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【農業技術・経営情報】大豆:大豆「里のほほえみ」の安定生産に向けて

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0345644 更新日:2021年2月1日更新

 新潟県では、大豆の晩生新品種「里のほほえみ」の導入が進んでいます。平成25年当初は県内の一部で作付けされていましたが、平成29年には本県作付面積の25%を占める約1,200haまで拡大し、平成30年には約6割となる3,000haが見込まれています。「里のほほえみ」は大粒でしわ粒の発生が少ないこと、収穫の際に莢がはじけにくく実収量が高いことなど優れた特性を持っています。その一方で、今まで栽培の多かった「エンレイ」とは異なる特徴もあるので、品種特性に応じた栽培管理が大切です。「里のほほえみ」の高品質安定生産に向けて、以下の点に注意して栽培しましょう。

1 は種機は大粒に対応させ、は種は6月に入ってから!

 「里のほほえみ」をは種する時に注意する点は以下の3つです。

  1. 種子が大きいため、は種機の部品や設定を大粒用に交換・調整します。
  2. 皮切粒(裂皮)が発生しやすいので早播きは避け、6月に入ってからは種します(図)。
  3. 疎植では茎が太くなりやすく、密植では倒伏するので、栽植密度は平方mあたり13本程度を目標として、地域や地力に応じて平方mあたり9本~18本の範囲で加減します。

  「里のほほえみ」に限りませんが、種子塗沫剤を処理した大豆種子は、処理後の乾燥が不十分になると、は種作業中には種機内に薬剤が付着して固まり、種子詰まりを起こす場合があります。塗沫処理後の種子は十分に乾燥して、蒸れないように紙袋等に入れて保存します。休憩などでは種作業を中断する際は種子ホッパーの蓋を開けるなどして蒸れによる薬剤の溶け出しを防ぎましょう。種子ホッパーの内部や目皿付近はこまめに清掃し、無溶剤(ドライ)タイプのシリコンスプレーを吹きかけておくと薬剤の付着が低減されます。

図播種時期別の皮切粒発生程度のグラフ
図 播種時期別の皮切粒発生程度(平成27年度新潟作研)

2 開花期頃から葉焼病など病害虫の発生に注意

 開花期以降に強風や降雨が多いと葉焼病が多くなります(写真1)。「里のほほえみ」は「エンレイ」よりも葉焼病が発生しやすいため、開花期頃の早い時期から発生が見られる場合は防除を行います。開花期の発病葉率が高いほどその後の発病や減収等の被害程度が大きくなります。葉焼病は発生初期の防除で効果が高いので、開花期頃に葉焼病の発生有無を確認して防除の判断を行いましょう。

写真1大豆の葉焼病の写真
写真1 大豆の葉焼病

 「里のほほえみ」は大柄な晩生品種であるため、生育途中から中生の「エンレイ」よりも旺盛な生育を示します。ウコンノメイガなど食葉性害虫は生育の旺盛な大豆に集まる傾向があるので、「エンレイ」の近くで栽培されている場合は、害虫の発生に注意します(写真2)。

写真2ウコンノメイガによる葉巻の写真
写真2 ウコンノメイガによる葉巻

3 「里のほほえみ」収穫のポイント

  「里のほほえみ」は「エンレイ」より7~10日程度熟期の遅い品種です。晩生品種は秋季の気温が低くなるため成熟の進みが緩やかになります。莢がはじけにくい難裂莢性の特徴を持ちますが、適期の収穫を心掛けましょう。収穫が遅れるほどしわ粒が多くなることが確認されています。成熟期は莢の大部分(全株の80~90%)が褐変した時です。収穫は子実水分が22%以下、茎水分が60%以下になったら開始します。子実水分や茎水分の低下をほ場でよく観察し、成熟期や収穫適期をこまめに確認しましょう。

 コンバイン収穫の注意点として、大豆のボリュームやコンバインの能力に応じた速度で収穫することが大切です。「里のほほえみ」は大柄で茎も太いため、刈取速度が早すぎると機械の詰まりや脱穀不良による収穫ロスが発生します。適正な速度で安全な作業を心掛けましょう。

4 まとめ

 新潟県を含む北陸の他、東北や関東でも「里のほほえみ」の導入が進んでおり、「里のほほえみ」の生産が全国的に拡大しています。品種としてロットがまとまることは実需者や消費者への認知が進み、ブランド品種化も期待できます。平成30 年には県内で「里のほほえみ」の大幅な作付拡大が見込まれています。前述の留意点に注意しながら、「里のほほえみ」の高品質安定生産に取組みましょう。

 

【経営普及課農業革新支援担当 服部 誠】

 

 

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