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✨きらっと輝く看護職インタビュー✨【魚沼市立小出病院・浅井さん】
一般財団法人魚沼市医療公社 魚沼市立小出病院の訪問看護リハビリステーションさくらに勤務する、訪問看護師の浅井かおりさんに、訪問看護のお仕事についてお話を伺いました。
看護職や看護学生に興味のある方は、ぜひご覧ください。
・・・浅井さん
・・・村山看護部長
・・・インタビュアー
浅井さんについて教えてください
:訪問看護に従事するきっかけを教えてください。
:訪問看護に従事するきっかけは、看護部長に声をかけてもらったからですが、病棟勤務の時から、退院された患者さんが退院後どのような生活を送っているのか、退院指導は生活に活かされているか、知りたいという思いがあり、良い機会だと思いました。
:訪問看護師になられてどのくらいですか。
:1年経過したところです。
仕事の内容について教えてください
:訪問看護師の仕事内容を教えてください。
:利用者さんの健康状態の観察、医療処置が必要な方の在宅療養支援、緩和ケアなどです。
:病棟看護と訪問看護、違いに戸惑いはありませんでしたか。
:「看護」は同じはずなのに、最初は何かすごく違うような、新しいことをしているような感覚がありました。しかし、1年たち今では、「場所や道具は違うけれども、看護に変わりはない」と思うようになりました。
:入院中の方と、自宅で生活されている方の看護に違いがありますか。
:そうですね。できるだけお金をかけずに、自宅にあるもので代用することを1番に考えています。これは訪問看護に従事しないと分からないことでした。利用者さんの生活をみて「このお宅ではこうする方がいいな」と、生活に合わせて考えるようになりました。
:利用者さんと関わる上で大切にしていることは何ですか。
:私たちの訪問は1回30分~1時間という短い時間で、利用者さんの生活の一部分でしかありません。その中でできる限り利用者さんや家族のことを多く知り、その方の生きざまや人生のストーリーを尊重して関わることを大切にしています。
:家族との関わりで大切にしていることは何ですか。
:寄りそう気持ちや姿勢を大切にしています。寄り添おうという気持ちが相手に伝わらないと、信頼関係は築けないと思います。利用者さんや家族の代弁者になれればいいなと思っています。
テレナーシングについて教えてください
:テレナーシングとはタブレットで利用者さんと会話して、健康管理を行うものです。現在、3人の利用者さんがいます。
:どのような利用者さんがテレナーシングを利用されているのですか。
:操作できる方や家族の協力が得られる方などが利用しています。比較的、中山間部の雪深い地域の方が多いですね。ただ、声はするけど画面に顔が映らなかったり、うまくいかないこともあります。
:画面越しの会話ではどのように工夫していますか。
:「話しにくい」や「面倒だ」と思われないように、利用者さんにとって楽しい時間となるよう、畏まりすぎず笑顔で親しみを込めて対応しています。また、利用者さんが聞き取りやすいように短文で伝え、返答しやすいように工夫しています。
「私の想いノート」について教えてください
:魚沼市には「私の想いノート」※1があるとお聞きしたのですが、どのようなノートですか。
:人生を最期まで自分らしく生きるために書くノートです。自分は最期をどのように過ごしたいか、どうしてもらいたいか、その想いをご本人やご家族が記入します。私たちは、それを訪問した時に見せてもらいます。できれば、ご本人とご家族が相談して書くことが1番いいですね。
:患者さん側から、想いを伝えられるノートということですね。
:「家族に面倒かけたくないから病院で過ごしたい」や「家族には負担かけるかもしれないけれど自宅で過ごしたい」「最期までビールを飲みたい」など、なんでもいいのです。何度書き直しても構いません。
:これが魚沼市で取り組まれているACP※2の一つなのですね。
:当院に老人会や中学高校等からACPについて話してほしいと依頼があり、普及活動をしています。
※1「私の想いノート」:魚沼市から65歳になると配布され、市報にも載せて広報している。
※2 ACP(アドバンス・ケア・プランニンク):人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス。
小出病院の強みを教えてください
:病棟と訪問看護ステーションがあることが当院の強みです。院内異動で両部署を経験することにより、看護の質の向上ややりがいにもつながります。
:病棟スタッフとも顔見知りなので、情報共有もしやすいです。利用者さんが外来の定期受診の際には外来に会いに行き、入院中であれば病棟へ行きます。
:入院から退院、訪問看護と切れ目のない関わりですね。
:そうですね。当院では訪問診療もありますし、医師とも連携がとりやすいです。
また、病棟の看護師が受け持ち患者さんの退院後の訪問看護に同行することもあります。当院は、多方面から患者(利用者)さんを看ています。
:利用者さんは訪問看護師が来るのを「待ってたよ~」とすごい笑顔で迎えてくれるんです。あの笑顔は、入院中では見られないものですね。訪問看護が必要とされていることはとてもうれしいです。
:そういうところは、訪問看護のやりがいに繋がりますね。
:利用者さんが待っていてくれるのはうれしいです。病棟勤務の時は患者さんとゆっくり話したくてもナースコールなどで中断されて、なかなか時間を作ることはできませんでした。しかし、訪問看護ではその方にじっくり関わることができます。慣れた地域で暮らす利用者さんの生活を支えている。それがやりがいですね。
:訪問看護活動中に困ったことはありますか。
:看護師一人で訪問した時、利用者さんの具合が悪いと、対応が自分にゆだねられるときがあります。そういう時は不安になりますね。
:そういう時は、どうされるのですか。
:私たちはチームなので携帯電話で連絡を取り相談します。医師にも連絡します。
:魚沼地域には医療情報連携システム「米(まい)ねっと」があります。訪問看護記録を、そこに入力すると利用者さんの情報が関係者(主治医やケアマネージャー、介護サービス事業所等)に共有されます。処方薬や検査データ、診療サマリーや看護サマリーなども見ることができます。それをもっと活用できるとよいですね。
今後の目標について教えてください
:魚沼地域の訪問看護が目指していることは何ですか。
:魚沼地域は、少子高齢者化が進んでいる中山間地です。特に魚沼の北部(守門や入広瀬地域)は、介護、医療、福祉資源が少ない地域です。魚沼市全体に医療を広く届け、住民の医療や生活を支え、病気や障害があっても住み慣れた地域でその人らしく暮らせるようにサポートすることです。
:利用者さんは様々な年齢層の方が対象なのですね。
:訪問看護の対象は、生まれたばかりのベビーから100歳以上の方まで幅広いです。リハビリが必要な方には理学療法士が、嚥下機能が低下した方には言語療法士が訪問に同行します。呼吸器を装着されている方には臨床工学士が器械管理をしています。栄養士も相談に対応します。小出病院は小規模な病院だからこそ、多職種が関わり利用者さんを支えているのだと思います。
:様々な専門職が所属を超えて、訪問看護に関わっているのですね。病院全体で利用者さんを支えているのかよくわかりました。
:以前、利用者さんが「みんなが関わってくれて、あったかい病院でした。ここに来てよかった」と言ってくださって、本当にうれしかったです。
:浅井さんの今後の目標や、やってみたいことはありますか。
:訪問看護に携わってまだ1年。知識も技術もまだ勉強中なので、ここでさらに頑張っていきたいと思います。
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