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【農業技術・経営情報】担い手育成:先進的な農業者のもとでの就農前研修のポイント

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0398263 更新日:2021年2月1日更新

 農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)(準備型)を活用して、先進的な農業者のもとで研修した後に就農する新規参入者や法人等就業者が増加しています。しかし、栽培技術の習得や農業・農村の理解が不十分なため、就農後に苦労している青年農業者が少なからずいる現状があります。
 そこで、就農前の研修状況を調査し、円滑な就農に向けた研修のポイント整理したので紹介します。

ポイント1:栽培技術だけでなく幅広く研修する

 就農前の研修では、「栽培技術」や「農業経営の理論や考え方」については、就農前に十分に研修していましたが、「経営管理」や「農産物販売」、「大型機械の操作」などをもっと研修した方が良かったという意見が多くありました(図1)。このことから、研修により栽培技術はもちろん、経営ノウハウや栽培に関わる機械操作の技能など、幅広い技術習得を図ることが重要だと考えられます。
 しかし、研修先の状況によってはすべての項目を研修することは難しいかもしれません。例えば施設園芸農家では大型機械の操作ができなかったり、6次産業化に取り組んでいない研修先では農産加工を学べなかったりします。また、帳簿の書き方や経営管理についても研修先が上手く教えられないことがあります。このような場合は、普及指導センター等から様々な研修会等を紹介してもらい、自ら積極的に参加して幅広い内容を研修するように心掛けましょう。

「図1研修項目ごとの研修程度」
図1 研修項目ごとの研修程度

 

ポイント2:就農を見据えた実践的な栽培技術を身につける習得

 新規就農者は、技術不足により経営目標を達成していない者が多い。そのため、就農前に確実に技術を習得することが重要です。今回(平成28年)の調査では、研修先のほ場を借りて自分主体で栽培した者の売上げ目標の達成割合が高くなっていました(表1)。
 指示された作業を行うだけの研修では、実践的な栽培技術は身につきません。そのため、研修先のほ場を借りるなどして、一から自分で栽培管理を実践することにより栽培技術の習得を目指してください。研修期間が2年間であれば、1年目は研修先の指示に基づき作業をし、2年目にほ場の一部を任せてもらえるとよいでしょう。
 ただし、研修先の都合によってはほ場を任せてもらえない(借りられない)場合があると思います。この場合は、生育状況や気象条件に応じた栽培管理や就農後の経営規模を想定した作業管理ができるように、できるだけ就農後をイメージして主体的な研修となるよう心掛けることが重要です。

表1 調査前年の売上げ目標の達成状況と研修中における栽培管理の実践状況
  目標達成
または
おおむね達成
売上げ目標の半分程度
または
全く達成できなかった
研修先のほ場を借りて自分主体で栽培した 64.3% 35.7%
研修先以外でほ場を借りて自分で栽培した 25.0% 75.0%
自分主体で栽培しなかった 40.0% 60.0%

 

ポイント3:不満を抱えず満足度の高い研修にする

 研修と労働の線引きが不明確だとの意見がありました。また、自分が栽培したい作物や希望する栽培方式(有機栽培等)とは異なる研修となっているケースが一部でありました。
 研修内容や研修方法について希望と合致していない場合は、研修先等と十分に話し合うようにしてください。研修先に直接言いにくければ、普及指導センター等に希望や要望を伝え、不満を抱えないようにしましょう。
 また、研修先ですべての内容を研修できない場合は、ほかの研修先を紹介してもらうことも有効と思います。限られた研修期間ですので、常に研修内容をチェックしながら有意義な研修となるよう努めてください。

ポイント4:就農後の相談相手を決めておく

 研修と実際の就農には必ずギャップがあると思います。栽培に関しては、天候は毎年違いますし、研修地と就農地のほ場条件も異なることが多いためです。その他にも、様々な問題に直面すると思いますので、必ず相談相手が必要となります。
 相談相手は身近なほど心強い存在となるはずです。就農地と研修地が近ければ研修先に相談相手になってもらうのがいいと思います。しかし、就農地が研修地から離れている場合は、就農地の先輩農家等から相談にのってもらえるよう、研修中から就農地とのつながりを持つように努めてください。さらに、同年代の農業者を紹介してもらうと気軽に何でも話すことができていいと思います。もちろん、地域の普及指導センターやJA等の関係機関にも気軽に相談してください。

 

【経営普及課 農業革新支援担当 鶴巻 雅幸】

 

 

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