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【農業技術・経営情報】病害虫:雑草管理の徹底で斑点米を減らそう

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0397334 更新日:2021年2月1日更新

 玄米がカメムシに吸汁された食害の痕は、黒色や茶色に着色した斑点米になります。農産物検査で、玄米の一部や全部が着色した着色粒(斑点米もこれに含まれる)の混入割合が0.1%を超えると2等米、0.3%を超えると3等米、0.7%を超えると規格外となります。
 平成25年は7月1日と16日の2回、斑点米カメムシ類の多発生に関する注意報が発表され、雑草管理と適期防除の実施を呼びかけたものの、斑点米の発生は平年に比べやや多くなりました。
 斑点米カメムシ類の発生には雑草の生育が大きく影響し、雑草を適切に管理すれば斑点米の発生を減らすことができます。そこで斑点米対策としての雑草管理を紹介します。

1 イネ科植物の種子は斑点米カメムシ類の大好物

 斑点米カメムシ類のアカヒゲホソミドリカスミカメ、アカスジカスミカメは幼虫の時に良質な餌で育つと、成虫の体が大きくなり多くの卵を産むようになります。斑点米カメムシ類の多くにとってイネ科植物の種子は良質な餌であり、雑草管理を行わない畦畔ではいろんな種類のイネ科雑草が次々と出穂・結実するため絶好の増殖の場になります。一方、出穂していないイネは餌として適していないため、イネが出穂するまでの間、斑点米カメムシ類は畦畔などの雑草地で発生・増殖し、イネが出穂すると水田内に侵入してイネを加害します。

2 畦畔雑草の除草でカメムシの密度抑制

 図は畦畔の草刈りが、アカヒゲホソミドリカスミカメの発生消長に与える影響を示しています。6月9日に草刈りをしただけのA区(図の上)では、イネ科雑草の再生に伴って7月中旬にカメムシの成虫が集まり、次世代の幼虫数が7月下旬以降に急増しています。しかし、草刈りを6月9日と7月14日に行ったB区(図の下)では、7月中旬の成虫数が少なくなり、イネの登熟期間全般に成幼虫とも少なく推移しています。図はアカヒゲホソミドリカスミカメの事例ですが、アカスジカスミカメやオオトゲシラホシカメムシでも、6月中旬から8月中旬までの雑草管理を徹底することで、斑点米の発生を抑えることができます。
 このように、斑点米カメムシ類の密度を抑制する方法として、草刈りは有効な手段です。カメムシに良質な餌を与えないよう、5月下旬からイネ科雑草が結実しない間隔(およそ3週間)で、農道・畦畔等の除草を行います。地域で一斉に草刈りを行う場合は、6月中旬~下旬と7月中旬~下旬の2回行います。

「水田畦畔雑草の刈取りによる畦畔におけるアカヒゲホソ」の図
図 水田畦畔雑草の刈取りによる畦畔におけるアカヒゲホソミドリカスミカメの発生消長の変化
(平成13年、作物研究センター:水稲栽培指針、平成23年新潟県農林水産部より)

 

3 畦畔雑草の管理で薬剤の防除効果も高まる

 茎葉散布剤で薬剤散布を行う場合、畦畔雑草を短い状態にしておくと、畦畔雑草が繁茂している状態に比べ畦畔にいるカメムシ類に薬剤が届きやすくなり、薬剤の防除効果が高まることが期待できます。

4 登熟期間中の除草には注意が必要

 雑草管理がおろそかで畦畔でカメムシが多く発生してしまった場合、イネの登熟期間中に草刈りを行うと、生育に好適な環境を失ったカメムシ類を水田内に追い込み、斑点米の発生を助長することがあります。このような場合には、草刈り後数日以内に水田・畦畔に茎葉散布剤の散布を行います。そのために、あらかじめ天気予報を確認し薬剤の散布が可能なスケジュールで草刈りを行います。
 イネ科雑草が結実しないように管理してきた畦畔では、カメムシ類の密度が低く維持されているので、登熟期間中に草刈りを行っても斑点米の発生を助長する心配はありません。また、年間を通してイネ科雑草が出穂しないように維持することで、カメムシ類の発生量を常に低く抑えることができます。

5 水田内の雑草も斑点米の発生原因に

 アカスジカスミカメは、イヌホタルイなどのカヤツリグサ科雑草やノビエの穂を好みます。水田内でこのような雑草が出穂すると、アカスジカスミカメが集まり、産卵・増殖します。また、ホソハリカメムシ、クモヘリカメムシもノビエの穂を好みます。水田内でこれらの雑草が繁茂すると斑点米が多発生しやすいため、本田の雑草対策を適切に行ってください。

 

【経営普及課 農業革新支援担当(病害虫) 石川 浩司】

 

 

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