本文
低地力水田におけるコシヒカリ生育量確保のための鶏糞施用
低地力ほ場で、化学肥料を5割低減するコシヒカリ栽培を行う場合、窒素成分4%程度の鶏糞を50~100kg/10a(有効窒素で1~2kg/10a)基肥に追加することで、目標茎数や目標穂数の確保が容易になります。
低地力水田におけるコシヒカリ生育量確保のための鶏糞施用 [PDFファイル/128KB]
低地力水田でコシヒカリの化学肥料5割節減栽培を行った場合に陥りやすい生育不足を鶏糞施用で補う方法を紹介します。
低地力水田において化学肥料を5割節減したコシヒカリ栽培を行った場合に、化学肥料を上限量まで施用しても生育量が不足するほ場が見られ問題となっています。そこで、鶏糞を基肥に追加することで最高分げつ期までの生育量を容易に確保できる方法を検討しました。
今回供試した窒素成分4%程度の鶏糞は、肥料代替可能な窒素量が2%程度含まれます。窒素成分がやや高い鶏糞は、ほ場に投入後、窒素成分の無機化(イネが吸収できる状態)が速やかに行われます。
試験方法は、水分15%の市販の発酵ペレット鶏糞(窒素成分4%)を基肥に追加して、耕うん時に投入しました。
平成25年度の試験結果は、現地ほ場で作土の可給態窒素が高く、初期生育が順調で鶏糞投入による明確な差はみられませんでした。平成26年度の試験は、作物研究センター所内において基肥量を減肥して試験しましたが、春の乾土効果が強く現われ茎数への明確な影響は見られませんでした。
平成27年度の試験結果は、低地力の現地、減肥した所内ほ場とも、移植後約1か月、最高分げつ期の茎数が増加しました。
穂数はやや増加しましたが、収量への影響は明確ではありませんでした。
平成27年度の結果をグラフにしたものです。最高茎数は、無施用に比べ1~2割増加しました。
低地力ほ場では鶏糞を施用することにより、目標茎数や穂数の確保が容易になります。
鶏糞施用時の注意点として、窒素成分がやや高い鶏糞の施用時期は、作業が可能であれば数日以内の耕うん、代かきの方が効果が期待できます。
留意点として、移植直後の茎数を増加させる効果は期待できません。
窒素成分の低い鶏糞(2%)で有効窒素の量を同じくすると、施用量が膨大となります。
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)