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研究成果詳細解説 かき「刀根早生」の母枝先端切り返しによる果実肥大促進技術

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0408215 更新日:2021年7月12日更新

かき「刀根早生」の母枝先端切り返しによる果実肥大促進技術

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 新潟県、特に佐渡地域の特産品である「おけさ柿」を構成する主要品種である「刀根早生」において、冬期せん定作業時に母枝先端を切り返すことにより果実肥大を促進し、大玉生産を可能とする技術について紹介します。
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 佐渡は、毎年10億円超の販売実績がある「おけさ柿」の産地です。佐渡地域の園芸振興会においても重点品目の一つとしてとして位置づけ、生産振興に努めています。
 令和3年度の重点対策としてL、2Lを中心とした売れる玉つくりをかかげ、特に佐渡島産として先行販売される「刀根早生」では大玉生産が重要な課題です。
 大玉生産の重点対策である摘らいの作業期間は満開14日前~5日前頃の約10日間と限られ、作業は天候にも左右されるため、労力確保や適期作業の実施が困難です。
 このため、摘らいと作業期間が異なり、果実肥大促進効果が期待できる技術が求められています。
 おけさ柿を構成するもう一つの品種である「平核無」では、冬期せん定作業時に母枝先端を切り返すと翌年の母枝当たり着らい数が減少し、摘らい作業が省力化できることが確認されていますが、同様の技術が「刀根早生」においては果実肥大を促進し、大玉生産を可能とすることが確認されました。
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 母枝先端切り返しの方法について説明します。
冬期せん定時に作業します。
 樹上の長さ20cm以上の母枝を選びます。これより短い母枝では果実肥大効果は確認されませんでした。詳細は後述します。
 対象母枝の先端から数えて第3芽に近い位置で枝を切り返します(図1)。第2芽と第3芽の中間で切り返して余分な枝を残した場合、生育に支障が生じる場合がありますので、注意しましょう。
 この方法により、母枝先端2芽を切り返すと、切り返さない場合(切り芽数0)や、1芽を切り返した場合(切り芽数1)と比較して有意に果重が増加します(図2)。
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 この技術は令和元年~2年度の2カ年に、佐渡農業技術センターの「刀根早生」2樹を用いた試験で果実肥大効果を確認しました。
 母枝先端を切り返した場合、少なくなった芽に養分が集中するため、発芽した新梢が長くなりすぎ、翌年の母枝として使えないのではとの質問が多くありましたが、新たに先端となった芽から発芽した新梢(第1新梢)が母枝より長くなることはほとんど確認されず、翌年の母枝として使用できました。
 ただし、一つの母枝に着果できる果実数は若干減少するため、慣行栽培と同様の収量を得るためには、母枝を1割程度多く残す必要があります。
 多めに残した母枝の先端を切り返すため、せん定作業時間は増加しますが、冬季せん定は落葉後(11月下旬)~催芽前(3月上旬)まで作業期間が長いため、余裕を持って作業することが可能です。
 切り返す芽数を3芽に増やした場合、母枝当たり着果数が極端に少なくなるため、一定の収量を得るために必要な母枝数が大幅に増加し、面積当たりの母枝密度が高まるため、選定作業時間の極端な増加、日当たりや風通し等栽培環境の劣化による果実品質の低下が懸念されます。このため切り返す芽数は2芽とします。
 長さ20cm未満の母枝では、先端を切り返しても果重の増加は確認されませんでした。また切り返す芽数を増やしたときと同様に、一定の収量を得るために必要な母枝数が大幅に増加するため、長さ20cm未満の母枝では先端切り返し技術は適用しません。
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