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森林研究所だより 苗木生産における虫獣害対応と心がけ(林業にいがた11月号)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0783218 更新日:2025年11月1日更新

1 はじめに

​ 樹木の苗木生産では、どのような苦労があるかご存じでしょうか?農産物と同様に病虫害発生や育苗設備不調など、多岐に渡る問題が発生します。研究所でも、研究のために人工交配し、時間をかけて作出した種子及び苗木を、思いもよらない形で枯らしてしまい残念な思いをすることが多々あります。また、苗木生産者の方も当所ではみられないような被害を被っています。今回は様々ある問題の中で虫害や獣害の一部事例を紹介します。

2 虫害の事例

 林業用苗木ではコガネムシ類やガの幼虫による食害などが発生します。実際にここ数年で、スギ苗において、様々なガの幼虫による食害がありました。ネキリムシ類のヤガ科幼虫(写真1-(1))による稚苗切断(写真1-(2))、ハスモンヨトウ (写真1-(3))による主軸の頂芽の食害(写真1-(4))、ヨモギエダシャク(写真1-(5))による葉の食害(写真1-(6))と思われる被害等が確認されています。

虫害の事例

写真1 虫害の事例

3  獣害の事例

​ 獣害は、山に植栽してからのものと思われがちですが、育苗する場所によっては苗木生産の段階でも発生します。研究所では、野ウサギによる苗の主軸切断や、野ネズミ(写真2-(1))による被害が主に確認されており、早い場合だと種子を播いた日の夜に野ネズミの被害に遭うこともあります。コンテナに移植したコナラの稚苗や種子は掘り起され(写真2-(2))、育苗箱に播いたスギの種子も培土が荒れていたため(写真2-(3))、トレイルカメラで観測したところ、食害か断定はできませんでしたが、何か掘り起こして食べているような様子(写真2-(4))が捉えられました。

獣害の写真

写真2 獣害の事例 

4  被害への対応

 虫害では幼虫本体の除去や農薬等での事前予防、獣害ではネット張りや捕獲器具の設置などの対応が必要です。より具体的な対応策について、近年、全国的に苗木生産の手引書やそれに準ずる資料が多く公開されているので、研究所でも参考にしています。

 しかし、育苗を数年経ての私見になりますが、防除の最適解は最初からは得られません。育苗を行う場所、環境、資材等により発生する虫獣害や病害等は異なる上に、前年には起きなかったような問題が発生するので、各々の生産現場の日頃の見回りを怠らないことが重要で、異変に一早く気づき、試行錯誤して対応することが必要です。

 

森林・林業技術課 伊藤 由紀子 

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