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森林研究所たより ナメコ新品種について(林業にいがた2006年8月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058588 更新日:2019年3月29日更新

 新潟県では、県内生産者向けに、品種の作出、選抜を行ってきました。この度、1系統を「新潟森研Pn1号(以下、新1)」と言う名称で品種登録出願しました(写真1)。傘が厚く、茎が太いのが特徴です。肉質が軟らかくソフトな食感です。

1 新潟森研Pn1号の特性

 品種登録出願時の特性調査、栽培方法について紹介します。(比較の対照品種は、福島N1号(以下、福1)、東北N127号(以下、東127)の2品種としました。)菌糸の寒天培地上の最適生育温度は24℃です。温度特性は、福1,新1,東127の順で高いです。新1栽培時の培養温度は20℃前後、期間は70~80日が適当です。添加栄養材の種類、あるいは複数の接種孔の場合によっては、急激な発熱を伴い、ムレにつながることから、より低い培養温度、あるいは換気の改善が要求されます。培養完了後、通常菌掻き等の発生処理は必要ありませんが、培地組成内容、培養期間の長短により培地表面に厚い菌糸膜(通称:たまご焼き)ができることがあります。その場合は菌掻き機等で菌掻きが必要になります。取り除かないと発生不良の原因となり、収量減、子実体の形質不良となります。

 また、菌掻き後の注水は発芽促進に効果があるようです。(写真2)発生処理後、原基形成までは温度16~18℃、湿度は95%以上で行います。培地表面が乾く様であれば散水する必要があります。原基形成後の成長が速いので温度、湿度管理に気をつけ、収穫の2~3日前には12℃以下まで下げ、生育期間を延ばすことが収量増につながります。子実体の形質面ついては、傘の断面形は丸山形。傘表面の粘着物(ヌメリ)は普通で東127と同程度、福1よりは多いです。傘の大きさは、福1,新1,東127の順です。傘の色は明褐色で東127と同程度、黄白色の福1より濃いです。傘の厚さは、対照品種より厚く、肉質は普通です。茎(柄)の長さは、対照品種より短く、太さは太い、肉質は軟らかいです。発生処理後の収穫までの期間は、対照品種より早い。収穫量は、東127,新1,福1の順で多いです。有効茎数も同様の順です。1個当たりでは、新1が東127よりも大粒です。

新潟森研Pn1号の画像
写真1 新潟森研Pn1号

菌糸膜の除去と注水作業の画像
写真2 菌糸膜の除去と注水作業

2 最後に

 栽培方法については、まだ完全なものではないため、今年度は釜単位、発生舎単位とより具体的な生産を想定した栽培試験を行い、「新潟森研Pn1号」の特性を最大限に引き出せる栽培方法の確立に努めます。

きのこ・特産課 阿部一好

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