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日本酒ができる裏側を見てみたい!という気持ちから始まった連載第5回目。
今回も引き続き塩川酒造株式会社(新潟市西区)で、『上槽(じょうそう)』を体験してきました!
上槽とは、酵母の力で醗酵が進んだ醪(もろみ)を搾ることで酒と酒粕に分ける作業のことです。
普段飲んでいるお酒の状態になるまであともう少しです✊
タンクの中を覗いてみると…👀
仕込みをしてから24日経った醪(もろみ)です。
前回、中に入れた蒸米は既に混ざり合い、櫂棒(かいぼう)でかき混ぜてみると抵抗なくするする動かすことができました👏
どのくらいの日数で次の作業に入るかはその時の気温や醪の状態、造る酒の種類など様々な要因で決まるそうなので、長年の経験からベストなタイミングを見極めます!
今回は普通酒のため、作業の前にここに醸造アルコールを添加しています。
これにより、雑味を抑えて飲み口がすっきり爽やかになったり、アルコールに溶けやすい香り成分を全体に溶け込ませてフルーティーなお酒となったりと、より美味しいものに仕上がるのだそうです。
「アルコールを添加する」と聞くと良いイメージを持たない方もいるかもしれませんが、実は使われているのはチューハイや梅酒を造る時と同じもの🍻
サトウキビを主な原料として醗酵させた、純度の高いアルコールです。江戸時代には柱焼酎の製法(醪が悪くなってしまうのを防ぐために、度数の高い焼酎を加える手法のことです。)として、良い日本酒を造るための技術の一つでした。
有機溶媒であるアルコールが醪に作用することで酒粕に奪われてしまう香気成分が獲得でき、日本酒の味わいや香りが洗練されて、それぞれの銘柄の個性が生まれていきます!
今まで握ったことのない形・仕様のハンドルに少し戸惑いつつ、強く押しながら回すと呑みが開きます
タンクの外側についた『呑み』というフタを開けると、チューブを通して中に入ったお酒を外に出すことができます。“酒呑み”と同じ“呑み”という字が使われている名前なのは少しおもしろいですね。
ここから、圧搾機という大きな機械を使って醪を搾っていきます!
圧搾機のスイッチを押すとモーターが作動!
モーターの力で醪が圧搾機に送られると、濁りが取れた清酒が出てきました!
清酒は銀色の小さめのタンクの中に出てきて、酒粕は圧搾機のじゃばらのようになった白い部分に残ります
どんどんお酒が溜まっていきます。まだろ過前なので、少し滓(おり。白い濁りのこと)が見えます
まるで湧き水のように出てくる日本酒…お酒好きの人が見たらたまらない光景です😳
タンクの中にある約2,000リットルの醪は、4~5時間かけて機械で絞られていきます。その過程で生まれる酒粕はなんと2~300キロ!販売もされているそうです。
搾りたての生のお酒は、醗酵の過程で発生した炭酸ガスが少し残っているため微炭酸。まだ水も加えていない原酒の状態なので、アルコール度数はなんと20度程度!かなり強い状態です💦
お酒の種類によってはこのまま瓶に詰めて販売する場合もあるそうですが、今回搾った1タンク分の原酒に水を加えると、720mlの四合瓶で3,000本分くらいになるそうです!
その後、『ろ過』を行い、『火入れ』といわれる加熱殺菌の作業や瓶詰、ラベル貼りなどを経て、私たちが普段手にする状態の商品となります。
10月から始まった酒造りは冬場の寒い時期に本格化し、翌年の4月末くらいまで続くそうです。できたお酒は品質を損なわないよう低い温度で管理され、出荷されていきます。
工程の中のほんの少しに携わっただけですが、最終的にこのお酒を楽しんで飲む方のことを想像すると何とも言えぬ感動がありました☺
今回酒造りの様子を取材させて頂いた塩川酒造の塩川 和広社長に、どのような日本酒を造っていきたいかお伺いしました!
塩川 和広 社長
「ワインと戦える日本酒ですね。これまでもそのような視点から商品開発を進めてきました。実際に『COWBOY YAMAHAI』は肉料理に、『FISHERMAN SOKUJO』は魚料理に合う日本酒として醸造しています。」
何故ワインなのかというと、海外では日本酒よりもワインの方が200倍大きい市場のため、国内だけでなく海外に目を向けている塩川酒造さんにとって、戦うフィールドが大きい方がより多くの人の手に製品が渡る可能性があるからなのだそうです。
酒造りに携わる蔵人が5人という少人数の酒蔵でありながら、広い世界に目を向けて酒造りを行う塩川酒造さん。
今この瞬間も、遠い国で塩川酒造さんのお酒を楽しむ外国の方がいるなんて、とても素敵ですごいことですよね✨
最後におすすめの商品を伺いました!
『のぱ』
【お酒のデータ🍶】
・純米酒 (植物性の「醸造アルコール」を使わず、米と米麹のみで造られたものに『純米』がつきます)
・新潟県産米使用 (醸造する年によって使う品種は様々とのこと)
・精米歩合90% (10%だけを磨いているため、米の旨味やコクを感じます)
・アルコール度数 9~15度程度 (製造される季節により変動します)
原材料全て新潟県産のものを使った地酒の中の地酒とのこと!
塩川酒造さんが海外で酒造りの技術指導をした際に取り入れた、現地の環境や原材料に合った製造法をそのまま応用しているそうです。「のぱ」はサンフランシスコにあるレストランの名前が由来とか。
少し味見させて頂きましたが、口当たりの優しい、甘い美味しいお酒でした。冬バージョンは低アルコールなので、「強いお酒はちょっと…」というビギナーさんにもおすすめです👏
【塩川酒造株式会社について】公式サイト<外部リンク>
住 所 : 新潟市西区内野町662
電 話 : 025-262-2039
創 業 : 大正元年(1912年)
見 学 : 無料、要予約。5~9月の金曜日、10時~11時・14時~15時、各7名まで。
これまで酒米の生産から酒造りまで見てきましたが、造り手の方の顔や作業の大変さなどを知ったことで、これからは更に美味しく新潟清酒を飲むことができる気がしました。
お米と水というシンプルな材料から、色々なタイプの日本酒ができるのはなんだか不思議ですよね。
ぜひ皆さんも、造り手の方に思いを馳せつつ、日本酒を楽しんでみてはいかかでしょうか🍶✨