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森林研究所たより 森林研究あれこれ(林業にいがた2008年1月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058539 更新日:2019年3月29日更新

 現在、全国47都道府県のすべてが森林林業に関する試験研究を行っています。しかしその組織・形態はいろいろです。当県のように独立した機関もあれば、農林水産総合研究所の森林部門であったり、もっと大きく科学技術研究所の一部門のところもあります。
機関名も森林、林業の名称を使わず自然環境、緑、グリーン、中山間地などを冠している県もあり様々です。平成に入ってから組織・名称の変更が多く行われました。当県も平成九年に改称しました。創設から四十五年目でした。

精英樹次代検定林の画像
精英樹次代検定林

 四十五年は林木育種ではちょうど成果を確認できる期間です。目的にあった品種開発までには十四、五年。開発品種を植栽してその成績を確認するのに約三十年を要します。なお、当県の林木育種は森林生産力増大を目的とした精英樹選抜育種に始まり病害虫抵抗性育種と移り、そして現在は環境を重視した育種へと変遷してきました。そして最初の品種開発である精英樹選抜の成果がようやく確認できたのです。

エノキタケ「雪ぼうし」の画像
エノキタケ「雪ぼうし」

 「時代の要請に応えなければならない」と言われております。エノキタケの品種開発について言いますと、消費者、流通業者、生産者のニーズということになります。具体的には消費者は鮮度、価格、産地が気になるらしく、流通関係者は日持ち(水分が少ない)、規格(茎のそろい)で、生産者は収量、栽培日数などです。しかし、昨年「雪ぼうし」が市場に出たら、「雪ぼうし」のしゃきしゃき感(茎が太くてしっかりしたもの)が好評を得てようやく消費者、生産者とも品種に興味を示すようになりました。良いエノキタケを開発するには、きのこ全般に関する基本的な知見が必要で、一朝一夕にはいきません。また、基礎研究は大学で、県は実用化研究をやれと費用対効果を問われていますが、我々レベルの予算、施設規模では基礎も実用化もないのです。

 森林研究所は組織・形態が変ろうとも、産業振興が強調されようとも、長期的視点・展望を持って、黙々とただひたすらに現実に対応した技術の蓄積に努めています。今後とも精一杯努力してまいる所存ですので、引き続きご支援ご協力を賜りますようお願いしまして新年のごあいさつとします。

森林研究所長 保科孝且

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