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森林研究所たより 年頭所感(夢今昔)(林業にいがた2014年1月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058581 更新日:2019年3月29日更新

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 今年は、全国植樹祭が42年ぶりに本県で開催される記念すべき年であり、当所でも、両陛下のお手播き種子の準備等に取り組んでおります。前回の植樹祭では、開催前年度に現在地に移転した当所がお手播き会場になり、そのスギとマツが前庭で立派な姿を見せております。
 さて、新しい年を迎えますと、多くの方が茫々たる来し方行く末に思いを馳せるのではないでしょうか。
 昨年、平成18年策定の試験研究推進構想の見直しにあたり、研究員全員で50年100年を見据えて森林林業の未来の夢を描く時間を持ちました。
 森林林業の研究は、『過去を遠くまで振り返ることができれば、未来もそれだけ遠くまで見渡せる』というように、常に時代を意識せざるを得ません。
 50年前、新設住宅着工戸数はほぼ11,000戸で現在と同程度したが、県産材の供給量は約5倍、造林面積は年4,700ヘクタールとピークを迎えておりました。林政は、もうかるスピード林業の夢に向け、担い手や生産基盤の整備、旺盛な木材需要への対応から外材流通対策等に取り組んでいました。当時の研究内容は、多雪地帯の林木の造り方、優良品種の育成、機械化などの省力化、伐期短縮のための肥培技術、土の見分け方などでした。
 それから50年、当時粗悪(ヘクタール当たり資源量が全国の8割程度)とまで形容された本県の森林は、読者諸氏を始め先人の営為のおかげで当時の3倍(ヘクタール178立方メートル)ほぼ全国並みとなり、民有林の森林蓄積はついに1億立方メートルを越えました。特に、蓄積の半分以上を占めるスギ人工林は全国有数となり、10年後には10齢級以上の割合が8割と、かつて経験のない領域に入ります。
 そのため、森林の活用や高齢林の管理・更新などが今後の大きな課題です。当所では今年度、県産材の用途開発、効率的な木材生産システム、木質バイオマス利用、低コスト更新技術、無花粉スギや抵抗性マツの開発、きのこ・山菜の優良品種の作出などに取り組んでおります。
 おわりに、研究員の夢の一部を。曰く「人工林は生育状況等により様々な管理態様に分けられ、植生遷移利用技術などで天然林も含め多様で豊かな森林が形成。その森の恵みの生産・利用に係る情報化が進展し、安全で人気の高い環境適応型産業が生み出す様々な木製品や林産物が日常生活にあふれ、自然エネルギー100%の地域も輩出する。」
 そんな未来に向け、今年も職員一同、森林とそれを育ててきた技術や文化、人々の笑顔への貢献に努めてまいりますので、一層のご支援ご協力をお願いして、年頭の御挨拶といたします。

大人気の研究紹介(一般公開) の画像
大人気の研究紹介(一般公開)

晴れ舞台向け種子づくり(スギ)の画像
晴れ舞台向け種子づくり(スギ)

低コストへの途(コンテナ苗)の画像
低コストへの途(コンテナ苗)

所長 二野宮雅宏

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