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出穂期の早晩と割れ籾の発生のしやすさから評価した水稲品種の斑点米被害の発生リスク

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0295221 更新日:2020年7月1日更新

水稲品種の斑点米の発生リスクは、出穂期と割れ籾の発生のしやすさで評価できる。出穂期の早い品種ではアカヒゲホソミドリカスミカメ、遅い品種ではアカスジカスミカメが主な加害種である。出穂期の早い品種は、斑点米被害の発生リスクが高いため防除を的確に行う。

 

出穂期の早晩と割れ籾の発生のしやすさから評価した水稲品種の斑点米被害の発生リスク [PDFファイル/249KB]

 

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新潟県では、業務用米のニーズに応えるため、多収性品種を中心に新たに品種を導入する農業者が増え、作期を分散させるため、極早生から晩生まで多くの品種が栽培されています。
斑点米の原因となるカメムシは、出穂を契機に水田内に侵入するため、出穂期が異なれば斑点米の発生実態も異なると考えられます。
そのため、防除については加害種等の発生実態に応じた薬剤防除を行うことが基本です。
しかし、圃場毎に加害種等の発生実態を把握することは難しく、さらにこれまでに栽培したことのない品種であれば、発生実態の把握はより難しくなります。
そこで、品種によるカメムシの発生実態を明らかにし、斑点米被害の発生リスクを評価することを目的に、調査を行いました。

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このグラフは、新潟県の主要な斑点米カメムシであるアカヒゲホソミドリカスミカメとアカスジカスミカメ成虫の、雑草地での発生消長の模式図です。
2種のカメムシとも、秋に雑草に産み付けられた卵で越冬し、アカヒゲでは越冬世代を含めて年5世代、アカスジでは4世代を経過します。
水田へは、2種カメムシとも出穂を契機に侵入します。

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グラフは、出穂期の早晩とカメムシ成虫捕獲数との関係を示したものです。出穂期の早晩は同じ年のコシヒカリの出穂期を基準の0とし、出穂期が早ければ-、遅ければ+になります。
アカヒゲホソミドリカスミカメでは出穂期が早いほど成虫捕獲数が多く、アカスジカスミカメでは出穂期が遅いほど成虫捕獲数が多くなる関係が認められました。
また成虫捕獲数は、出穂期が早い場合にアカヒゲホソミドリカスミカメで特に多くなりました。

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これまでの研究で、斑点米の発生には『割れ籾』が関与することが分かっています。
割れ籾とは、内穎と外穎の合わせ目に隙間の見られる籾のことです。
アカヒゲやアカスジは吸汁するための口器が弱く、もみ殻を貫通して吸汁することができません。
そのため、もみ殻が固くなる登熟中期以降は、内穎と外穎のわずかな隙間からしか吸汁することができないため、
割れ籾が多い場合は登熟中期以降の加害により斑点米が多くなり、逆に割れ籾が少なければ、斑点米の発生も少なくなります。

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実際に調査した各品種の割れ籾率と斑点米率です。
斑点米率は、出穂期が早く、割れ籾率の高い品種で高い結果となりました。

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このグラフは、複数の試験の結果をまとめ、各品種の割れ籾率を示したものです。

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ここまでをまとめます。
斑点米カメムシの種類と発生量は、出穂期の早晩で異なりました。
出穂期の早い品種ではアカヒゲ、遅い品種ではアカスジが主な加害種と考えられます。
また出穂期の早い品種ではアカヒゲの発生量が多くなりやすいと考えられます。
なお、一般的にアカヒゲ、アカスジ以外の各種斑点米カメムシは、出穂期の早い品種で発生が多くなりやすいです。
斑点米の発生には割れ籾が関与し、割れ籾の発生のしやすさには品種間差があります。

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これまでの知見や試験結果から、総合的に考慮して斑点米被害の発生リスクを評価しました。

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リスクの高い品種は、出穂時期と防除計画を十分確認して、農作物病害虫雑草防除指針を参照して確実に適期防除を行いましょう。

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最後に成果の内容をまとめます。

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