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【農業技術・経営情報】麦:大麦の赤かび病防除時期

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0345576 更新日:2021年2月1日更新

 赤かび病は農産物検査での混入最高限度が0.0%とされ、これを超えると規格外となります。これを防ぐため、大麦では出穂期以降2回の薬剤散布が基幹防除として実施されています。防除で高い効果を得るには、適期に薬剤散布を実施することが重要となります。

 ここでは、赤かび病の防除時期について説明します。

1  薬剤の散布適期

 ミノリムギなどの六条大麦や小麦の1回目の薬剤散布適期は、開花を始めた時期から開花期までとなります。この時期は赤かび病に最も感染しやすい時期で、薬剤散布の効果が高くなります(図1)。

 また、1回の散布では十分な効果が得られないため、2回目の散布を1回目散布の7~10日後に行います。1回目散布と2回目散布の間隔が開いてしまうと防除効果が低下する恐れがあるので計画的に適期散布をして下さい。

図1防除時期による赤かび病発病程度の違い(宮城県古川農業試験場)のぐらふ 
図1 防除時期による赤かび病発病程度の違い(宮城県古川農業試験場)
品種「ゆきちから」、チオファネートメチル水和剤を散布。

2  1回目の薬剤散布時期のめやす

 六条大麦や小麦は、開花時に葯が抽出します(図2)。これを目印に、全頴花の約10%が開花した日を開花始め、40~50%が開花した日を開花期と判定します。しかし、開花後の風雨で葯がとれてしまうこともあるため、葯の抽出状況から散布適期を正確に判断できません。また、開花始めから開花期までは3日程度しかないため、開花の状況を調べながらでは計画的な適期散布ができない可能性もあります。

 このため、出穂期(止葉の葉鞘から芒を含まない穂の先端が出現した茎の割合が全茎の40~50 %)を基準に散布適期を判断します。

 新潟県では、大麦の開花始めから開花期は出穂期の4~7日後頃で、この時期が1回目の薬剤散布適期になります。小麦では大麦より開花が遅く、出穂期の7~10日後頃になります。

3  大麦の開花期の実態

 図2大麦の開花の写真
図2 大麦の開花

 表は平成28年の現地ほ場における大麦の出穂・開花状況です。開花始めは出穂期の約5日後、開花期は約8日後となっています。出穂期~開花期までの日数はその間の気温の影響を受け、気温が高いと短くなります。新潟県の大麦の出穂期から10日間の平均気温は概ね13~16℃の範囲で、平成28年の出穂期以降の気温は13~14℃でやや低めの年でした。気温が高めの年には今年より開花が1~2日早くなると推定されます。防除時期はこのような年次変動なども考慮して設定されています。

表 平成28年の現地における大麦の出穂・開花状況(普及指導センター調査)
平成28年の現地における大麦の出穂・開花状況(普及指導センター調査)の表
穂揃い期:全茎の80~90 %が出穂した日。

 最後に、大麦の出穂期は年によって変動するので(図3)、地域の技術情報や生育状況などから出穂期を予想して防除計画を立て、ほ場ごとに出穂期を把握し適期を逃さないように薬剤の散布を行ってください。

図3大麦の出穂期のグラフ
図3 大麦の出穂期

【経営普及課 農業革新支援担当(病害虫) 石川 浩司】

 

 

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