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ナメコの新潟県内生産量は、平成16年2,816トンで99%以上が菌床栽培による物です。生産者は、栽培規模、施設設備等の条件に合った種菌を選び使用しています。ただ、種菌の特性は、半永久的なもので無く、劣化、変異等により収量減少、形質不良と収穫時期の遅れを起こす等、特性を維持する事は難しいです。
そこで新潟県では、県内生産者向けに、品種の作出、選抜を行ってきました。今回、二次選抜した2品種の特性と現地栽培試験結果を紹介します。
魚沼市(旧入広瀬村)国有林内のブナ倒木から採取した菌株と県内在来品種の津南外丸菌株を交配し、平成13年に選抜した品種です。母材と比較すると生育時の温度特性が高く、光を必要とします。形質面では、芽数が多く子実体がやや小さい、柄(足)が長い、カサのヌメリが多い特性が上げられます。温度特性が高い事から、現行品種と同様の管理をすると栽培期間は長くなりますが、栽培環境の適応範囲が広く簡易な施設設備で栽培が可能と考えます。
秋田県にかほ市(旧矢島町)鳥海山山麓のブナ倒木から採取した菌株と津南外丸の自家交配菌株を交配し、平成15年に選抜した品種です。芽数がA、母材菌株より少なく、子実体は大きいです。ヌメリはAと比較すると少ないが、母材と同程度です。ただ、培地組成、栽培環境等の条件が合わないと、発生(芽出し)が揃わなく収量的に難しい所があります。栽培施設の設備規模等を考慮し、生産者を限定した栽培が適当と考えます。
生産者から現行の方法で栽培するとAは、収穫時期が遅れ、栽培サイクル(回転率)が落ちる。現行の品種と比較すると子実体の形質が劣る(小さく貧弱に感じた。)と指摘がありました。Cは、収穫時期が現行の品種より早い。形質は、柄(足)が柔らかく歯触り等の食感が良いと評価されました。収量面は、手を掛ければ増量するが、発生処理時に一手間増えると指摘がありました。当所と栽培条件等が異なる事からなのか、2品種とも試験結果に多少の違いがあり、生産地での即利用は難しいと感じました。
今後も栽培データ、情報を集め、生産地に合った栽培方法(栽培マニュアル)の把握に努めたいと思います。最後に、生産地で種菌利用等の条件が整えば紹介した品種の登録申請を行います。
検定作業
C(253-2×外-11)
きのこ・特産課 阿部一好