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【村上】村上・岩船地域で頑張っている住民主体の活動団体を紹介します(第4回~NPO法人いわふね地域エコセンター~)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0052879 更新日:2019年3月29日更新

 「自分も何か、地元に貢献したい」、「この地域を元気にしたいアイデアがあるけれど、同じ事を考えている人はいないかな」など、地域活動に興味のある方は多いと思います。そんなときに、同じような考えを持ち、活動している団体が地域内にあるかもしれません。
 このページでは、村上・岩船地域で、住民主体で活動している団体・NPO法人について、1団体ずつ紹介していきます。

※NPOとは NPO(エヌ・ピー・オー)は、Nonprofit Organization の略称で、営利を目的としない団体という意味。現在、日本では、民間の非営利団体、その中でも特に市民が主体となって社会貢献活動を行っている団体を指してNPOと呼ぶことが多い。


 第4回は、村上・岩船地域で初めてNPO法人として認証され、有用微生物群を活用した環境保全について積極的に取り組んでいる「NPO法人岩船地域エコセンター」を紹介します。今回は、理事長の加藤治郎(かとうじろう)さんにお話を伺いました。

「岩船地域エコセンター」の成り立ちとEM菌について

村上・岩船地域で最初のNPO法人となられたわけですが、NPO法人として活動しようと思った理由を教えてください

 私たちの行っていることが公共性のある活動で、行政や企業等と協働していかないと成り立ちにくい活動だからと思い、NPO法人にしました。当時は司法書士に相談しても「NPOなんてわからない」と言われる時代でしたので、立ち上げには苦労しましたよ。

 最初はただ「もったいない」という思いで、3人の有志で生ゴミを堆肥化する活動をしていました。平成6年には有用微生物群やコンポスト(生ゴミ堆肥化容器)を活用した環境改善の取り組みを市役所と一緒になって行っていました。
 今となってはすごい冒険だったと思います。最初は知識がほとんどなかったですから。しかし、勉強を重ね、当時はこれでゴミが無くなるということでみんな一生懸命活動していました。

有用微生物群について詳しく教えてください

EM活性液のボトルの画像
EM活性液のボトル

 有用微生物群は乳酸菌や酵母菌、光合成細菌など私たちとって有益な菌が集まったものです。米のとぎ汁とかはそのまま流すとよくないですが、とぎ汁で有用微生物群の液をつくることができます。その液は、家庭での清掃や生ゴミ発酵肥料などに活用できます。

 エコセンターでは、現在、市から援助をいただいて種菌を買い、それを培養して使用しています。瀬波温泉の噴騰場脇で、温泉熱を利用して40度くらいに暖かさを保ち、年中培養できるようにしています。もとの種菌がどんどん増えていくので、わずかな資金をもとに、すごい効果を出しているとも言えますね。元となる有用微生物郡は市役所の売店でも売っていますよ。

「岩船地域エコセンター」の幅広い活動

現在は、どのような活動が中心ですか

 私たちの活動は、みなさんに環境やエコの意識を高めてもらうことが目的です。現在は、講習会を開いたり、学校で活動をしたりしています。
学校での活動は、無農薬・有機農法の学校田の取組に関わったところから始まり、現在はプールで有用微生物群を使った清掃実施の支援をしています。時期が終わったプールの水に有用微生物群を投入して、翌年清掃を行います。有用微生物郡を投入しないと藻が生え、清掃も大変ですが、これを投入すると楽に清掃ができるんです。村上市内の小学校のプールはほとんどがこの方法で清掃をしています。
 学校で活動するのは、これからの時代はやっぱり子供たちが元気にならなければいけないだろうという考えがあるからです。特に学校田は、しっかりとしたものを食べるという生きる力と、自分たちで自分たちのものを作れるという力を、ほんのさわりですけれども、養ってもらいたいと思っています。

 あと、市役所の花壇にも有用微生物群をつかっています。村上生活学校という会や老人クラブと一緒にコラボレートして市役所前にきれいな花を咲かせています。
 どの活動も学校や市役所など、みんなの力を借りないとできないプロジェクトです。そういうことを平成6年から、20年近くやってきたわけです。その蓄積されたノウハウを次の世代や行政にも活かしてもらいたいと思って活動しています。

理事長の加藤さんの画像
理事長の加藤さん

東日本大震災の被災地でも活動されたそうですね

 気仙沼市では津波が引いた後の悪臭対策に、亘理町では津波によって塩害を受けた農家のところに有用微生物群を散布しに行ってきました。こちらが実施するというよりもそういうやり方がありますよっていう技術提供です。亘理町の土壌は、イチゴのシーズンであるクリスマスには間に合わなかったんですが、散布を行ったことで土が軟らかく団粒状になったという連絡もいただきました。

最初は「もったいない」ということで始まったエコセンターの活動ですが、当初から自分たちのお金出してまでも苦労してEM菌を培養していますが

小学校での学校田の活動の様子の画像
小学校での学校田の活動の様子

 実は、粟島クリーンアップ作戦にも毎年参加しています。あの取組の良いところは、人間の力で海岸がきれいになるっていうのが実感できるところ。わざわざお金を払って労働力を出していますが、それはきれいになった海がみたいがためなんですよね。
 エコセンターも20年間やってきて、この先もこれを続けていけばもっと良くなることがわかるから活動を継続できるんです。楽しみを自分で買ってやっているって思ってます。

 東日本大震災のボランティアを見ていても若くて意欲のある方が増えてきていますよね。エコセンターにも、大学を出て村上に帰ってきて、一生懸命活動をしてくれる若者がいます。彼は、偶然にも私たちが小学校で学校田の取組を始めた時の生徒だったんです。何をやるにしても飲み込みが早くて、エコ伝言板(エコセンターの広報誌)の作成やブログなどもやってくれています。

印象に残っている活動、今後の展望

これまでの活動の中で一番印象に残っている出来事はなんでしょうか

 これはおもしろい話なんですが、市内に川の沈砂地(ちんさち)で悪臭がひどいというところがありました。当時は市で、炭や蛎殻を投入したりしていました。最終的に仕方なくバキュームで吸い上げていました。
 平成10年にここをなんとかできないかという話が出て、ヘドロに有用微生物群を注入したんです。その場所は微生物の層がヘドロ化してしまっていて、これに変わる何かを入れないといけないということで。
 その後、1年弱ぐらいで、ドロ魚が出てきました。本当に魚が一匹もいなかった所だったのに、近所の漁師や地元の人たちが、ある日突然魚が一匹泳いでいるっていう話を聞かせてくれました。やっぱりやれば効果があるんだなっていうのを実感しましたね。平成12~13年頃には、ヘドロをすくっている業者からも、魚がウヨウヨいるという話も聞くようになりました。

 ある程度状況が回復してきて、平成13年からは水を汚す原因となっているであろう上流から有用微生物群を流す対策に切り替えました。
 市内にある清水川という川が臭くて困っているという話があって、市からの依頼をうけて「清水川を守る会」と一緒に、「下流でこうなっているのは、こういう原因があるから原因をカットしてください」「有用微生物群をあげるから撒いてください」というお願いをしたのです。私たちが直接やってもいいのですが、そうすると意識が高まらないので、意図を説明して実施してもらいました。
 3年くらいその取組を実施したら、悪臭もなくなりましたよ。

今後の活動についてはどのようにお考えですか

 私たちの活動は、完結型のモデルをつくることです。ですから、それを地域でコピーするっていう形でこのモデルの拡大図を作ってもらいたいと思います。
 大量生産・大量消費の社会の中で、化学肥料や化学物質がもちろん必要な時もあります。しかし、それを使わなくていいときは使わないようにということで、微生物を使って環境に優しい形を実践しているんです。例えば、悪い状態の河川の水を水道水にして飲んでいると、体力が弱まって、最終的には医療費の増大というような話になってしまいます。結局回り回って医療費とかに還元してくるんですよね。その基を作っているのは自分たちのライフスタイルだっていうことに、活動しているうちにだんだん気がついてきました。
 将来的な予算削減につながればということもひとつですし、将来に向かって元気な子供たちを育てていくという想いもあって、「まちづくり」っていうことにやっとベースが認識できてきました。私たちは、ベースをちゃんとつくって、そこで育った人がいい社会をつくってくれればと思っています。

温泉熱で活性液を培養している施設の画像
温泉熱で活性液を培養している施設

 この度村上市でも環境条例ができて、条例に則って、水・川をきれいにしましょうということで、行政や企業等とも一緒に活動をしていきたいと思います。
 また、私たちは、企業や行政と住民をつなぐパイプ役にこれからなって行くんだろうなと思っています。
 私たちの活動を基にして、解決できることがいっぱいあるのではないかと。より多くの住民のみなさんに環境について早く意識をもっていただいて、みんなで地域きれいにしていきたいと思っています。

(平成24年1月10日 聞き手:企画振興部 増田、三浦)

「NPO法人 いわふね地域エコセンター」の概要

 

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