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水稲稚苗無加温育苗における播種時期と資材の組合せのめやす

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0295564 更新日:2020年7月1日更新

稚苗無加温育苗における被覆資材には、適度な保温性とヤケ苗を防止できるシルバー(表白)又は発泡シートが適する。
また、シルバーと不織布の二重被覆は温度が高まりやすく、ヤケ苗のリスクが高く、アルミ蒸着は5月上旬播種の育苗ハウスでも高温を抑制できる。

水稲稚苗無加温育苗における播種時期と資材の組合せのめやす [PDFファイル/1.04MB]

 

 

01

水稲経営の大規模化等により播種時期や育苗期間が拡大し、育苗
障害が発生しやすくなっています。
低温の時期は、生育不良、ムレ苗、マット強度不足等、高温の時期は
ヤケ苗、白化等の発生防止が課題です。
そこで、出芽時に温度の影響を受けやすい無加温出芽育苗で、被覆資材の
検討をしました。

 

02

被覆資材について説明をします。
1 シルバー(T社製)+不織布(J社製)は、通称「シルバーラブ#80」相当です。
2 シルバー(表白)(I社製)は1枚のフィルムで、白色を表面で使用しヤケ苗防止と、シルバーの裏面で保温効果をねらったものです。
3 発泡シート(J社製)はやや厚手のシートで、光線透過率が高く、保温性があります。
4 アルミ蒸着(H社製)は育苗ハウス内で使用されるものです。

03

育苗方法について説明します。
播種時期は4月中旬と5月上旬で、品種はコシヒカリです。
被覆資材の除覆時期は、育苗ハウス1~1.5葉頃、露地育苗1.5葉頃です。
ハウスの換気は、シルバー+不織布の温度管理をめやすに換気をしました。
ただし、平成29年5月12~15日は高温処理のため育苗ハウスを閉め切りました。

04

露地育苗における被覆資材内の温度推移です。
露地育苗についても、育苗ハウスと同様の傾向です。外気温が最高15℃程度に対し、
シルバー+不織布は最高33℃程度と高まりやすく、次いで発泡シートとシルバー(表白)で
最高23℃程度です。アルミ蒸着は最高17℃程度で外気温よりわずかに高い程度です。

05

露地育苗における被覆資材内の温度推移です。
露地育苗についても、育苗ハウスと同様の傾向です。外気温が最高15℃程度に対し、シルバー+不織布は最高33℃程度と高まりやすく、次いで発泡シートとシルバー(表白)で最高23℃程度です。アルミ蒸着は最高17℃程度で外気温よりわずかに高い程度です。

06

育苗ハウスにおける被覆資材内の温度帯分布です。
10℃未満は発芽できる最低温度(8-10℃)、10℃以上~32℃未満は発芽適温から生育、32℃以上~42℃未満は高温障害が発生する温度、43℃以上は最高温度とし20~30分で苗の生長点が枯死する温度とされています。
シルバー+不織布は他の被覆資材に比べ、32℃以上の温度帯がやや多く、43℃以上の高温が8%程度と多くなっています。

07

露地育苗における被覆資材内の温度帯分布です。
4月中旬播種は、被覆資材内の温度10℃未満が30%程度あり、外気温と同等です。
シルバー+不織布は、露地育苗でも他の被覆資材に比べて32℃以上の温度帯分布がやや多く、43℃以上の高温が5%程度と多くなっています。アルミ蒸着は32℃以上の温度はほぼなしです。

08

育苗ハウスにおける被覆資材の適応性です。
適応性は、マット強度、育苗障害を中心に評価しました。
4月中旬播種では、被覆期間7日程度で、マット強度が確保されたシルバー+不織布、シルバー(表白)、発泡シートが適します。
アルミ蒸着はマット形成が劣ります。

09

育苗ハウスにおける5月上旬播種の被覆資材の適応性です。
5月上旬播種では、被覆期間7~8日程度で、マット強度が確保されたシルバー(表白)、発泡シート、アルミ蒸着が適します。シルバー+不織布はヤケ苗が発生し不適です。

10

ヤケ苗の発生とその後の生育です。
不完全葉~1葉抽出期の高温処理により1葉全体が白化します。
除覆後、大部分の2葉、3葉は出葉し生育したが、障害の程度により回復せず枯死したりして、移植直前では苗が生育不揃いになります。
白化症状やヤケ苗は高温がある程度継続することよって発生したが、温度や遭遇時間などの発生条件は判然としませんでした。

11

露地育苗における4月中旬播種の被覆資材の適応性です。
4月中旬播種では、被覆期間13~17日間で、マット強度が概ね確保でき、シルバー+不織布、シルバー(表白)、発泡シートが適します。
アルミ蒸着はマットが形成されず不適です。

12

露地育苗における5月上旬播種の被覆資材の適応性です。
5月上旬播種では、被覆期間は9日程度と短くなり、シルバー(表白)、発泡シートが適します。
シルバー+不織布は1葉の葉先にヤケ(白化)が見られ、ヤケ苗発生のリスクが高くなります。
アルミ蒸着は、温度が上がりにくく、マット形成不良になりやすく不適です。

13

育苗障害の少ない苗づくりのポイントです。
1 被覆資材は、適度な保温性とヤケ苗が防止できる、シルバー(表白)、発泡シートが適します。
2 シルバー+不織布は、4月中旬播種は適するが、ヤケ苗の発生リスクが高くなります。
3 アルミ蒸着は、5月上旬播種の育苗ハウスでも高温が抑制できます。
4 育苗ハウスの換気は適切に行います。

 

 

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