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【農業技術・経営情報】果樹:新潟生まれの良食味日本なし新品種「新美月」、「新王」について

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0355493 更新日:2021年2月1日更新

 新潟県では食味が良く、自家和合性で黒斑病抵抗性を持つ品種の育成に取り組み、平成25年3月に「新美月」、「新王」が品種登録されました(栽培は新潟県内限定)。平成27年からの本格的出荷開始を迎え、品種特性と栽培の留意点を紹介します。

1 「新美月」、「新王」の品種特性

 両品種とも自家和合性ですので人工授粉の必要はありませんが、7~8割の花が結実するため、摘果を含めた着果管理時間を減少させることが重要になります。

(1)新美月(しんみづき)

 「おさ二十世紀」×「豊水」の交配から生まれ、収穫期は9月中~下旬であり、時期的には「豊水」の頃となります。
 平均果重455gでやや大果となり、果実品質は糖度14.3%、pH4.7です。食べると酸味を伴う濃厚な甘さを感じます。豊水と同程度に条溝果、有てい果等による果形の乱れが見られます。また、肉梗(果梗の周りに果肉がつく)が見られます。

(2)新王(しんおう)

 「おさ二十世紀」×「豊水」の交配から生まれ、収穫期は9月下旬~10月上旬であり、時期的には「あきづき」の頃となります。
 平均果重は520gとやや大きく、果実品質は糖度15.0%、pH4.9です。特に甘みが強いことが特徴で、食味は良好です。「新美月」同様に条溝果が発生しますが、「豊水」よりも果形の乱れは少ないと見られます。

「新美月、新王」の写真

 

2 栽培の留意点~自家和合性品種に対応した着果管理~

 一般的に、自家不和合性品種では「摘らい」や「人工授粉」によって結実させる果実を制限しますが、自家和合性品種「新美月」、「新王」ではほとんどの花が結実するため、「除芽」を行い結実を制限します(下図)。
 「除芽」により、「摘らい」にかかる作業時間を4分の1程度に減らすことができます。作業はせん定後の3月から開花前までに、最終的に着果させる花芽(側枝1mあたり6芽)を残し、それ以外の花芽は基部から摘み取ります。

「着果管理」の画像

 また、これまでの調査結果から、除芽や摘らいなど着果管理の違いが果実品質に及ぼす影響はありませんでした(表1)。

表1 着果管理の違いが果実品質に及ぼす影響
品種 処理方法 果重(g) 糖度(Brix%) 酸度(pH)
新美月 除芽 339 13.1 4.6
摘らい 340 13.0 4.6
新王 除芽 504 13.6 5.0
摘らい 455 13.5 4.9

 

3 今後の栽培拡大に向けて

 平成24年度から現地適応性の確認のために新潟市及び加茂市に設けた、「新美月」、「新王」の実証ほとあわせて、栽培技術に関する実証ほも設置し、実証をとおした栽培拡大に向けた活動を進めていきます。また、農業総合研究所園芸研究センターでは、栽培手引書を作成するとともに、現在これら品種の特徴を活かしたジョイント仕立て栽培による省力栽培体系の開発に取り組んでいます。
 今後とも生産者及び関係機関・団体が一体となり、新潟県で生まれたオリジナル品種を育てていきたいと考えています。

 

【経営普及課 農業革新支援担当  大村 宏和】

 

 

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