ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > しごと・産業 > 農林水産業 > 研究成果詳細解説 カリウムイオンメーターを用いた粗飼料中カリウム含量の簡易測定法

本文

研究成果詳細解説 カリウムイオンメーターを用いた粗飼料中カリウム含量の簡易測定法

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0408206 更新日:2021年7月12日更新

カリウムイオンメーターを用いた粗飼料中カリウム含量の簡易測定法

スライド1
 カリウムイオンメーターを用いた粗飼料中カリウム含量の簡易測定法について説明します。
スライド2
 乳牛の重大な疾病の1つである乳熱の原因の1つに飼料中カリウムの過剰給与があります。
 カリウム含量が過剰な飼料を過給することでカルシウムの吸収が阻害され、低カルシウム血症を誘発し、乳熱の発症→筋機能の低下→起立不能→食欲低下→乳量減と乳牛の生産性低下につながる恐れがあります。
 また、低マグネシウム血症の誘発によるグラステタニー発症の恐れもあります。
スライド3
 植物(飼料作物)は土壌中カリウムを必要以上に吸収(いわゆる贅沢吸収)するため、堆肥の過剰施用や土壌交換性カリウムを考慮しない施肥に伴う粗飼料中のカリウム含量の過剰により乳熱の発症リスクが高まります。
 特に、乾乳牛では粗飼料中のカリウム含量を乾物中2%以下に抑えることが推奨されています。
 さらに、給与飼料全体でもカリウム含量が乾物で3%を超える飼料の給与は避けた方がよいとされています。
 そのため、給与する粗飼料中のカリウム含量を随時把握する必要があります。
スライド4
 疾病リスク回避には、給与する粗飼料中のカリウム含量を随時把握し、飼料設計に反映させることが最も有効となりますが、県内で主流となっているRQフレックス法は、簡易分析とはいえ操作が煩雑で、かつ高コストでした。
 そこで、市販されている小型カリウムイオンメーターを用い、酪農家の庭先で簡易かつ低コストにカリウム含量の測定ができる手法を開発しました。
スライド5
 実際の簡易分析手法を示します。
 まず分析用抽出液の調製を行います。手順は次のとおりです。
 (1)試料の水分を事前に測定もしくは推定し、
 (2)試料を5mm程度に細断し、よく混和します。
 (3)次に表1に対応する試料採取分量と水道水をミキサーに量りとり、
 (4)試料と水道水をミキサーに加えたら1分間ミキシングを行います。
 (5)その後、上澄みをコーヒーフィルターで濾過し、分析用抽出液を得ます。

スライド6
 続いて、得られた分析用抽出液をカリウムイオンメーターで測定していきます。
 操作方法は簡単です。
 カリウムイオンメーターのセンサー部分に分析用抽出液を滴下するのみです。
 滴下する量は、センサー部分が浸る程度で十分です。
スライド7
 カリウムイオンメーターによって得られた数値を、スライドに記載の算出式に代入し、現物中カリウム含量(%)を算出します。
 本簡易法の標準誤差は現物で0.04%、乾物で0.14%であり、測定精度は高いです。
スライド8
 安全性とコストについてです。
 本法は水道水で抽出するため、硫酸を用いて分析用抽出液を得る現行法に比べて安全性が高いです。
 また、分析所要時間は40分程度(水分測定を除く)で、使用試薬数、工程数は少なく、機器コスト、消耗品コストも安価です。
 よって、簡易かつ低コストな測定法として開発できました。
スライド9
 最後に留意点です。
 試料が多すぎると抽出液中のカリウム抽出率が低くなるため、乾物で4gを上限とします。
 同抽出液を用いて、RQフレックス等での硝酸態窒素の測定も可能です。この場合、算出に用いる抽出率は100%とします。
 また、本法は野菜のカリウム含量の測定に用いることも可能です。
スライド10

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)

<外部リンク> 県公式SNS一覧へ