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【農業技術・経営情報】花き:品質保持剤を用いたチューリップ切り花の花持ち向上技術

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0350892 更新日:2021年2月1日更新

 チューリップ切り花は冬~春の切り花として親しまれていますが、温度によって花持ちは大きく変化し、特に温度が20℃以上になると花持ちが著しく短くなります。また、花弁の老化のほか、花茎の伸長や葉の黄化など草姿の変化により、一般に花持ちが短い切り花とされています。この欠点を補う方法として、出荷時及び購入後観賞時に品質保持剤を用することで花持ちを伸ばすことができます。
 この品質保持剤を用いたチューリップ切り花の花持ち向上技術について、新潟県農業総合研究所園芸研究センターの研究成果を紹介します。

1 生産者が出荷前に行う品質保持剤処理

(1)切り花を通常の切り前で収穫し、調整・結束後に5℃程度の作業場または冷蔵庫内で、200倍に希釈した市販のチューリップ用前処理剤(クリザールBVBエクストラ)で3時間水揚げします(図1)。資材コストは1本当たり1~3円程度です。

(2)この処理により、花茎の伸長や葉の黄化を抑制して草姿の観賞期間を3日程度延長することができます(図2、図4 A)。

(3)この処理の留意点として前処理剤には花弁の老化を抑える効果はほとんどありません。また、前処理剤を用いると、花の大きさや花弁の展開程度が無処理の花と異なる場合があります。

「図1、2、3」の画像

2 鑑賞時の品質保持剤使用による日持ち性向上

(1)切り花を観賞する際に、市販の切り花用後処理剤を使用基準に従って生け水に添加します(図1)。この処理により、花弁の老化を抑えて花の観賞期間を3日程度延長することができます。市販されている数種の後処理剤の効果は、ほぼ同等となっています(図3、図4 B)。資材コストは後処理剤が標準的な花瓶(約500ml)あたり20円程度です。

(2)前処理剤と後処理剤を併用することで、花茎の曲がりや葉の黄化を抑制することができ、さらに花弁の老化を抑えて20℃の室内で10日程度の花持ちが期待できます(図4 C)。

「図4品質保持剤がチューリップ切り花の花持ちに及ぼす影響」の画像
図4 品質保持剤がチューリップ切り花の花持ちに及ぼす影響

 【試験条件】
花蕾着色ステージで収穫し、調整後、5℃の冷蔵庫内で3時間水揚げ。出荷箱に梱包して5℃の冷蔵庫内で2日間保管(流通シミュレーション)。その後、10℃の冷蔵庫内で2日間湿式保管(販売シミュレーション)。出庫後、切り戻しを行い、室温20℃、湿度60%、12時間明条件(1000 lx; 8時00分~20時00分)の条件下で花持ち調査。花弁が老化するまでの期間は、花弁の3分の1が萎凋、退色または落弁するまでとした。

3 品質保持剤を用いた花持ち向上技術の留意点

(1)前処理剤および後処理剤の効果には品種間差があります。

(2)室温が高い場合など、観賞条件によっては葉等に障害が発生することがあります。

 

 このように、出荷段階と鑑賞時に品質保持剤を使用することで花持ちを長くすることができます。ただし、出荷時の処理がない場合、消費者段階で処理剤を使用しても花弁の老化は抑えられますが、花茎の曲がりや葉の黄化等により花持ちの向上効果は劣ります。新潟産のチューリップ切り花を消費者に長く楽しんでもらうために、出荷前の品質保持剤処理を検討してはどうでしょうか。

 

【経営普及課 農業革新支援担当  小田 正之】

 

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