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森林研究所たより スギコンテナ苗の植栽功程調査について(林業にいがた 2016年5月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058599 更新日:2019年3月29日更新

1 はじめに

近年、低コスト再造林の手法の一つとして「コンテナ苗」を活用した「一貫作業システム」があります。新潟県森林研究所でも、平成26年度~27年度の2カ年間で、一貫作業システム確立のために、「伐採~地拵え」までの皆伐作業とコンテナ苗植栽の功程調査を実施しました。

今回は、その調査の中から、コンテナ苗の植栽功程について紹介します。

2 コンテナ苗の植栽功程

コンテナ苗の植栽調査は、村上市と関川村の民有林、湯沢町の国有林の3箇所、計4調査地で行いました。調査地は、全て10度程度の緩傾斜地で、機械による地拵えを実施した箇所です(写真1)。植栽方法は、コンテナ苗は、宮城苗組式コンテナ苗植栽器(ディブル、写真2)で植栽し、対照として従来型の裸苗を唐鍬で植栽しました。

結果は、熟練の作業員の場合、平均でコンテナ苗は、「65本/人時」、裸苗では、「51本/人時」となりました。このため、作業面ではコンテナ苗の方が早く植えられ、人件費を低く抑えられるほか、実際に作業した方々全員から疲労が少なく扱いやすいとの感想をいただきましたので、労働強度の面でも、コンテナ苗の方が優れていました。

ただし、全国的に言われていることですが、コンテナ苗自体の価格が裸苗に比べ高く、結果的に低コストにつながっていない現状があります。新潟県では本格的にコンテナ苗の生産が始まっておらず、価格は決まっていませんが、普及するにあたっての「問題の一つ」です。

コンテナ苗植栽調査地(平成26年度皆伐地、村上市)の画像
写真1 コンテナ苗植栽調査地(平成26年度皆伐地、村上市)

宮城苗組式コンテナ苗植栽器(ディブル)の画像
写真2 宮城苗組式コンテナ苗植栽器(ディブル)

3 今後の展開

今回の公募課題では、功程調査が目的だったため、どのくらいの時間で植栽出来るかを調査しました。しかし、現在コンテナ苗は、九州地方や太平洋側など積雪の少ない地域を中心に普及しており、積雪が多く重い雪質の新潟県において活用できるかということが、普及するにあたっての「二つ目の問題」となります。

このため、コンテナ苗が「活着するのか」、「成長は良いのか」、「急傾斜地ではどうなのか」といった視点で調査することが必要です。この点に関しては、平成28年度以降の研究課題で調査し、報告して行きたいと思います。

森林・林業技術課 宮嶋大介

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