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【農業技術・経営情報】作物:高窒素鶏ふんペレット肥料について

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0340633 更新日:2021年2月1日更新

 密閉縦型発酵装置によって製造された高窒素鶏ふんペレット肥料については、他県では既に実績のあるところです。今回、より低価格が期待できる県内産の高窒素鶏ふんペレット肥料をコシヒカリの基肥や穂肥に使った実証を行いましたのでご紹介します。

1 高窒素鶏ふんペレット肥料とは?

 高窒素鶏ふんペレット肥料は密閉縦型発酵装置によって窒素拡散を極力抑え製造されたもので、従来の発酵鶏ふんに比べて、土壌中で速やかに分解される特徴があります(図1 )。
 形状は4mm×8mmのペレット(写真1 )で、コシヒカリ栽培では、施肥成分量・施用時期については化学肥料と同様に扱うことができると言われています。

図1堆肥の土壌中分解過程(平成24年 作物研究センター)
図1堆肥の土壌中分解過程(平成24 年 作物研究センター)

 

写真1高窒素鶏ふんペレット肥料の形状
写真1 高窒素鶏ふんペレット肥料の形状

 新潟県農業総合研究所作物研究センターでも、平成 21 年~ 25 年にかけて試験が行われており、高窒素鶏ふんペレット肥料のみでコシコカリの栽培が可能で、収量・品質・食味とも慣行の化学肥料と同程度に確保できると評価されています(平成 26 年度研究成果情報 )。

 

2 現地実証の概要

(1)実証ほの概要

 現地実証は十日町市と長岡市で行いました。十日町市では基肥や穂肥に高窒素鶏ふんペレット肥料を使い、従来の肥料と比較しました。また 、 長岡市では、基肥一発肥料体系の追加穂肥に高窒素鶏ふんペレット肥料を使い効果を見ました(表1)。

表1施肥設計

(2)実証結果:十日町市

  • 高窒素鶏ふん施用区での生育(草丈、茎 数、葉色)は、従来の肥料を施用した区と比べてやや劣る傾向でした。また穂数や籾数、収量も高窒素鶏ふん施用区でやや劣る傾向が見られましたが、登熟歩合や千粒重は同程度でした(表2)。

表2収量および収量構成要素

  • 玄米タンパク質含有率や整粒歩合に大きな差は見られず(表3)、高窒素鶏ふんは従来の肥料に準じて使用しても問題ないことが確認できました。

表3品質

  • 但し、今回使用した肥料は形状が大きく、動力散布機での施肥に適さないことや施用量が多いことから、作業時間は長くなりました。

(3)実証結果:長岡市

  • 高窒素鶏ふんを穂肥2回目の時期に追肥した区では、見た目の差は小さかったものの、散布1週間後頃から葉色を示す SPAD 値に差が見られ始め、その後 SPAD 値が3程度高く推移しました(図2)。

図2葉色( SPAD 値)の推移(長岡市)
図2 葉色( SPAD 値)の推移(長岡市)

  • 収量は高窒素鶏ふんを施用した区で高く、収量構成要素のうち穂数は無施用の区と同程度でしたが、高窒素鶏ふんを施用した区では一穂籾数や登熟歩合、千粒重が高まりました(表2)。
  • また、整粒歩合も高窒素鶏ふんを施用した区で高く、玄米タンパク含有率も 5.6 %と問題ないなど(表3)、基肥一発肥料体系における追加穂肥としての高窒素鶏ふんの効果が確認できました。
  • 但し、作業性は十日町市と同様に問題が残りました。

 

3 最後に

 実証を通じて、高窒素鶏ふんペレット肥料を基肥や穂肥に使用することについて、栽培面では大きな問題は見られませんでした。但し、穂肥として利用するには作業性が悪く、形状の改良などによる動力散布機への適応が課題として残りました。
 今回使用した高窒素鶏ふんペレット肥 料は、新潟県内ではわずかに生産されている程度で入手が困難な状況ですが、他県産の密閉縦型発酵装置によって製造される鶏ふんも市販されています。
 鶏ふんは安価な肥料という大きなメリットがある注目の肥料です。上手にご活用下さい。

 

【経営普及課 農業革新支援担当 吉川 力】

 

 

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