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原子力防災訓練を通じて浮き彫りになった課題について、原子力規制委員会に対し必要な対応を要請します。
昨年11月11日に実施した原子力防災訓練を通じて浮き彫りになった課題について、原子力規制委員会が定めた原子力災害対策指針等の見直しなど具体的な対策が必要なことから、下記により、危機管理監が原子力規制庁に対し必要な対策を行うよう要請します。
また、当日は、内閣府(原子力防災担当)、厚生労働省、防衛省の担当にも要請書を手交します。
なお、知事と原子力規制委員会委員長の面談を依頼していたところでありますが、原子力規制庁から、委員長は直接要請を受けないとの回答がありました。
記
- 日時 平成27年2月6日(金曜日)午後3時30分から
- 場所 原子力規制庁(東京都港区六本木1丁目9番9号)
- 報告者 新潟県危機管理監 坂井 康一
- 対応者 原子力規制庁 原子力災害対策・核物質防護課長、監視情報課長
- 取材について
要請時の取材はできません。要請終了後、午後4時15分頃から、県危機管理監が原子力規制庁5階非常駐スペースで取材に応じます。
原子力規制庁受付で入構手続きのうえ、非常駐スペースにおいで下さい。
本件についてのお問い合わせ先
原子力安全対策課長 須貝
(直通)025-282-1690(内線)6450
平成27年2月6日
原子力規制委員会委員長 田中 俊一 様
住民等の防護対策について
新潟県知事 泉田 裕彦
新潟県では、去る11月11日、地震との複合災害を想定して、原子力防災訓練を実施しましたが、この訓練を通じて、いくつかの課題があらためて浮き彫りになりました。
つきましては、次の課題について、原子力災害対策指針等の見直しを行うなど、具体的な対策等をできる限り速やかに構築するようお願いいたします。
- 高線量下等での災害対応
高線量下及び高線量となるおそれのある状況下において、民間事業者(バス事業者、運送事業者、インフラ事業者等)、自治体職員(安定ヨウ素剤・物資配布者、放射線量測定者、広報活動者等)、防災関係機関(自衛隊、消防機関等)は、どのように災害対応を行うべきか、労働安全衛生法、地方公務員法等の法制度とともに、指揮、責任、賠償等に係る法制度を整備してくださるようお願いします。
併せて、業務従事者の安全を確保するため、現場において活動する際の放射線防護装備及び除染施設等について、財源措置等をお願いします。 - 複合災害時の組織体制等
複合災害時においては、国・自治体において、オフサイトセンターを含め原子力災害や自然災害の対策本部が複数立ち上がり、国のそれぞれの本部からの指示等、指揮系統が二重となって現場の業務が錯綜し、混乱を招くこととなります。
このため、複合災害に迅速・的確に対処して防災対策を総合的に実施するよう災害対策基本法や原子力災害対策特別措置法を一元的に見直すとともに、災害対応方針の決定手順や、それぞれの役割が明確に定められるよう組織体制を構築してくださるようお願いします。 - 安定ヨウ素剤の配布、服用等
- UPZにおける配布、服用
屋内退避指示下における安定ヨウ素剤の配布・服用に関し、住民の不安や混乱を防ぎ、適時・適切に服用ができるようにするためには、UPZにおいても事前配布が望ましいと考えております。
よって、現実的な対応を可能とするため、原子力災害対策指針を見直すとともに必要な財源措置等を講じてくださるようお願いします。
併せて、安定ヨウ素剤を原子力防災の観点から配布する場合については、医療用医薬品から一般用医薬品としても位置づけるなど、医師の関与なく配布できるよう関係省庁に勧告等の働きかけをお願いします。 - 乳幼児の服用
乳幼児用の安定ヨウ素剤の開発及び製造について、製薬業者を指導・支援するなど、乳幼児が確実に安定ヨウ素剤を服用できる体制を確立してくださるようお願いします。 - UPZ外における配備
UPZ外であっても、放射性物質による被ばくの影響が及ぶ可能性があるため、安定ヨウ素剤の配備が必要と考えております。
よって、UPZ外における安定ヨウ素剤の配備について、自治体の判断に基づいた現実的な対応を可能とするよう、原子力災害対策指針を見直すとともに必要な財源措置等を講じてくださるようお願いします。 - 通勤者等への対応
安定ヨウ素剤の配備・配布に関し、通勤・通学者や一時滞在者等に対する体制の構築も必要であると考えております。
職場等への安定ヨウ素剤の配備等について、現実的な対応が可能となるよう原子力災害対策指針に明記するとともに、必要な財源措置等を講じてくださるようお願いします。 - 補償制度
住民不安を軽減するため、副作用や誤飲等による事故が発生した際に補償を受けることが可能となるよう、制度を創設してくださるようお願いします。
- UPZにおける配布、服用
- SPEEDIの活用
実測値による防護措置の判断では、被ばくが前提となり、住民の理解が得られるか疑問があります。
福島第一原子力発電所事故では、線量の高い地域に避難して被ばくした人がいたこと、原子力防災訓練で地元から避難先の判断を求められたことなどを踏まえると、適切な防護措置の判断には、SPEEDIも活用すべきです。
そのために、原子力災害対策指針と関連資料を見直すとともに、関係道県が利用できるようにしてくださるようお願いします。 - 避難困難者への対応
- 福祉施設、病院等の防護対策
施設入所者、入院患者等は迅速な避難が困難なため、福祉施設、病院等の放射線防護対策事業の対象エリアを30km圏内及び影響を受ける範囲にも拡大してくださるようお願いします。 - 屋内退避施設
複合災害時等には、健常者でも避難が困難となることが想定されるため、堅固な屋内退避施設(シェルター)整備の事業化を速やかに進めてくださるようお願いします。 - 屋内退避者の支援
高線量下等の避難困難時において、屋内退避者への物資等の供給や救出活動等を的確に行えるよう自衛隊の通常任務に事故対応を追加するか、現場対応ができる部隊を設置してくださるようお願いします。
- 福祉施設、病院等の防護対策
- 防護対策に要する財源措置等
実効性のある原子力防災体制を構築するため、上記1~5への対応に伴う財源措置のほか、安定ヨウ素剤の事前配布等の原子力災害対策指針で定められた防災対策に係る財源措置や人的支援を確実に行ってくださるようお願いします。
加えて、原子力災害対策重点区域の内外にかかわらず、地元自治体が必要と判断する次のような財源措置を十分に行ってくださるようお願いします。
なお、次の施設、設備等については、耐震・耐雪・耐津波等の複合災害に備えた性能を有するものが整備できること等、十分な財政規模で措置くださるようお願いします。- 30km圏内の一時集合場所、避難所、自治体庁舎等の放射線防護対策
- 住民向けの防護マスク(5km圏内)、簡易マスク(5km以遠)等の整備
- 30km圏内の安定ヨウ素剤の事前配布体制(説明会開催、システム開発等を含む)の整備
- 30km以遠における安定ヨウ素剤の配備
- 30km圏内で災害対応に当たる民間事業者等向けの防災資機材等の広域的な整備
- 30km以遠の県地域機関、避難者の受入市町村、大型避難施設等を含む県内全域における災害対応拠点施設間の通信情報伝達システムの整備
- モニタリングポストの5km間隔を基本としたきめ細かい広域的な配置
- 車両スクリーニング設備及び除染施設等の広域的な配置
- 県内の被ばく医療機関の設備の整備
- 高線量下での対応が可能な防護機能を有する搬送車両の整備
- 広域避難や初動対応を円滑に実施するための県内全域における道路整備
- 5km圏内の自治体庁舎の緊急時の移転計画の策定等
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