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【農業技術・経営情報】病害虫:ダイズ葉焼病の防除対策

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0351621 更新日:2021年2月1日更新

 平成29年度に里のほほえみを中心に、ダイズ葉焼病の多発ほ場が各地で確認されました。これまでエンレイでは葉焼病の発生が問題となることはなく、防除対象となっていませんでした。しかし、里のほほえみはエンレイより葉焼病が発生しやすく、今後も発生して問題となる可能性があります。そこで、発生生態と防除法について紹介します。

1 発生生態

 葉焼病は病原細菌(Xanthomonas axonopodis pv.glycines)による病害で、病原細菌は種子伝染するほか、被害茎葉で越冬し、ダイズの生育期に風雨で運ばれ、気孔や傷口から侵入します。

 主に葉が侵され、始めは葉に淡緑~紅褐色の小さな斑点性の病斑が現れ、次第に拡大して周囲が淡黄色で褐色~黒褐色の不整形の病斑になります。激しく発病すると葉全体が焼けたようになり、落葉・枯死に至る場合もあります。

 早期から発病すると減収や小粒化などの被害につながります。

2 平成29年度の発生

 8月中旬頃から発病が認識されるようになり、8月末から9月には離れたところからダイズほ場が茶色く見えるほどになりました。このようなほ場でも激しく発病しているのは最上位葉で、中位~下位葉の病斑数は少ない状態でした(図1)。

図1葉焼病の発生状況の写真
図1 葉焼病の発生状況

 県内各地の里のほほえみを栽培するほ場では、9月20日頃の発病程度と百粒重や収量との間には明瞭な関係は認められませんでした。ほ場によって本来の収量レベルが違う可能性があるため断定は出来ませんが、中位葉以下の被害が大きくなかったため、見た目の発病程度の割に小粒化や減収などの影響がなかったのかもしれません。

図2発病程度と少粒化、減収(平成29年)のグラフ
図2 発病程度と少粒化、減収(平成29年)

3 被害

 汚染種子の混入割合が高いほど早くから発病し、その後の発生程度も高く推移します。また、開花期の発病葉率が高いほど減収が多く、小粒比率も高くなります。福井県のエンレイにおける試験では、開花期の発病葉率10%で約5%減収、発病葉率25%で約19%減収するとされています。

 被害には最終的な発病程度だけでなく発病経過も大きく影響し、9月末の発病程度が同程度でも、早期から発病したり、途中の発病程度が高く推移するほど被害が大きくなります。

4 防除対応

(1)被害茎葉が伝染源となり連作で多発生しやすいため、連作を避ける。

(2)種子伝染するため、葉焼病が発生していないほ場の種子を使用する。

(3)早期から発生し多発生が予想される場合は薬剤防除を実施する。

ア 防除薬剤
 他県の試験事例では、Zボルドー、フェスティバルC水和剤の効果が認められており、防除にはこれらの薬剤を使用します。

イ 防除時期
 葉焼病は発生初期の防除で高い効果が得られます。福井県のエンレイで早期から発生し多発生となった条件の試験では、開花期の散布は効果があるものの、開花期12日後になると防除効果は低くなり、開花期21日後の散布では無散布の場合と発病推移や被害程度に差は見られませんでした。

ウ 防除の判断
 里のほほえみでは、防除要否の判断基準となる要防除水準が定められていません。福井県のエンレイにおける事例では開花期の発病葉率10%で約5%の減収となるため、当面はこの値を参考に開花期の発病程度を確認して防除が必要かを判断してください。

※この資料は平成30年6月1日現在の農薬登録情報を基に作成しています。農薬の使用に際しては、必ず最新の登録内容を確認してください。

 

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