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大谷ダムの洪水調節のしくみ
大谷ダムの洪水調節方式
穴あき自然調節方式(ゲートレスダム)
ゲートレスダム
ダムに「穴」があいていて、その穴の大きさが限られていることでダムから流れ出る水の量を自然に調節する方式です。バケツの横に穴をあけて、水を入れた時と同じような原理です。この穴をダムの「常用洪水吐き」といいます。
笠堀ダムのようなゲート(とびら)がなく、それを操作する必要がないことから、最近のダムはほとんどこの方式を採用しています。
洪水調節のイメージ
流量-時間グラフ
大谷ダムの洪水調節のしくみ
1.貯水池の普段の状態
普段は常時満水位(常用洪水吐きののみ口の下まで)まで水がたまっています。その水は水道用水と河川維持用水(川がひあがらないようにする水)として使われます。
1.説明図
2.貯水池に流れ込む水が増えてきた時(洪水時)の状態
雪解けや降雨により貯水池に流れ込む水(流入)が増えてくると、貯水池の水位が上がり常用洪水吐きから下流に水が流れ出ていきます(放流)。
大雨が降り流入量がどんどん増えていくと、常用洪水吐きからの放流量も増えていきますが、常用洪水吐きののみ口の大きさが限られているため、放流量は制限されます。このことにより、下流での川のはんらんを防いでいます。下流への放流量を制限した分は、貯水池にためられます。
このように貯水池に一時的に洪水をためて、下流に流れる量を調整し、川のはんらんを防ぐことを洪水調節といいます。
2.説明図
3.洪水が終わり、貯水池に流れ込む水が減った時の状態
大雨がやんで貯水池への流入量が減ってくると、貯水池の水位が下がり常用洪水吐きからの放流量も減っていきます。
2でためた水があるので、洪水が終わってしばらくの間は放流量が多い状況が続きます。ためた水がなくなり貯水池の水位が常時満水位に戻ると、1の普段の状態となります。
3.説明図
4.想定を超えた異常な豪雨により、貯水池が一杯になった場合
ダムはこれまでの洪水の履歴などから、考えられる降雨に対して余裕をもって対応できるように設計されています。
しかし、万が一設計を超えるような異常な豪雨などにより、2でためた水で貯水池が一杯になってしまった場合には、ダムの安全を確保するため非常用洪水吐きから水があふれるようになっています(ダムが壊れて水が一気に下流に流れ出すと、大きな被害が発生するおそれがあるため)。このときには、流入量と放流量が同じ状態になります。流入量を超えて下流に流れることはありません。
ちなみに平成16年の豪雨の時にも、非常用洪水吐きから流れていくことはありませんでした。
4.説明図