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【農業技術・経営情報】作物:最新の研究成果から ~メッシュ気象推定値を利用したコシヒカリの稚苗移植晩限マップ~

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0344875 更新日:2021年2月1日更新

 農業総合研究所基盤研究部が現在取り組んでいるメッシュ気象推定値を用いた研究について、これまで得られた知見を以下に紹介します。

1 メッシュ気象推定値とは

 メッシュ気象推定値とは、アメダス観測値を基に、東西1km×南北1km の範囲(以下、メッシュと呼ぶ)を基本単位として作成された気象データの推定値です。それぞれのメッシュには位置情報としてコード番号が付けられています。
 メッシュ気象推定値には気温、湿度、日照時間、日射量、降水量、風速などの種類がありますが、特に「日平均気温」は概ね実測値±0.5℃の高い推定精度があり、現在のところ最も実用性が高い気象推定値とされています。
 農業総合研究所では現在、研究目的で独立行政法人・農研機構・中央農業総合研究センターからメッシュ気象推定値を入手していますが、将来的には誰でも手に入れることができるようになるとのことです。
 実際には図1のようなイメージでデータが提供されています。図1に示す通り、1kmメッシュには固有の8桁の番号(メッシュコード)が割り振られており、メッシュコードがわかれば、そのメッシュ内の各日付の気温等のデータを知ることができます。

図1メッシュ気象推定値の提供イメージの画像
図1 メッシュ気象推定値の提供イメージ

2 メッシュ気象推定値の利活用方法

 図2に示すように、日平均気温の実測値とメッシュ気象推定値はほぼ一致しており、非常に精度が高いことがわかります。
 メッシュ気象推定値から、アメダス観測点の情報だけでは得られない細かな気象値の分布を知ることができます。
 気象と作物の生育や生長との関係が明らかになっていれば、約1km 四方の細かさで作物の生育状況や被害状況等を推定することができます。
 また、メッシュ気象推定値と被害状況等から生育阻害要因をこれまでより詳細に解明することが可能になります。
 メッシュ気象推定値を利用することにより、気象条件と水稲の生育や品質等の関係をより詳細に解析することができると考えられます。

図2日平均気温の実測値とメッシュ気象推定値の相関 の画像
図2 日平均気温の実測値とメッシュ気象推定値の相関

3 メッシュ気象推定値を利用したコシヒカリの稚苗移植晩限マップ

 農業総合研究所基盤研究部では、メッシュ気象推定値を利用してコシヒカリの稚苗移植晩限マップを作成しました。

 移植の晩限は、出穂後40 日間の日平均気温が20℃を確保できる出穂日をまず特定し、次にDVR法を用いて、この出穂日と日平均気温から、コシヒカリの稚苗がこの出穂日に出穂する移植日を逆算して求めました。
 表1は、こうして求めた新潟県内の各アメダス地点におけるコシヒカリの稚苗移植晩限日と出穂晩限日です。
 ただし、表1は葉齢2.5葉の稚苗を想定して導き出した結果であり、乳苗や老化苗等では成熟日が前後することがあるので注意が必要です。

表1アメダス地点におけるコシヒカリの移植の画像
注)昭和56~平成22年のメッシュ気象推定値
(農環研)の平年気温を基に算出


 図3は、1kmメッシュ単位で移植晩限日をマップ化したものです。この移植晩限マップを参考にすることで、任意の地域でコシヒカリの作付け可否が判断できます。
 このマップは、農業総合研究所のホームページで公開されることになっており、近日中にどなたでもGoogle mapで閲覧できる予定です。

図3コシヒカリの稚苗移植晩限マップの画像
図3 コシヒカリの稚苗移植晩限マップ @Google

 

【経営普及課 農業革新支援担当 小林 和幸】

 

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