングは必須事項です。

表3 夏秋作型での給液量の目安
表3「夏秋作型での給液量の目安」

(5)
コンテナは地面に直接置かず、育苗箱や部材の上に置いて、地面との隙間をつくります(写真2)。
隙間があることにより、土壌病害からの回避、水分過多による根腐れ防止になります。

写真2 育苗箱で地面と隙間をつくる
写真2「育苗箱で地面と隙間をつくる」

(6)
1段花房下は葉が混むため、数回に分けて下葉かきをします。下葉かきが遅れると通風が悪くなり気根が発生し、気根が床面に突き刺さると接ぎ木の効果が無くなるので注意が必要です(写真3)。

写真3 気根が発生しやすい
「写真3気根が発生しやすい」

(7)
栽培開始にあたっては、使用する水質や電源、ハウスの構造等の確認が必要ですので、農業普及指導センターに事前に相談して下さい。

 

【経営普及課 農業革新支援担当 大箭 隆一】

 

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