本文
患者さんとの時間を大切に~村上総合病院「ユビー生成AI」~1(新潟の未来図鑑withデジタル)
新潟県厚生農業協同組合連合会 村上総合病院医事課 鈴木 博文さん
看護部 橋本 真奈美さん
インタビュアー 新潟県 知事政策局 参与(デジタル改革担当) 佐藤 久信
病院業務を効率化し、生産性を向上させることで、医師や看護師が本来担うべき業務に注力できる環境を整え、より患者さんに寄り添った医療の提供を目指して、県内で初めて「ユビーメディカルナビ 生成AI」を導入した村上総合病院。どのように活用されているか伺ってきました。
生成AIとの協同!
佐藤 村上総合病院では生成AIの活用を始められたと聞きましたが、どのようなことに活用しているか教えてもらえますか?
鈴木 まず、患者さんとの面談や会議などでは音声認識を使い、文字に起こしたデータから議事録を作成するのですが、これがAIで簡単にできるようになりました。それから、患者さんの入院中の経過を電子カルテからコピーしてシステムに貼り付けて送信するだけで、退院サマリーが作成できたり、手術記録や栄養情報提供書などにも活用できたりし始めています。ほかにもAI問診の内容をコピーして療養計画書の作成、電子カルテの内容をコピーして救急医療管理加算算定の補助にも活用しています。
佐藤 いろいろなことに利用し始めてますね。議事録の作成はAI活用方法の中でも代表的なものですが、せっかくなので、これからやらなきゃいけないこと、to doリストのようなものも議事録と一緒に作るように、プロンプト(AIへの指示)を改良するとより効率的になると思いますよ。ところで、生成AIを導入するきっかけはどういったことだったのですか?
橋本 当院でも慢性的な人手不足に悩まされており、電子カルテへの入力や退院サマリー、手術記録などの文書を作成する手間が問題になっていました。そこで、文書作成の手間を減らし、業務を効率化して医師や看護師など、病院職員の負担を軽減し、より患者さんに注力できるようにすることを目的として導入しました。導入にあたっては、病院長の「柔軟にやってみよう」という前向きな姿勢が大きかったです。
佐藤 実際に生成AIを導入しての成果、効果について教えてもらえますか?
橋本 診療科ごとで生成AIの活用状況が違うので一概には言えないところはありますが、手術記録の作成時間が約半分になったというような科もあることから、業務の効率化に効果が出始めているかなと思っています。
佐藤 手術記録の作成時間が半分になったというだけでも、実際作業する人にとっては大きいですよね。どんどん活用が進んでいくと良いですね。活用を進めていく上での課題はどのように感じていますか?
橋本 課題としては、診療科ごとに医師の考えなど方針の差もあって、業務のやり方が違ったり、活用しようという範囲が違ったりしているので、各診療科で生成AIの活用内容などを検討し、それぞれプロンプトを作成して、試行を繰り返して実用化していくため、なかなか病院全体での活用が進んでいないことです。それでも、活用の促進に向けて毎月各部署の人にも集まってもらって、どんどん使っていこうという会議も行っていて、薬剤部や栄養科などでもプロンプトの作成を始めているので、少しずつ活用は進み始めたかなと思います。
それから、生成AIなので、診察時の音声を認識して、そのまま電子カルテのフォーマットに文章を起こすといったことには、まだ機能として対応していない点です。これはシステムの問題ではなくハードウェアの問題のようですが。
佐藤 診療科ごとに導入内容を検討となると大変ですね。それでも効果が少しずつでも見えてくると、病院でも進んでいくかなと思います。