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【農業技術・経営情報】花き:品質保持剤によるオリエンタル系ユリ切り花の日持ち性及び品質の向上効果

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0350482 更新日:2021年2月1日更新

1 はじめに

 本県特産のオリエンタル系ユリ切り花は、一般に日持ちが7~10日と比較的長い品目ですが、本県の主力出荷時期である7~9月の高温期には、日持ちが短くなるとともに花が小さくなり、また花色も淡くなりやすいなどの問題が生じます。切り花需要を喚起し消費拡大につなげるためには、生産者と流通・販売者等が連携し、一定の品質を維持しつつ日持ち性を向上させる取組が重要となります。 

 そこで、園芸研究センターでは、市販の品質保持剤を組み合わせて利用することによる日持ち性及び品質の向上効果を明らかにしましたので、ご紹介します。

「ユリ」の画像

<品質保持剤及び処理環境について>

  • 市販の品質保持剤には、生産者段階で収穫後の水あげ時に使用する前処理剤と、消費者が観賞する際に花瓶に入れて使用する後処理剤があります。今回ご紹介する内容は、前処理剤としてクリザールBVB球根切り花用、後処理剤としてクリザールフラワーフードを使用した技術です。
  • 7~8月の高温期に収穫した切り花を使用し、後処理は高温期の室内を想定して25℃・相対湿度60%・12時間日長下で処理を行いました。

2 市販品質保持剤の効果

(1)前処理剤

 前処理することで、花の日持ちが2日程度長くなり(図1)、また、葉の黄化を抑える効果があります(図2)。一方、無処理と比較するとピンク系の品種では花色がやや淡くなります(図3)。

「図1、2」の画像

(2)後処理剤

 後処理することで、ピンク系の品種では花色が濃くなり(図3)、上位の蕾を大きく開花させる効果があります(図4)。一方で、葉の黄化が早まります。

「図3、4」の画像

(3)前処理剤と後処理剤の併用

 前処理剤と後処理剤を組み合わせて処理することにより、花の退色と葉の黄化を抑えながら、花の日持ちが長くなり、かつ上位の蕾を大きく開花させることができます(図1~4)。
 以上の効果をとりまとめたのが表1です。

表1 市販品質保持剤の効果のイメージ
効果の種類 前処理剤 後処理剤 併用処理
日持ちを伸ばす効果 プラスの効果 影響しない プラスの効果
葉の黄化を抑える効果 プラスの効果 マイナスの効果 プラスの効果
花色の退化を防ぐ効果(※) マイナスの効果 プラスの効果 プラスの効果
蕾を大きく咲かせる効果 影響しない プラスの効果 プラスの効果

※ ピンク系品種のみ該当

 

3 市販品質処理剤の使用方法

(1)前処理剤

 生産者が切り花を収穫後、通常の水あげの際に市販品質保持剤(球根切り花用前処理剤)を使用基準で処理(0.15ml/L で24 時間程度)するか、又は短時間吸液処理(1ml/Lで2時間)を行います。前処理剤の吸収量が多すぎると、花色が著しく退色するので、処理時間等には注意が必要です。

(2)後処理剤

 流通・販売者等が開花前の切り花を切り戻し、市販品質保持剤(糖質・抗菌剤含有後処理剤)を使用基準で処理(50 倍で連続吸液)しながら開花させます。

4 期待される導入効果と留意点

 消費者に購入後の日持ち日数を保証する「日持ち保証販売」に向けた取組が可能となり、産地信頼度の向上や消費拡大が期待されます。なお、導入の際は、生産者と流通・販売者等が連携し、販売時の情報提供の方法を十分に検討した上での実施が必要です。

 

【経営普及課 農業革新支援担当(花き)  小竹 修】

 

 

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