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【農業技術・経営情報】麦:もち性大麦「はねうまもち」の栽培法

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0345374 更新日:2021年2月1日更新

 新潟県における大麦栽培は近年230ha 前後で推移していましたが、平成30 年以降は新規需要米等の他作物への転換により179ha まで減少し、今年度も同程度の作付面積となっています。

 品種はこれまで「ミノリムギ」が主に作付けされてきましたが、今年度から長岡市や新潟市等の一部地域では、これに代わってもち性大麦「はねうまもち」の作付けが開始されました。

 もち性大麦は、食後血糖値の上昇抑制やコレステロールの抑制等の効果がある「機能性成分β-グルカン」を通常のうるち性大麦よりも豊富に含み、さらに麦飯にするともちもちした食感があること等から、最近需要が急激に伸び、国内での生産要望が高まっています。「はねうまもち」はこうした背景から中央農研北陸研究センターで育成され、令和元年産から新潟県と福井県では産地品種銘柄に設定されました。

 令和元年産の本県大麦作は、降雪量が少なく越冬後の生育量が確保され、登熟期間中には好天に恵まれたこと等から多くの産地で平年より多収となりました。長岡市の「はねうまもち」については、もち性品種に応じた肥培管理を実施し、平均反収は約350kgと高収量を上げています。

 「はねうまもち」はまだ栽培事例が少なく、暫定的なものですが栽培のポイントを以下に記載します。

写真:新潟県内で作付けが始まった「はねうまもち」
写真 新潟県内で作付けが始まった「はねうまもち」

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 播種量は「ミノリムギ 」と同程度です(表1)。「ミノリムギ」に比べて一穂は小さく、穂数で収量を得る 品種なので越冬前から茎数確保に努めます。有効茎を早期に確保するため、播種2週間後に秋期追肥として窒素成分で2kg追肥します 。

表1 「はねうまもち」の播種様式別播種量のめやす
表1「はねうまもち」の播種様式別播種量のめやす

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 稈長は「ミノリムギ」に比べて短く倒伏に強いです。また、もち性大麦のため、硝子率が高まりにくいので、止葉抽出期追肥は「ミノリムギ」より多く施用します (表2)。なお、基肥量、消雪後追肥、茎立期追肥施用量は「ミノリムギ」に準じます。

表2 「はねうまもち」の茎立期・止葉抽出期追肥のめやす
表2「はねうまもち」の茎立期・止葉抽出期追肥のめやす

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 収量構成要素を表3に示します。穂数を確保し、追肥により千粒重を高め、10a収量は400kg以上を目標 とします。

表3 「はねうまもち」の収量構成要素
表3「はねうまもち」の収量構成要素

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 出穂期及び成熟期は「ミノリムギ」とほぼ同じで、 栽培管理(ほ場管理、播種期、病害虫防除等)は「ミノリムギ」と同時期に行います。栽培暦を図1に示します。

図1「はねうまもち」の栽培暦(暫定版)
図1 「はねうまもち」の栽培暦(暫定版)

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 その他、留意点としては根雪日数が 90 日を超えるような多雪地帯での作付けは避けます。 前作物の収穫後は早めに排水対策を施し、適期は種により早期から越冬前生育量を確保して穂数不足とならないように管理することがポイントです 。

 

【経営普及課 農業革新支援担当 東 聡志】

 

 

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