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【中越】中越教育事務所「所長室から」9月 をアップしました。

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0468607 更新日:2022年9月27日更新

 

  「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を

 予測困難な時代であり、新型コロナウイルス感染症により一層先行き不透明となる中、答えのない問いに、どう立ち向かうのかが問われています。未来を切り開いていく子どもたちには、目の前の事象から解決すべき課題を見いだし、主体的に考え、多様な他者と協働的に議論しながら、納得解や最適解を生み出す能力が一層必要になっています。

 令和3年1月の中央教育審議会答申『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~』には、令和の日本型学校教育における「子供の学び」の姿が、下表のように示されています。

 

個別最適な学び【学習者視点】

 (=個に応じた指導【教師視点】)

協働的な学び

子供が自己調整しながら学習を進めていく

子供一人一人のよい点や可能性を生かし、子供同士、あるいは地域の方々をはじめ多様な他者と協働する

<指導の個別化>

子供一人一人の特性・学習進度・学習到達度等に応じ、

教師は必要に応じた重点的な指導や指導方法・教材等の工夫を行う

<学習の個性化>

子供一人一人の興味・関心・キャリア形成の方向性等に応じ、教師は一人一人に応じた学習活動や課題に取り組む機会の提供を行う

一定の目標を全ての子供が達成することを目指し、異なる方法等で学習を進める

異なる目標に向けて、学習を深め、広げる

異なる考え方が組み合わさり、よりよい 学びを生み出す

 各学校では、教科等の特質に応じ、子供や学校・地域の実情を踏まえながら、授業の中で「個別最適な学び」の成果を「協働的な学び」に生かし、更にその成果を「個別最適な学び」に還元するなどして、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を往還させ、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげていくことが大切です。

 さて、内外教育第6748号(時事通信社)に、東京学芸大学の児島邦宏名誉教授が『「深い学び」を深めよう』と題した内容を寄稿しました。「主体的・対話的で深い学び」を構想する参考になると思われますので、要約した内容の一部を下の枠内に紹介します。

 

 深い学びの特質については、特に二つの特質に注目したい。

 一つは、実生活等をはじめ身近な問題に適用し、生かせる未来志向、創造的な知性が求められる点である。これまでの理解し記憶するだけの過去志向、正解主義の知識の蓄積だけの学びだったら、AIに任せておけばいい。

 もう一つは、学習の過程がより重視されている点である。課題解決(問題解決)学習と探究学習との違いがそこにある。

 課題解決学習では、課題の解決が学習のゴールとなり、その到達点が「正解」となる。解決の見込みのない課題、「正解」のない学びは、あらかじめ排除される。

 探究学習では、課題の探究が進めば進むほど、出口は見つからず、深みにはまり、ゴールフリー、オープンエンドの学習となることも生じる。「正解」へと学習が収 れんしていくのではなく、ゴールがますます拡散していくことにもなり、「問題解決されない学習」にもなる。それは実生活そのものでもある。学びの結論を根拠と結びつけて、批判的に検討していくことが何より重視される。何が「正解」かは判然とせず、「なるほどそういうことだったのか」という「納得解」、「これが最もふさわしい」という「最適解」へと導かれる。総合的な学習でその一端を試行したものの、教科横断的な本格的な取り組みは、「深い学び」に始まると言ってよい。この未知への挑戦にどう臨むか、その決断が、今、促されている。

  これまでも、各学校では、総合的な学習の時間や各教科等の指導計画に、探究的な学習や問題解決学習等を位置付けて、学習の個性化を図りながら「主体的・対話的で深い学び」を実現し、未知の状況にも対応できる、「思考力、判断力、表現力」の育成につなげてきていることと思います。

 これからは、全ての子供たちが、答えのない問いに、納得解や最適解を導き出すことができる「自立した学習者」へと成長することを目指して、「思考力、判断力、表現力等」の育成に加え、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力、人間性等」の涵養を図ることが一層大切になっていきます。

 そのためには、総合的な学習の時間における探究の過程「課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現」を重視した教科等横断的な学習を基盤にして、各教科等でも、単元配列や時数配分を工夫するなどして、子供たちが探究的な学習に挑戦する機会を少しずつ設定していく試みが必要になります。

 また、子供たちが「自ら解決したい」と設定した課題に解決の見込みがなかったり、追究するほど学習が拡散して解決が難しかったりする場合であっても、探究する機会をあえて提供することが大切です。

 探究的な学習を通して、子供たちは、自ら調整しながら学習改善を図り、他者と協働的に議論しながら、納得解や最適解を導き出す「主体的・対話的で深い学び」を経験していきます。

 さらに、子供たちの発達段階に応じて、探究的な学習に取り組ませる教科等や単元、時数を検討し、指導計画へ適切に位置付けていくことで、子供たちは探究する経験を蓄積し、実生活等をはじめ身近な問題に適用できる探究の方法を身に付けていきます。

 教職員一人一人が、目の前の子供たちや学校・地域の実情に即して、大いに創意を発揮し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善に挑み続けていくことを心より願っております。

 

令和4年9月27日

中越教育事務所長 長谷川 晋

 

所長室から 9月「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を [PDFファイル/177KB]

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