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会員の皆様、新年おめでとうございます。三が日は如何お過ごしでしたでしょうか。私の場合、買い込んだ本を枕に、お屠蘇気分でぼんやりしているうちに過ぎていくのが常です。現代人は情報機器に時間を盗まれ、1か月に1冊も本を読まない人が半数とのこと。その危機感から「文字活字文化の日」が制定されたようです。
私もこの原稿をパソコンで作成中。最近は、手書きでと机に向かうと漢字がおぼつかない。車に乗れば、行き先を画面と音声で指示され、程よい暗さになるとライトも勝手に点いてくれる。そのせいか、自宅への道もナビ頼み。調べたいことがあると、つい机に向かってネット検索。一昔前なら現地へ走るか図書館などで必死に資料を漁ったものです。
現場や図書(紙)からは、探していたモノ以外の、新しいアイデアを得るために欠かせない様々な情報が入ってきます。その情報の中から、必要なモノ、大切なモノを選び出す能力を人は磨いてきたのだと思いますが、「なんでもおまかせ」が当たり前になると、退化する能力が気になります。
『指一本 スマホとオレを 使う妻』(サラリーマン川柳)
技術の進歩が人間にもたらす幸せとは、その行き着く先は
一方、うまく付き合えば、まさに道具は使いよう。測量機器なども様変わり、便利になった道具のおかげで、現場を見て感じる時間が増えました。
測量機器(今と昔)
さて、森林林業の世界も、新しい森林造成技術や木材利用技術などと向き合う大きな転換期がやってきました。このような時こそ、全国の自然的・社会的条件が異なる各地域が、それぞれに最もいい形で適応する固有の技術を確立し、その成果(歴史)を後世に伝えていくことが極めて重要です。
当所では、創立3年目の昭和29年に『研究報告』第1号をとりまとめ、その後、昭和32年に第2号を発行して以来ほぼ毎年刊行し続け、昨年9月には56号を数えました。
昨年一新した研究所ホームページに近年の報告書と全論文386件の表題を掲載中ですし、全冊が当所図書室に保管されています。しかも、当所の図書室は、森林・林業・木材に関する四千冊を超える専門書とその3倍以上のスペースを占める試験研究機関等の刊行物でぎっしりと埋まった、正に出会いの宝庫です。是非、報告書をご覧になっていただければと存じます。
地域で生み出した固有の技術・文化は、時代を越えて人から人へ伝わっていくものと信じ、職員一同、森林と人が笑顔で寄り添う心豊かな社会を目指して、精一杯努めて参りますので、一層のご支援ご協力をお願いします。
「研究報告」(60年の軌跡)
所長 二野宮雅宏