ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 新潟県森林研究所 > 森林研究所たより スギ全木ペレットの水分と品質との関係(林業にいがた2015年11月号記事)

本文

森林研究所たより スギ全木ペレットの水分と品質との関係(林業にいがた2015年11月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058535 更新日:2019年3月29日更新

日本で初めて木質ペレットの製造が行われたのは第二次オイルショック後の1982年です。そして、ペレット製造工場は3年後の26工場をピークに原油価格の下落などが原因で減少していきました。しかし、2002年のバイオマスニッポン閣議決定から工場の建設が再び始まり、2013年には113工場まで増加しています。

また、全国では多くの自治体がペレットストーブの導入に助成を行っています。そのため、ペレット製造工場ではペレットストーブユーザーに対し、安心して使える品質の安定した木質ペレットの製造が求められています。また、第一次ペレットブームが衰退した原因にはペレットの品質が様々で、燃料としての信用を失ったこともありました。このような背景から、日本木質ペレット協会などでは「木質ペレット品質規格」を制定しています。

ペレットのかさ密度などの品質はペレットの水分と関係することが知られています。したがって、ペレットの水分を管理することで品質の安定したペレットが製造できると考えられます。

新潟県では北海道に次いで二番目に多い15工場が稼働しています。そこで、県内のスギ間伐材を原料にしている6工場からペレットを入手し、ペレットの水分と品質について検討を行いました。

図1のとおりペレットの水分が増加するとかさ密度(一定容積の容器にペレットを充填した時の容積当たりの重量)が減少する傾向が確認できました。日本木質ペレット協会のかさ密度では、1立方メートル当たり650キログラム以上750キログラム以下の基準が示されています。図1から木質ペレットの水分が8パーセント以上になると、かさ密度が750キロ以下になっていることがわかります。

図2ではペレットの水分が増加すると機械的耐久性(強度)が高くなる傾向が確認できました。機械的耐久性には97.5パーセント以上の基準がありますが、特に水分が6パーセント以下ではその基準を下回っています。

このようにスギ間伐材ペレットでもかさ密度や機械的耐久性は水分と関係があることがわかりました。ペレット品質規格では、水分でも10パーセント以下の基準があります。そのため、ペレットの水分が8~10パーセントになるように原料の水分を調整することでかさ密度と機械的耐久性の基準を満たすペレットが製造できると考えられます。

ペレットの水分とかさ密度との関係の画像
図1 ペレットの水分とかさ密度との関係

ペレットの水分と機械的耐久性との関係の画像
図2 ペレットの水分と機械的耐久性との関係

森林・林業技術課 武田 宏

<外部リンク> 県公式SNS一覧へ