ページ番号を入力
本文
本県のネギの作型は、大きく分けて前年4~5月に播種し、翌年4~5月に収穫される春ねぎ、1月に播種し、8~9月に収穫される夏ねぎ、2~3月に播種し、10~12月に収穫される秋冬ねぎの、3つとなっています。
10年ほど前から、特に夏ねぎで、収穫期に写真のような症状が多くみられるようになりました。ネギは中心葉から数えて3枚目までの葉を残して出荷しますが、3枚目の葉鞘襟部が裂開することで、調整作業時に損傷を受け失われてしまいます。葉が2枚となったねぎは下位等級での出荷となることから、現場からは早急な対策が求められていました。
本試験では、播種粒数が襟部裂開に関与していることを発見しました。
夏ねぎの慣行栽培では、ペーパーポットへの2粒まき・40本/mが標準ですが、これを1.5粒まき・30本/mとすることで、図のように大幅に襟部裂開株の発生を抑制することが可能となります。
播種粒数が調整重量および収量に及ぼす影響について示しています。
1本あたりの調整重量は、1.5粒まきで増加します。しかし、単位面積当たりの収量は、栽植本数が格段に多くなる2粒まきで大きいことが明らかとなりました。
しかし、生産者の収益に直結するのは単位面積当たりの収量ではなく、出荷箱数の増減です。ここでは、播種粒数が出荷箱数に及ぼす影響を検討しました。
総出荷箱数では2粒まきでわずかに上回りますが、その内訳をみると、1.5粒まきではB品が明らかに少なくなり、2L規格が増加していることがわかります。
次に10a換算の場合の生産者所得への影響について検討しました。
右端の数値は売上高を示しています。売上高は1.5粒まきで増加する結果となりました。また、10aあたりの種苗費、流通経費、労働費を抑えられ、グラフの白抜き部分の生産者所得の部分も増加させることが可能であることがわかりました。
以上のことから、8~9月どりの夏ねぎにおいて、本技術を採用することで、生産者所得の増加が期待でき、各経費が圧縮されることでさらなる栽培面積の拡大も可能であると考えています。
本技術の導入対象ですが、沿岸砂丘地帯の夏ねぎ生産者としています。他のネギ産地では本技術は未検討です。
留意点は上記のとおりとなっています。
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)