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森林研究所たより 新潟県産スギツーバイフォー材の強度特性(林業にいがた2018年08月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058629 更新日:2019年3月29日更新

1 はじめに

平成28年に新潟県内で着工した木造住宅のうちツーバイフォー工法で建てられた住宅は約18%を占め、近年増加傾向にあります。この工法の住宅では主に北米から輸入された木材が使用されてきましたが、平成27年の日本農林規格の改正や、告示(注1)により国産材の基準強度が設定されたことで、国産材が使用しやすくなりました。本県でもすでに主として壁のたて枠材で使われるスギツーバイフォー材の生産が始まっていますが、たて枠以外でも使用いただくために強度特性を調査しました。

注1 平成12年建設省告示第1452号(最終改正平成27年国土交通省告示第910号)

2 調査方法

長さ3mの県産スギ丸太60本(末口径12~28cm)から製材したツーバイフォー材(断面寸法38mm×89mm)を主に高い曲げ性能を必要とする部分に使用される甲種枠組材として目視等級区分してみました。その結果、特級と1級がともに約3割を占め、他の等級よりも多かったことから、これらの等級に相当するものを取り出して、縦引張り、縦圧縮および曲げの各試験を行いました。

縦引張り試験は試験体の長さを2mとし、両端の600mmをつかんで行いました。縦圧縮試験と曲げ試験は、試験体の長さをそれぞれ228mmと2336mmとし、(公財)日本住宅・木材技術センター発行の『構造用木材の強度試験マニュアル』(平成25年8月1日改正)に準じて行いました。なお、曲げ試験は広い面を縦にして狭い面に加力する方法で行いました。

3 主な調査結果

縦引張り強度と縦圧縮強度はすべての試験体(試験体数28~33)が基準強度を上回りましたが、曲げ強度は告示(注1)の基準強度に満たないものが特級・1級ともに、31本中2本ありました。甲種枠組材を生産する際には曲げ強度を十分に確認し、適切な等級設定をする必要があります。

4 おわりに

世界的な木材貿易の状況変化や制度改正などにより県産材を使用しやすくなってきています。これからも県産材利用が低位な部材での利用拡大に向けた研究を進めていきたいと考えています。

スギツーバイフォー住宅の建設状況の画像
スギツーバイフォー住宅の建設状況

曲げ試験の状況の画像
曲げ試験の状況

秋田県立大学木材高度加工研究所にて実施

きのこ・特産課 岩崎昌一

 

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