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中古車購入の留意事項
- 購入する車の状態を良く確認しましょう。
中古車は新車と違い、1台として同じ状態のものがありません。中古車を購入するときは車の表示を見るだけでなく、自分の目で車の細部まで点検したうえで、エンジンをかけたり、試乗して車の状態を確認することが重要です。インターネットの情報だけを頼りに購入することはトラブルのもとです。 - 信用できる業者から購入しましょう。
中古車販売業者のなかには消費者の苦情を全く受けつけない業者もいます。そのような業者とトラブルになったときは、解決は大変困難ですので、信用できる業者を見極めることが重要です。中古車販売の業界団体では自主ルールを定めているので、業者が業界団体に加盟しているかどうか確認することも重要なポイントです。
相談状況
- 県内では毎年200件前後の中古車購入に関する相談が寄せられています。
- そのうち解約に関する相談が3分の1以上あり、クレーム処理、早期故障に関する相談は約1割から2割あります。
(相談事例)購入後、すぐに不具合が発生
ネットで注文して、販売店に出向いた。「事故車だが大丈夫だ」と追い立てられるように車のキーを渡された。エアコンを使うとガラス片が吹き出てきたり、左側のドアが不安定なので、近くのディーラーに見てもらったところ、大きな事故だったらしく、車軸が偏っているとの話だった。ディーラーから「乗車するのは危ない。修理すると多額の費用がかかる」と言われた。販売店に解約返金を求めたが、「現状渡しだ」と怒鳴られた。
「現状渡し」とは?
「現状渡し」とは一般に「保証なし、定期点検整備なし」の販売形態ですが、購入後、業者の責任を一切免じるという契約ではありません。中古車に当然予想される通常の自然消耗ではない不具合で、購入の際に説明されていないものが発生した場合には、業者は民法第570条に規定する「売主の瑕疵担保責任」を免れることはできません。
なお、業界ルールでは整備が必要な箇所がある場合は、販売時に明示することになっています。
「事故車」とは?
業界ルールでは「事故車」の表示はありません。その代わりに「修復歴」を表示することになっています。「修復歴」とは車体の骨格に当たる部位を修正や交換した経歴のことです。「修復歴」有りは重度の修理を行っているということなので、業者から修理の状況について詳しく説明を求めましょう。
なお、骨格に当たらないフェンダーやドアのキズやへこみを修理しただけでは「修復歴」にはなりませんので、注意が必要です。
中古車販売の業界ルールとは?
自動車販売の業界ルールに「自動車公正競争規約」があります。この規約は業者による不当な顧客の誘引を防止し、消費者が自主的かつ合理的な選択ができることや事業者間の公正な競争を確保することを目的としています。内容としては店頭の展示車に「販売価格」、「走行距離数」、「整備の実施」、「保証の有・無」、「修復歴の有無」等を表示することや不当表示を行わないことを定めています。
(相談事例)解約を申し出たら、解約料を請求された
販売店で車を見せてもらい、軽自動車の購入を契約し1万円払った。しかし、家族に反対され、3日後に解約の電話をいれたら解約料として価格の1割を払ってほしいと言われた。1万円は諦めるが、その他に支払うのは納得できない。
解約するには?
中古車はクーリング・オフができないので、契約成立後は業者と合意しなければ解約できません。しかし、契約成立前であれば消費者からの申し出でキャンセルが可能です。注文書に署名・捺印していたとしても契約が成立してない場合もあるので、書面を良く確認しましょう。なお、業界団体の注文書標準約款では(1)登録(2)改造、架装、修理(3)引渡しのうち最も早い日を契約の成立日としています。
解約料は?
消費者の都合で解約し、業者に損害が出た場合は解約料を支払わなければなりません。購入の際に解約料がどうなるのか確認しておきましょう。
なお、消費者契約法第9条第1項には、キャンセルに伴う違約金を定める条項で「契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分」は無効と規定されていますので、業者から高額な解約料を請求されたときは、解約料が適正であるか説明を求めましょう。