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森林研究所たより 年頭所感「伝えること」(林業にいがた2015年1月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058546 更新日:2019年3月29日更新

 会員の皆様、あけましておめでとうございます。お健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 さて、皆様には昭和31年4月号の『試験場だよりー挿木のはなし』以来連綿と続く本欄を通して昨年も、当所の研究内容の一端をお伝えして参りました。新年には、新たな決意を親しい方や大切な方にお伝えする機会もあるかと存じますが、この「伝える」ことが「伝わる」のはそう簡単ではないと感じております。
 当所では、昨年「伝えるから伝わるへ」に取り組み、『研究成果発表会』を以前と趣を変えて行いました。会場を県庁から木の香りに包まれた越後森林館(新潟市)に移し、従来からの「当該年度の研究成果発表」に加え、テーマを設定し過去の研究成果も含めてまとめてお伝えする「テーマ発表」の2部構成で開催しました。昨年は、『県産材』をテーマに行い、建築関係者や一般の方など百名を超える方々に御参加頂きました。今年も秋には開催予定ですので、是非ともお越し下さい。

試験研究成果発表会の画像
試験研究成果発表会

 昨今、全国的に人工林の利用が課題と言われておりますが、地域により自然的条件や社会的条件が異なる中で利用期を迎えてくることから、森林林業に関する技術も地域ごとに適応を図る必要があります。かつて、植え育て森をつくってきた読者諸兄の経験や過去の研究成果など、今こそ歴史に学び「伝え」「伝わる」努力をする時と感じております。
 折しも昨秋、モンゴルからのお客様が当所を訪れ、研究内容や植樹祭で天皇皇后両陛下をお迎えしたことなどをお伝えしました。これは、年降水量が100ミリ以下で植樹の素地が全くない自然・文化的背景の異なる国(ゴビ砂漠)で、現地自生種の苗木生産等関連産業を創出し、継続的な緑化推進につなげる目的で5年前から始まったプロジェクトの一環です。モンゴルからの研修生は、一週間後の報告会で「苗木づくりとビジネスに取り組みたいと感じた」との事。言葉が通じないが故に、五感で「感じ」てくれたおかげで伝わったのではと思った瞬間でした。
 当所の玄関には江戸時代に植えられたスギの大きな切り株があり、不規則な年輪から世界で一本きりの木が生き抜いてきた時代の変遷がひしひしと感じられます。是非、当所を訪れて頂ければと存じます。
 今年も多くの方々から森や木について「感じ」て頂けるよう職員一同精一杯努めてまいりますので、一層のご支援ご協力をお願いたします。
「知ることは感じることの半分も重要ではない」(レイチェル・カーソン)

モンゴルからの研修生の画像
モンゴルからの研修生

玄関のスギ切り株の画像
玄関のスギ切り株

所長 二野宮雅宏

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