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森林研究所たより 高齢級化に対応した積雪地のスギ人工林の管理手法について(林業にいがた2014年7月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058574 更新日:2019年3月29日更新

1 はじめに

 現在、想定伐期を超えた人工林が増えつつあります。そこで、積雪地域においてスギ人工林の長期的管理計画を考えるための手法や課題をまとめました。

2 林分密度管理図

 管理計画の樹立のためには混み合い度や資源量などの現況を把握する必要があります。そのために広く普及しているのが林分密度管理図です。この林分密度管理図を積雪地で活用する際に特に留意すべきことは、対象を上層木に限定することです。
 図1、2は、多雪地で25~105年生のスギ人工林を調べ、それぞれの林分密度管理図の推定材積(縦軸)を、より実測に近い単木材積から求めた実測材積(横軸)と比較した図です。一つの点(●)が林分を表し、点線の範囲から点が外れているとその林分の推定材積の誤差率が±10%より大きいことを示します。すべての植栽木を対象とした場合(図1)には点線の範囲より下に点が多く、過小推定になりやすいことがわかると思います。これらの推定誤差の大きい林分は下層木の本数率が高い林分です。積雪地では幼齢期に作用する雪圧の影響で普通より下層木が多くなりやすく、その傾向は高齢級になっても続くため注意が必要です。

すべてのスギ(植栽木)を対象とした時の林分密度管理図の推定誤差の画像
図1 すべてのスギ(植栽木)を対象とした時の林分密度管理図の推定誤差

上層木(※)に限定した時の林分密度管理図の推定誤差 ※樹冠が林冠に達している立木の画像
図2上層木(※)に限定した時の林分密度管理図の推定誤差 ※樹冠が林冠に達している立木。

地位指数曲線

地位指数曲線の画像
図3 地位指数曲線

 地位指数曲線(図3)は、林齢から上層樹高を予測する式を表したものです。新潟県をはじめ多くの県では、この地位指数曲線をもとに将来の樹高を予測し、それを林分密度管理図にあてはめて収穫予想表を作成しています。樹高を用いるのは、密度などの影響を受けにくく予測しやすいと考えられているからです。
 ところが、現在はこの地位指数曲線を用いた将来予測が困難になってきました。現行の地位指数曲線は高齢林の少ない30年ほど前に作成され、100年生程度までしか予測できないものが多いのです。本県の収穫予想表も80年生(森林林計画システムは75年生)が上限です。そのため現在、各地で地位指数曲線の延長や改訂の作業がはじまっています。

4 終わりに

 このような理由から当所でも地位指数曲線延長のための高齢級林分の調査を始めることになりました。情報提供などぜひご協力をお願いいたします。
 なお、ここでご紹介した内容の一部は、平成25年度新潟県農林水産業研究成果の普及技術として公表されました。詳細についてはそちらもご参照ください。

森林・林業技術課 塚原雅美

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