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【農業技術・経営情報】6次産業化(加工):加工食品の栄養成分表示について

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0401107 更新日:2021年2月1日更新

 平成27年4月1日に食品表示に関する3つの法律(旧JAS法、食品衛生法、健康増進法)の規定を一元化した新たな食品表示法(以下、「新法」という。)が施行し、表示基準が統合されました。併せて、健康の維持及び増進に役立つことを表示できる機能性表示制度が創設されました。その他、新法では一括表示欄表示項目が細かく見直され、製造所固有記号、アレルギー表示、原材料と添加物の区分等の表示ルールが変更されています。
 また、加工食品の栄養成分表示が義務化されたことから、今回はこの概要や今後必要となる対応について解説します。

1 栄養成分表示とは

 栄養成分表示とは、その商品に含まれている熱量(エネルギー)や栄養素の量を示したものです。これまでは、義務ではなく事業者が任意で行っていましたが、原則として容器包装に入れられた消費者向けの加工食品及び添加物は栄養成分表示をしなければならなくなりました。

 栄養成分表示の基本は、熱量(kcal)、たんぱく質(g)、脂質(g)、炭水化物(g)、ナトリウム(mg)の5項目です。ナトリウムの量は、消費者にとってわかりやすい食塩相当量(g)で表示します。

「栄養成分表示」の表

  • 食品単位は、100g 、100mL、1食分、1包装分のいずれかを表示します。
  • 熱量、栄養成分の記載順序は変更できません。
  • 飽和脂肪酸の量、食物繊維の量は積極的に表示するように努める栄養成分となっています。食物繊維の量を表示する場合は、糖質の量も合わせて表示します。飽和脂肪酸は脂質の下に、糖質と食物繊維は炭水化物の下に記載します。
  • 食品表示基準に規定されていない栄養成分を表示するときは基本5項目の枠外に記載するか線を引いて区別します。

2 栄養成分表示の設定方法

 栄養成分値の設定方法は、主に3通りあります

(1)分析値

 食品表示基準に定められた方法により、検査機関などで栄養成分を分析します。ただし、原料の季節間差や個体間差によって栄養成分にばらつきが生じる場合を考慮しなければなりません。

(2)計算値

 文部科学省が公表している日本食品標準成分表2015年版(7訂)などの公的なデータベース等から原料の栄養成分値を得て、加工品の配合レシピや調理法から計算します。

(3)参照値

 公的なデータベース等を基に、表示しようとする食品と同一または類似する食品から栄養成分を類推します。

3 実際の設定方法(計算値の求め方)

 それでは、カスタードプリンの例を挙げ、計算値で表示する場合の実際の計算方法を解説します。

  • 使用する原材料と分量を書き出します。計算しやすくするため、mLやL、ccなどはgに換算し食品から食べられない部分(皮、種、骨、殻等)を除いた純使用量(g)とします。
  • 全卵の廃棄率15%(表1)
  • 食品標準成分表から100g当たりの値を確認します。(表2)
  • レシピの純使用分量の数値に換算します。(表3)
  • 4個分の栄養成分なので、4で割って1個分の栄養成分値とします。(表4)

【表1】
「表1」の画像

【表2 】食品標準成分表可食部100g当たりの成分値
表2「食品標準成分表」と表3と表4の画像

 表示値が公定法によって得られた値とは一致しない可能性がある場合は、次のいずれかの文言を表示します。
  「推定値」
  「この表示値は目安です」

 また、消費者への的確な情報提供を行う観点から、例えば「日本食品標準成分表の計算による推定値であり、商品そのものの分析値ではありません。」と値の設定根拠を追記することもできます。

4 栄養成分表示の省略等

 栄養成分表示は以下に該当する場合、省略または不要とすることができます。

(1)省略規定

  1.  表示可能面積が30平方センチメートル以下と小さいもの
  2.  酒類
  3.  栄養の供給源としての寄与の程度が小さいもの(水、香辛料等)
  4.  極めて短期間で原材料が変更されるもの(日替わり弁当等)
  5.  消費税法第9条第1項において消費税を納める義務が免除される事業者(課税売上げ高1000万円以下の事業者)が販売するもの

 5.については、事業者による全ての事業の合算課税売上げ高で判断されます。
 また、加工品の製造販売事業者が5.に該当しても、商品の卸先である販売者(スーパー、直売所等) が5.に該当しない場合は表示の省略はできません。

(2)義務表示の特例

  1.  食品を製造し又は加工した場所で販売する場合
  2.  不特定又は多数の者に対して譲渡(販売を除く)する場合

 新法では、新基準への移行期間として5年間が認められており、移行期間中は旧基準の表示でも可能ですが、平成32年4月1日から完全実施となりますので、加工食品を販売されている事業者の方は早めに準備を進めましょう。
 なお、食品表示法に関するお問い合わせは県の各地域振興局の相談窓口(下表参照)で受け付けています。(新潟市においては新潟市保健所食の安全推進課)

「県の各地域振興局の相談窓口」の表

 

【経営普及課 農業革新支援担当 河内 由紀子】

 

 

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