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詳細解説「新之助」における適正な平方メートル当り籾数及び出穂期葉色(SPAD値)に誘導するための穂肥診断法

「新之助」の穂肥診断法について紹介します。
「新之助」は、令和元年度で生産者1,500名、作付面積約2,600ha(前年比120%)、販売数量13,000t(前年比130%)に拡大しています。
「新之助」の食味・品質基準の適合率は98%まで上昇していますが、「食味・品質基準」を達成するため、適正な平方メートル当り籾数と出穂期SPAD値に誘導する穂肥診断のめやすを提示します。
「新之助」の草型は偏穂数型で生育過剰となりやすく、生育期間が長い晩生品種です。
食味・品質を確保するためには適正な生育に維持すること、登熟後半まで適正な栄養状態を保つことが重要です。
有機質割合50%肥料を用いた分施体系において、適正な平方メートル当り籾数(28,000粒)及び出穂期SPAD値(34~36) に誘導するための穂肥診断法を紹介します。
「新之助」は、令和元年度で生産者1,500名、作付面積約2,600ha(前年比120%)、販売数量13,000t(前年比130%)に拡大しています。
「新之助」の食味・品質基準の適合率は98%まで上昇していますが、「食味・品質基準」を達成するため、適正な平方メートル当り籾数と出穂期SPAD値に誘導する穂肥診断のめやすを提示します。
「新之助」の草型は偏穂数型で生育過剰となりやすく、生育期間が長い晩生品種です。
食味・品質を確保するためには適正な生育に維持すること、登熟後半まで適正な栄養状態を保つことが重要です。
有機質割合50%肥料を用いた分施体系において、適正な平方メートル当り籾数(28,000粒)及び出穂期SPAD値(34~36) に誘導するための穂肥診断法を紹介します。

分施体系において、
出穂期21~18日前に施用する1回目の穂肥は、幼穂形成期の草丈と葉色(SPAD値)の調査結果から判断します。
適正な平方メートル当り籾数28,000粒に誘導するためには、図に示す草丈と葉色(SPAD値)の交点の施肥窒素量をめやすにします。
幼穂形成期の理想生育相は、草丈:62~68cm、茎数:580~630本/平方メートル、SPAD値:33~36です。
出穂期21~18日前に施用する1回目の穂肥は、幼穂形成期の草丈と葉色(SPAD値)の調査結果から判断します。
適正な平方メートル当り籾数28,000粒に誘導するためには、図に示す草丈と葉色(SPAD値)の交点の施肥窒素量をめやすにします。
幼穂形成期の理想生育相は、草丈:62~68cm、茎数:580~630本/平方メートル、SPAD値:33~36です。

ただし、めやすは幼穂形成期の茎数が極端に多い場合や少ない場合を除いた300~750本/平方メートルの範囲で適用します。

幼穂形成期に生育調査を実施し、茎数が平方メートル当り300~750本の範囲内で、例えば、草丈64cm、葉色(SPAD値)35の場合は、10a当たり窒素成分1kgをめやすにします。

平方メートル当り籾数(Y)は、幼穂形成期の草丈(X1)と幼穂形成期の葉色(X2)、穂肥1回目施肥窒素量(X3)による重回帰式から推定しました。
籾数に及ぼす影響は、幼穂形成期の草丈(X1)が最も大きく、穂肥1回目施肥窒素量(X3)、幼穂形成期の葉色(X2)の順でした。
窒素1kgで約1,500粒の籾数増加が見込まれます。
コシヒカリは、穂数と一穂籾数の補完作用が大きいことがわかっており、穂数が少なくなると一穂籾数が増えますが、新之助は明確ではありません。穂数が多くても窒素栄養が良好であれば、一穂籾数が確保されます。
籾数に及ぼす影響は、幼穂形成期の草丈(X1)が最も大きく、穂肥1回目施肥窒素量(X3)、幼穂形成期の葉色(X2)の順でした。
窒素1kgで約1,500粒の籾数増加が見込まれます。
コシヒカリは、穂数と一穂籾数の補完作用が大きいことがわかっており、穂数が少なくなると一穂籾数が増えますが、新之助は明確ではありません。穂数が多くても窒素栄養が良好であれば、一穂籾数が確保されます。

出穂期12~10日前に施用する2回目の穂肥は、穂肥施用時の葉色(SPAD値)から判断します。
適正な出穂期の葉色(SPAD値)34~36に誘導するためには、表の施肥窒素量をめやすにします。
適正な出穂期の葉色(SPAD値)34~36に誘導するためには、表の施肥窒素量をめやすにします。

出穂期の葉色(Y)は、穂肥2回目から出穂期までの平均気温(X1)と穂肥2回目施用時の葉色(X2)、穂肥2回目施肥窒素量(X3)による重回帰式から推定しました。
出穂期SPAD値に及ぼす影響は、穂肥2回目施肥窒素量(X3)が最も大きく、穂肥2回目施用時の葉色(X2)、穂肥2回目から出穂期までの平均気温(X1)の順でした。
N1kgで約1.2のSPAD値の上昇が見込まれます。
重回帰式に用いたデータは、H29~R元の3年間の調査結果です。
穂肥2回目から出穂期までの平均気温はそれぞれ27.5℃、27.1℃、29.5℃(3年間平均28.0℃)で平年より0.8~3.1℃(平均1.6℃)高い条件でした。
出穂期SPAD値に及ぼす影響は、穂肥2回目施肥窒素量(X3)が最も大きく、穂肥2回目施用時の葉色(X2)、穂肥2回目から出穂期までの平均気温(X1)の順でした。
N1kgで約1.2のSPAD値の上昇が見込まれます。
重回帰式に用いたデータは、H29~R元の3年間の調査結果です。
穂肥2回目から出穂期までの平均気温はそれぞれ27.5℃、27.1℃、29.5℃(3年間平均28.0℃)で平年より0.8~3.1℃(平均1.6℃)高い条件でした。

重回帰式を普及指導センターの気象感応調査データで検証しました。
平方メートル当たり総籾数の平均推定値は27,500粒、実測値は26,600粒と900粒の差がありました。
平方メートル当たり総籾数の平均推定値は27,500粒、実測値は26,600粒と900粒の差がありました。

重回帰式について、2回目の穂肥においても普及センターの気象感応調査データで検証しました。
出穂期葉色の平均推定値は35.9、実測値は35.3と0.6の差がありました。
出穂期葉色の平均推定値は35.9、実測値は35.3と0.6の差がありました。

本技術の導入効果としては、平方メートル当たり籾数及び出穂期葉色(SPAD値)を適正値に誘導することによって食味・品質の向上に寄与することがあげられます。「新之助」の「食味・品質基準」適合100%を目指しての活用が期待されます。
また、導入対象は、「新之助」研究会の生産者及び栽培指導者を想定しています。
また、導入対象は、「新之助」研究会の生産者及び栽培指導者を想定しています。

1 本成果は平成29年~令和元年に作物研究センター(細粒質グライ土)において、基肥・穂肥とも有機質割合50%肥料を用いた分施体系の栽培試験(穂肥窒素量:0、1、2kg/10a施用)結果に基づいて作成しました。
2 幼穂形成期の茎数が298~765本/平方メートルの範囲では、平方メートル当たり籾数に対する重回帰式の説明変数としての寄与率が低い(7.3%)ため、草丈と葉色(SPAD値)から推定しました。
茎数調査が不要なわけではありません。平方メートル当たり籾数=穂数×一穂籾数で計算されます。
草丈と葉色が稲体の栄養状態の良否を示し、有効茎歩合や一穂籾数の良否に影響し、結果として平方メートル当たり籾数の多少に影響しますので、茎数の確保が必要です。
2 幼穂形成期の茎数が298~765本/平方メートルの範囲では、平方メートル当たり籾数に対する重回帰式の説明変数としての寄与率が低い(7.3%)ため、草丈と葉色(SPAD値)から推定しました。
茎数調査が不要なわけではありません。平方メートル当たり籾数=穂数×一穂籾数で計算されます。
草丈と葉色が稲体の栄養状態の良否を示し、有効茎歩合や一穂籾数の良否に影響し、結果として平方メートル当たり籾数の多少に影響しますので、茎数の確保が必要です。

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