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研究成果詳細解説 GABAを高効率に生産する新規乳酸菌の特長と利用方法

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0408213 更新日:2021年7月12日更新

GABAを高効率に生産する新規乳酸菌の特長と利用方法

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新潟の伝統発酵食である無塩漬物「いぜこみ菜」から分離した乳酸菌に機能性アミノ酸の一つであるGABAを高効率に生産する特長を見出しました。
GABA(ガンマーアミノ酪酸)には血圧の上昇を抑えること、リラックス効果等があると言われています。
この菌株を利用することで、高付加価値素材の製造・販売を志向する県内食品メーカーの収益拡大が期待できます。
発酵食品・素材製造業者等の方々が主な導入対象です。
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背景とねらいです。
県内食品メーカーにとって、県外事業者と差別化できる付加価値の高い商品の開発が課題となっています。
その中、地域特有の原料及び、微生物を活用し、発酵食品の付加価値を高める活動が広がっています。
食品研究センターでは、長岡市山古志地域の伝統発酵食である無塩漬物「いぜこみ菜」から機能性アミノ酸の一つであるGABAを効率よく生産する乳酸菌を見出しました。
乳酸菌はYH30-17株(Levilactobacillus brevis YH30-17)と名付けられました。
その特長と利用方法についてお示しします。
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左の図1の写真は、乳酸菌YH30-17株の分離源である長岡市山古志地区の伝統発酵食である無塩漬物「いぜこみ菜」です。
右の図2は乳酸菌YH30-17株の電子顕微鏡写真です。
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乳酸菌YH30-17株の特長について説明します。
乳酸菌YH30-17株はグルタミン酸ナトリウムを原料にGABAへと変換します。
乳酸菌YH30-17株は、既知のGABA高産生株 NBRC12520と同等以上の高いGABA産生能(GABA変換率)を示しました(表1)。
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乳酸菌の特長の2つ目です。
乳酸菌YH30-17株の生育至適温度は30℃前後ですが、10℃以上で生育できる低温増殖性(図3)とpH3.5以上で生育できる低pH耐性(図4)の特長をもっています。
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特長の3つ目として、乳酸菌YH30-17株を用いた、GABAの効率的な生産方法についてお示しします。
米糠とグルタミン酸ナトリウムを主原料とした液体培地(重量比で米糠10%、グルタミン酸ナトリウム5%、グルコース2%、酵母エキス1%)に乳酸菌YH30-17株を初発菌数で106個/gになるように添加し、図5のように発酵装置(ジャーファーメンター)で培養します。
糠が沈殿して固着しないよう攪拌(1分間に60回転)しながらに30℃で培養します。
のちほど説明しますが、GABAが生産しやすいpH条件は5付近と言われていますので、pHを調整するため、培地にクエン酸添加の有無も検討しました。

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図6は、発酵時間によるGABAの変換率の推移を示したものです。
144時間後(6日後)にグルタミン酸の9割以上がGABAに変換されており(クエン酸無添加でお示しのグラフ線です)、GABAを高効率に生産できていることがわかります。

グルタミン酸をGABAに変換する酵素反応の至適pHはおよそ5付近と言われています。

乳酸菌YH30-17中のこの酵素がよく働くように先ほどお示しした培地組成にクエン酸(重量比1%)を添加し、初発のpHを5付近に調整した培地を用いて発酵を進めてみると、48時間後(2日後)にはグルタミン酸の9割以上がGABAに変換されており
(クエン酸添加でお示しのグラフ線です)、GABAをより短時間で高効率に生産できていることがわかりました。

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図7は、発酵時間によるpHの推移を示したものです。
グルタミン酸からGABAが生産される際に脱アミノ酸反応に伴い、pHの上昇がみられます。
先ほどのGABA変換率のデータと照らし合わせていただきたいのですが、培地中のpHが上昇し、安定した時点がGABA濃度のピークと一致します。このことから、pH測定により発酵終点を推測できます。
左図はクエン酸を添加した場合のもので、発酵終点をより把握しやすくなります。
 
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導入効果についてですが、この菌株を利用することで、高付加価値素材の製造・販売を志向する県内食品メーカーの収益拡大が期待できます。
導入対象についてですが、発酵食品・素材製造業者等の方々が主な対象です。
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最後に留意点をお示しします。

乳酸菌YH30-17株のご利用をご希望の際は、食品研究センターにお問い合わせ下さい。
本成果で示したGABAの生産効率は、米糠を用いた液体培地によるものです。
他の発酵物、例えば糠床等に用いる場合は、条件等が異なりますので、食品研究センターにご相談下さい。 
乳酸菌YH30-17株は理化学研究所微生物材料開発室にJCM34252株として寄託しています。

スライド11

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