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研究成果詳細解説 効率的な土づくりのための有機質資材の施用効果データベースの作成と活用

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0408207 更新日:2021年7月12日更新

効率的な土づくりのための有機質資材の施用効果データベースの作成と活用

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 効率的な土づくりのための有機質資材の施用効果データベースの作成と活用について説明します。
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 研究を始めるに至った背景を説明します。
 作物生産において生産性の維持・向上には、家畜ふん堆肥等有機質資材施用による「土づくり」は重要です。
 その一方、近年畜産農家の減少に伴い堆肥は入手しづらくなっています。
 また、昨今地域資源を活用する循環型農業が推進されています。
 そのため、「土づくり」には地域内で入手できる様々な有機質資材の活用することが重要です。
 しかし、有機質資材は多種多様で、種類によって物理性改善効果等各土壌改善効果が異なります。このため適正施用量と肥料施用量を一律には決められません。
 また、過剰施用等適切に用いられていない事例も多くみられます。
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 そこで、各有機物資材の特徴と具体的な施用効果が示されるデータベースを農研機構・中央農研と共同で作成し、WEB上で公開しました。
 今回、このデータベースを活用して効率的な土づくりと施肥量の調整を行う方法を紹介します。
 対象は、有機質資材を積極的に活用して土づくりを行う生産者全般で、これには水稲、普通作物、野菜、飼料作等様々な作目が含まれます。
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 まずは、データベースにアクセスしてみましょう。「有機質資材データベース」をキーワードに検索すると容易にヒットします。

有機質資材の施用効果データベース(農研機構のサイトが別ウィンドウで開きます)
https://www.naro.affrc.go.jp/org/narc/crop_diagnosis/org_db/index.html<外部リンク>

 これがトップページです。
 施用効果のページと資材のページの2つに分かれています。
 なお、このデータベースはChrome、Edge、Firefox上で動作します。

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 こちらは実際の施用効果のページです。
 数値化した各施用効果が一覧表で表示されます。各資材の特徴的な効果は黄色で強調表示しています。
 また、各施用効果についてグラフ表示で資材間を比較することができます。
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 こちらは資材のページです。選択(クリック)した資材について各施用効果のバランスが表示されます。
 さらに、施用量を入力することにより、単位面積あたりの施用効果が表示されます。
 このデータベースを活用することにより、改善項目に対応し、かつ資材の肥料成分を勘案した効率的な土づくりが可能となります。
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 ここから、本発表のメインとなる活用のための手順について説明します。作物の作付け前に行います。
 1番目として最初に作物の作付前に土壌分析や作物診断等で改善したい項目すなわち有機質資材に求める施用効果を把握します。
 例として、土壌分析の結果腐植が足りないと判断された場合は、物理性改善効果すなわち土壌有機物供給効果を目的とする施用効果とします。
 土壌pHが低く交換性石灰が不足している場合は石灰代替効果、砂地等で保肥力(陽イオン交換容量)を上げたい場合は保肥力増加効果、有機栽培のために地力窒素を上げたい場合は窒素肥沃度増加効果をそれぞれ目的とする施用効果とします。
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 2番目として、次にデータベースにアクセスし、該当する施用効果のページを開き、地域で入手できる資材の中からできるだけ効果が高い資材を選定します。
 例えば物理性を早急に改善したい場合、短期的物理性改善効果を見ます。
 ここではイメージで示していますが、このように各資材の効果が表示されます。
 効果が高い資材が望ましいのですが、入手できない場合は次ぐ効果を持ち入手可能な資材を選択します。
 例えばバーク堆肥や牛ふん堆肥を入手不可能であり豚ぷん堆肥を潤沢に入手可能であれば、豚ぷん堆肥を選定します。
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 3番目に、選定した資材のページを開き、乾物施用可能量を仮入力します。肥料成分供給量等が表示されますので過剰成分が無いか確認し施用量を調整します。必要に応じて2番目に戻り資材を再選定します。
 ここでは豚ぷん堆肥を選定し乾物施用量1000kg/10aを仮入力しました。肥料成分代替効果をみるとリン酸とカリが50~60kg/10a供給されています。
 施用量が地域や作物の基準量以下かつ土壌リン酸とカリが過剰でなければこれでよいのですが、例えば土壌リン酸とカリが過剰であるので各25kg/10a程度にしたい場合は施用量が多すぎるので再入力します。
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 施用量500kg/10aを再入力するとリン酸とカリの供給量が各25kg/10aとなり概ね適正といえます。
 このように施用量が決まったら各肥料成分供給量(代替効果)を読み取ります。
 ここでは窒素3、リン酸30、カリ15、石灰25、苦土10kg/10aとなります。
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 4番目に肥料成分供給量から基肥施肥量を調節します
 例えば、豚ぷん堆肥を選定、施用量は乾物500kg/10a、基肥の基準施肥量が窒素25、リン酸25、カリ25、石灰100、苦土20kg/10aの場合、先ほどの例のように豚ぷん堆肥から窒素3、リン酸30、カリ15、石灰25、苦土10kg/10aが供給されますので、差し引いた数値である窒素22、リン酸0、カリ10、石灰75、苦土10kg/10aを基肥として施用します。
 このようにデータベースを活用することにより改善項目に応じ、かつ資材の肥料成分を勘案した効率的な土づくりと減肥が可能となります。
 留意点ですが、施用量に水分を含んだ現物重を入力すると施用効果が過剰に評価されてしまうため、資材の含水率を考慮して乾物重を入力してください。
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 データベースは今後随時アップデートする予定です。
 資材種類の追加、資材の細分化(例えば牛ふん堆肥を乳牛ふん堆肥に肉牛ふん堆肥に細分化)、現物入力機能の追加、検索機能追加等により、より使いやすくする予定です。
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