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第30回(令和7年度)新潟県環境賞 受賞者の活動紹介
令和7年度 第30回新潟県環境賞を受賞された皆さんの活動を紹介しています。
新潟県環境賞大賞 環境教育・学習部門:佐渡市立赤泊小学校
△佐渡市主催の「小中学生SDGs取組発表会」に参加したおかげで、アンケートへに協力してくださる方が増えました。
竹プロジェクト~防災×竹 自分たちの被災経験をSDGsへ!~
活動の概要
竹と自然災害とのかかわりを知り、地元である赤泊や佐渡に必要なことを考え、竹の困りごとを少しでも解決できるように行動し、学んだ事や経験を地域のみなさんに伝え、広めることを目的としています。
令和4年12月に実際に自分たちが被災した雪害の経験をもとに、令和5年度から、自然災害を自分事として学んでいた子どもたち。令和6年度からは、赤泊の雪害の原因となった竹を、困りごととしてだけでなく、資源として活かす方法を考えました。地域事業所や地域のみなさんへ「災害時のお困りごとアンケート」を実施し、困ったことや役立つ体験談等を集めるとともに、地元森林組合から竹の見分け方や竹の加工を、市役所から竹チップを使った利活用事業等を学びました。こうした学びを通じて、竹を使った料理や竹の加工、ペットボトルキャップと竹をアップサイクルした器づくりに挑戦しました。
また、SDGsへとつなげていくにはどのようにしたらよいか、可能性を探るため、地元の森林組合・漁業組合・農家・畜産農家・市役所などの方々からの学びを基に探究を進めました。さらに新潟大学自然共生科学センター臨海実験所でのマイクロプラスチック採集体験や長岡技術科学大学の特任講師からのご講義、SDGsプロモーターとの交流等、専門性の高い講師から学んだことを基に、自分たちの身近な生活へと還元し、地域の課題と可能性を対話的・体験的に学習しました。
活動の成果として、使われない竹の課題を「環境資源」としてとらえる視点が生まれました。竹チップの活用や食材・器としての利用を試したり考えたりしながら、地域の資源循環や環境保全の可能性を地域に伝えました。また、地域の方に呼びかけ、直接顔を合わせて対話の場を設け、雪害時の備えや竹の利活用などについて幅広い年齢層が混ざって意見の交換を行い、考えを広げることができました。
赤泊地区で地域と学校と行政が合同で行っている「赤泊みんなでまなぼうさい」への参加をはじめとして、災害への備えを共有しながら、使われない竹を価値ある資源に変える活動を広げ、自然と共存できる佐渡の未来づくりにつなげたいです。
受賞者コメント
このたびは素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。
子どもたちは、自らの被災体験をきっかけにして、竹と防災をテーマに学んできました。官民学、多くの地域の皆様に関わっていただき、対話を重ねながら学んだ体験を通して、課題をより身近に感じ、自分事として佐渡の未来を考えていました。これからも、主体的・対話的で深い学びを重ねながら、自然と人が共に生きる佐渡の未来づくりに取り組んでいきます。

△ペットボトルキャップと竹でアップサイクル加工に挑戦しました。 △佐渡市長を囲んで、佐渡の未来について対話しました。
新潟県環境賞 カーボンゼロ部門:一菱金属株式会社

△白紙新聞紙を商品発送時の緩衝材に利用
古紙を価値に変える地域循環モデル
活動の概要
商品発送時の緩衝材を地域内で循環させる取組です。
大量生産の新たに作られた緩衝材ではなく、エネルギーを使って再生の必要もない古紙をそのまま緩衝材で使い、資源・エネルギー・リサイクルの最適解なスキームとなっています。
発送の際に使用する梱包資材はポリエチレン製のエアキャップやバージンパルプの緩衝材を埼玉県から弊社まで運んでいる環境でした。資源とエネルギーを使って緩衝材を作り、石油資源を使って運び、その緩衝材は受取先が処理することになります。また、新聞の印刷調整時にインクなしの白紙新聞紙が出て古紙に回している状況でもありました。
こうしたことから、その新聞紙をそのまま緩衝材として利用し、資源やエネルギーの負荷を少なく、関わっている各社にとっても負担なく続けられる、地域循環を目指しました。
取組スタートから累計で1,500kgの古紙(白紙新聞紙)を使用しており、同等の重量が石油系のエアーキャップやバージンパルプから置き換わっています。弊社が取組を始めてから、県内企業3社がこの取組をスタートし、広がりが生まれています。
緩衝材は、エアーキャップやバージンパルプを使うこと一択のみの県内企業に対し、新たな選択肢があることの提案となり、企業イメージへの付加価値となることで地域全体に広がることを期待しています。
受賞者コメント
産地・燕三条のものづくりは、材料提供から包装まで、多岐にわたる分業によって支えられています。その工程の更なる一歩先の梱包資材にも、県内新聞社様と連携し、白紙新聞紙を再利用した包装形態を採用するなど、身近な循環から環境負荷を低減する提案を積み重ねました。この度の栄えある受賞を契機に、この循環モデルを継続すると共に、他企業においても白紙新聞紙の活用が広がり、カーボンゼロへの歩みが加速することを願っております。

△古紙を価値に変える地域循環モデル_スキーム図 △印刷調整時に発生してしまう白紙新聞紙
新潟県環境賞 地域創り部門:新潟青陵高等学校 水産部

△新潟西港で新潟漁業協同組合に、エソ(未利用魚)の調査、エソの提供を依頼
エソを活用した未利用魚に新しい価値を与える提案、及び新潟近海の環境変化について
活動の概要
2017年頃、新潟の漁師さんたちが魚をとると、見慣れない魚が水揚げされるようになりました。それは「エソ」という魚です。調べたところエソは、旨みが強く、また、小骨が多いことから練り物にして九州や関西地方では蒲鉾の原料として高級な食材として重宝されているそうです。しかし、新潟ではまだエソという魚の名前も知らない人がほとんどで、食べる文化がありません。漁師さんが他の魚をとろうと漁に出ても大量のエソが一緒にとれてしまうこともありますが、食べる文化がないため、売っても採算が合わず、人間の経済活動の都合で廃棄されてしまう現状があります。私たちは、この廃棄されてしまう命に新しい価値を見出し、廃棄せず水餃子などの餡として活用し、未利用魚となっている現状を変えたいと思い研究しています。
エソ北上の原因は、新潟でとれるようになってから日が浅く、専門機関による研究や立証がなされていません。温暖化がほぼ間違いないと思われますが、今後の研究課題として継続調査をしていくことにしています。
この取組に関わる本校1年生の有志6名の生徒は、それぞれが自宅で家族の協力を得ながら調理方法を工夫したりしておいしく食べています。自ら率先してエソに親しみを感じながら、県民への周知のために活動しています。未利用魚として地域の課題や人間の都合で廃棄されてしまうこの現状を変えるために、新潟でも親しみをもってもらえるように今後も活動を続けていきます。
受賞者コメント
この度はこのような栄誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。
エソの生息域北上は地球温暖化による海水温の上昇が原因ではないかと仮説を立てていますが、まだ立証には至っていません。今後の研究課題として活動を続けていきます。
未利用魚の実態を周知することが海の環境をはじめとする環境問題の改善につながり、大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」の実現になればと思います。


△新潟市水族館マリンピア日本海職員に、新潟近海の環境変化について質問する生徒(左)
△餃子の皮作り。ここにもエソの風味をきかせている。(右)
新潟県環境賞 環境保全部門:”清流”荒川を考える流域ワークショップ
△荒川河川敷のクリーン作戦風景
荒川の魅力を未来へ引き継ごう~荒川の環境保全活動~
活動の概要
荒川の魅力発見や荒川を楽しむ活動を流域全体で実践するプランづくりや荒川を地域づくりに活用するための流域住民ネットワークを創出することを目的としています。
〇荒川クリーン作戦 【平成18年(2006)~令和7年(2025)】
名水百選に選ばれた清流「荒川」を次世代に引き継ぐため、毎年4月に1,000人規模の参加者による荒川河川敷のゴミ拾いを行っており、本年で20回目となります。
〇荒川と里山と田畑のめぐみ体験 【平成19年(2007)~令和7年(2025)】
荒川と里山と田畑のめぐみを体験し、環境保全の高揚を図ることを目的に近隣の子供達とその保護者等により地元の川や植物、野鳥、石について学習し、その恵みである野菜等を食す体験型の勉強会を毎年8月に行っており、本年で19回目となります。
〇金屋小学校青空教室【令和2年(2020)~令和7年(2025)】
国土交通省北陸地方整備局羽越河川国道事務所から依頼を受け、金屋小学校の授業の一環として河川敷の野鳥、植物、石の観察や川での生き物の取り方等の体験活動に講師として協力しており、ドローンによる上空からの撮影を行いました。
荒川クリーン作戦開始当時のゴミは可燃ごみ以外に家電やタイヤ、鉄くずや陶器類等の不法投棄もかなりありましたが、年々ゴミの量も減っています。活動を継続したことで、当時参加した子供たちが大人になり自身のみならずその家族にも美化の心が受け繋がれているものと感じています。
受賞者コメント
この度は栄誉ある賞を頂き、誠にありがとうございます。私たちは地域の皆さんと共に荒川の魅力を発見し、その魅力を次世代につないでいくために、ゴミ拾いや自然体験学習、ドローンを利用した教室などを通して、環境保全と地域づくりに取り組んできました。これまで活動に参加していただいた方々に心より感謝申し上げ、今後も荒川を次世代へつなぐ活動を続け、地域全体で環境を守りたいと思います。


△ドローンによる青空教室実施風景 △R6年度青空教室集合写真
新潟県環境賞 環境保全部門:妻有木育推進協議会

△森の手入れ(ふれあい体験)
妻有地域における木育推進活動
活動の概要
妻有地域の森林、林業の課題として、全国ベースの課題と同様、せっかくの森林資源を有効活用できていないことが挙げられています。
森林資源の活用のためには、森林所有者から消費者までをつなぐ仕組みづくり、及び担い手の確実な確保・育成が重要であり、そのためには地域の方々の森林・林業に対する理解の促進が重要であるものの、過疎化や木材価格の低迷等の理由により、地域の方々の森林、林業、木材への関心は高くないことが課題である、と妻有地域では考えられていました。
このため、地域の方々に森林や木に親しんでいただくためには、「木育」をキーワードに活動を行っていくべきとの考えに至り、行政の指導もあり、地域の環境教育団体や木育に携わっている団体が集まり「木育会議」を立ち上げました。
数年間にわたり、試行錯誤しながら「出前講座」「フォーラム(専門家基調講演、パネルディスカッション等)」「体験会」等を開催しました。今後の活動について、「このような取り組みには継続が必要」「継続するためには組織化が必要」との考えが多数を占め、地域で活動する林業家、ホームメーカー等にも仲間に入っていただき、2020年2月に「妻有木育推進協議会」を発足させ、子供をはじめとする人々に豊かな体験を提供し、人づくりに取り組んでいくための活動を行うこととしました。
「親子での木育体験」に主眼を置いた「森の恵みふれあい木育体験」は6年間、「木育に関する個々の活動を集め地域に紹介し一般住民への理解を促進する」ことを目的とした「つまり木育フェスタ」は3年間に渡り、皆様のご協力を賜りながら、今年度に至るまで継続実施することができました。
受賞者コメント
2020年の協議会設立以来、妻有地域で木育への想いを同じくする団体が集まり試行錯誤しながら活動を継続してきましたが、この度はこのような栄誉ある賞をいただき、喜びと驚きを感じております。
これからも、妻有の豊かな森林を活用し、地域の方々に、森林や木に親しんでいただくために、子供をはじめとする人々に豊かな体験を提供し、人づくりに取り組んでまいります。


△建前体験(木育フェスタ) △つまり木育フェスタチラシ
新潟県環境賞 エコの芽部門:社会福祉法人すみれ会認定こども園あやめ保育園
△園庭のピザ窯の前で
”園生まれのピザ”がつなぐ物語 ~小さな手から生まれる未来へのヒント~
活動の概要
あやめ保育園では「人生を支え切り拓く力を育む」を理念に、野菜育てなどの実体験を通じて“優しさと豊かな心、丈夫な体を育む”ことを目標に教育・保育を進めています。
毎年「生命のつながり」「循環」を意識した【園生まれのピザ作り】を目指し、季節ごとに手作りピザを作っています。
今年度はJA新潟かがやきささかみアグリセンターの協力をいただき、地場小麦「ゆめちから」の栽培からスタートしました。収穫後はあえて既存の道具を使わずに、流木やネットなどで自ら工夫し考えた方法で脱穀・籾摺りをしました。
ピザ生地には、石臼で挽いた小麦に浜辺で汲んだ海水を濾過・加熱処理した塩を合わせ、具材は手作りの野菜やソース、育てた大豆を材料に地元の「月岡糀屋」の指導のもと仕込んだ味噌などを用いました。
ピザ作り以外にも、〖麦わらでストロー作り〗〖トマトの脇芽を使った草木染〗などを行い、普段は見過ごされ捨てられるような物を静かに見つめ、関わることで、今までになかったものを創り出すことができることに気づきました。
人・生命・環境と関わり、手足を働かせた様々な体験は、【人や生命、環境への優しさの芽】となりました。
一人一人に芽生えた小さな芽が、私たちの未来を優しく支え、切り拓く確かな希望となることを信じて、これからも活動を進めてまいります。
受賞者コメント
栄誉ある「エコの芽賞」を賜り誠にありがとうございます。
子どもたちが自ら気付き、楽しみながら取り組んだ活動に対しこのような評価をいただき一同大きな喜びを感じております。
子どもたち一人一人に芽生えた小さな優しさや、環境を大切にする心が、新潟の自然環境を守り、〖豊かな未来を創る力〗につながることを願っています。
今回の受賞を励みにこれからも地域、保護者の皆様と共に、より良い教育・保育に向けた実践を続けてまいります。
△小麦を挽いているところ △園生まれのピザ
過去の受賞者の紹介
報道発表 新潟県環境賞、エコ事業所、優良リサイクル事業所、環境保全ポスターコンクールの受賞者が決定しました







