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施肥、不織布トンネルによる耕種的防除を組み合わせたレタスの有機栽培

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0604915 更新日:2023年9月26日更新

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 一般的に有機質肥料は化成肥料に比べて肥効が劣ると言われています。しかしレタス等の作物によって施肥量は異なるため、適正な施肥量は不明です。また、有機栽培において病害虫対策は、重要な課題であり、使用できる農薬が限られているので耕種的防除を取り入れていく必要があります。
 そこで今回はレタスの春播き及び夏播き作型における適正な施肥量並びに、不織布トンネルによる防虫効果を明らかにするため試験を行いました。


 

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 まず、適正施肥量調査です。
 春播き、夏播きともに令和3~4年に試験を行いました。品種はサウザーとサンバレーの2種類で、施肥量は1aの窒素成分量で慣行が1.6kg、有機等量が同じく1.6kg、有機2割増が1.92kg、有機4割増が2.24kgとなってます。肥料は慣行で高度化成肥料、有機で発酵鶏ふんペレットを用いました。すべての区に不織布トンネルをかけて栽培管理を行いました。播種については春播きが3月の中~下旬、夏播きが8月中旬に行いました。


 

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 春播きの結果です。縦軸が調整中の慣行比で棒グラフ下の数字が実際の調整重を示しています。2割増の(1)~(5)は窒素成分量は変わりませんが、年次や品種、播種日等が異なります。
 窒素成分が等量だと収量が劣りますが、(3)~(5)を見ると窒素成分を2割増にするとほぼ慣行と同等の収量を得ることができました。しかし、播種時期が早かった(1)、(2)に関しては定植後に低温となったため活着が遅れ、十分な収量を得ることができませんでした。そこで春播きには播種・定植時期をしっかりと見極めて低温に当たらないように注意しなければなりません。


 

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 夏播きに関しては窒素成分2割増にすることで慣行並みの収量を得ることができました。春播きでも同様でしたが、窒素成分をもっと多い4割増にしても収量が有意に増加することはなかったため、レタスの有機栽培においては窒素成分量を2割増にすることで慣行並みの収量となることがわかりました。


 

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 次に不織布トンネルを用いた耕種的防除の調査です。
 試験は令和2~3年に行い、品種はサウザー及びサンバレー、不織布は農業用べた掛け資材を用いました。播種日は春播きが3月25日、夏播きは8月20日に行いました。施肥は発酵鶏ふんペレットを慣行の2割増の1.92kgとし、トンネルの有無にかかわらず定植後は無防除で管理を行いました。


 

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 トンネルは不織布の裾をしっかりと土に埋めて、虫が入ってくる隙間をふさぐことがポイントです。両脇だけではなく両端の部分もしっかりとふさぎます。


 

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 春播きの結果です。ウワバ類による被害は有意に抑制することができましたがナメクジによる被害は不織布トンネルで防ぐことは厳しかったです。


 

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 続いて夏播きの結果です。多発したハスモンヨトウをトンネルのみで抑えることはできませんでしたが、オオタバコガに関しては被害を有意に抑制することができました。以上の結果から不織布トンネルをかけることでチョウ目幼虫による被害を抑えることができました。しかし、トンネルだけで全ての虫を完璧に防ぐことは難しいので、チョウ目幼虫が多発した場合やナメクジ等が発生した場合は有機JASで認められた農薬を併用して防除を行ってください。


 

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 最後に不織布トンネルをかけることによる影響についてです。トンネルをかけることにやって、トンネル内の地温が上昇し、収穫期が早まる可能性があります。トンネルかける場合は収穫遅れにならないよう収穫適期を見逃さないようにしましょう。


 

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 まとめです。発酵鶏ふんペレットを化成肥料の2割増で施肥することによって、慣行栽培と同等の収量を得ることができます。ただし、春播きに関しては定植後に低温に合わないように注意しましょう。また、不織布トンネルをかけることでチョウ目害虫の被害を抑えることができます。こちらもチョウ目幼虫が多発した場合や、ナメクジ等が発生した場合は防ぎぎれない可能性があるので、有機JASで認められている農薬を使って低密度に抑えるようにしましょう。


 

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農業総合研究所 佐渡農業技術センター

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