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【農業技術・経営情報】そば:そば栽培における耕うん同時畝立て播種技術について

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0346118 更新日:2021年2月1日更新

 新潟県内は7月下旬頃からそばの播種が始まります。そばは生長が早く、播種から約2か月半で成熟して収穫されます。短い栽培期間で適正な生育量を確保し、高収量を得るためには、良好な出芽・苗立ちが不可欠です。

 近年、大豆で広く普及した「耕うん同時畝立て播種技術」は湿害回避に有効な播種方法であり、そばにおいても導入が推進されています。以下に畝立て播種技術について紹介するので、今年度から取り組んでみませんか。

1 耕うん同時畝立て播種技術

 「そば」は極めて湿害に弱く、特に水田転換畑では栽培期間を通して良好な排水が求められます。耕うん同時畝立て播種は、畝立てによって播種位置が高くなり、排水性の悪いほ場では出芽時や生育期の湿害軽減が図られます。また、耕うんと播種が同時作業であり、適湿土壌条件下で播種まで完了できることから、出芽・苗立ちが均一に揃います。大豆の耕うん同時畝立て播種で使用しているアップカットロータリーについては、ロータリーに記載されている配列図に従って耕うん爪を組み替えることで、高さ10~15cm程度の平高畝を形成することができます。そばの畝立て播種では、形成された平高畝上に条間25~30cmで5~7条播種します(図1)。

図1耕うん同時畝立て播種(左:作業幅170㎝の畝の形状、右:播種作業)の写真
図1耕うん同時畝立て播種(左:作業幅170cmの畝の形状、右:播種作業)

2 耕うん同時畝立て播種技術の排水のしくみと増収効果

 アップカットロータリーによる耕うんでは、レーキを通過する細かい土が表層に集まり、粗い土塊は下層に移動します。そのため、降雨後の排水性が良く、栽培期間を通じて湿害が回避されます(図2)。ただし、突然の豪雨に備え、たとえ畝立て播種であっても畝間に溜まった雨水が迅速に排出されるように周囲明渠の施工は必ず行なってください。 

図2アップカットロータリーの模式図(左)と畝立て播種による降雨直後のほ場状況(右)の写真
図2アップカットロータリーの模式図(左)と畝立て播種による降雨直後のほ場状況(右)
◎畝立て播種の場合、降雨直後は畝間に停滞水が見られるものの、迅速に周囲明渠に排水される。

 耕うん同時畝立て播種と慣行播種の収量を比較した現地試験結果を図3に示します。耕うん同時畝立て播種は慣行播種と同等以上の収量が得られました。また、排水性が悪く湿害を受けやすいほ場ほど、本技術の実施により増収効果が大きくなることもわかってきました。

図3そば畝立て播種の慣行栽培と比較した収量のグラフ
図3そば畝立て播種の慣行栽培と比較した収量
(中央農業総合研究センター北陸研究センター資料より図を引用)

3 播種量の設定

 そばの適正な栽植密度は、平方メートル当たり苗立ち数で100~120本です。種子の発芽率を80%とすると平方メートル当たり125~150粒の播種数になります。条播の場合は1条あたりの播種数に換算して播種機の設定を調整しましょう。種子の大きさには年次変動があるので、調整は毎年行いましょう。

 

<参考資料>

「耕うん同時畝立て作業技術」大豆・麦・そば・野菜等への利用」
(独)農研機構 中央農業総合研究センター北陸研究センター

 

【経営普及課農業革新支援担当 服部 誠】

 

 

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