本文
2 コシヒカリBLの開発状況と特性
(1)コシヒカリBL品種の育成方法
従来コシヒカリを母に、いもち病抵抗性品種を父として1度交配し、その子供に従来コシヒカリを繰り返し(5回~6回)交配して育成しました。 生育、外観、品質、食味などは従来コシヒカリと同等です。
コシヒカリ新潟BL1号の育成方法(連続戻し交配)
- BL1号~6号及びBL9号~13号は品種登録済み。
- BL9号、10号は、これまで開発したBL8号を母に、BL1号、BL2号を父としてそれぞれ交配し、開発しました。同様に、BL11号と BL12号は、BL7号を母に、BL2号、BL5号を父として交配し、開発しました。
(2)コシヒカリBLの品種構成計画
- コシヒカリBLは、多数のBL品種(BL1号~6号、BL9号~13号)のうち4品種を混合して栽培されています。
これは、異なるいもち病抵抗性を持つ複数のBL品種を混合して栽培することにより、BLを侵す新たないもち病菌レースの出現を抑制し、発病抑制効果を安定して維持するための仕組み(マルチライン)です。 - ただし、同じ品種構成を長く続けると、その品種に感染する新たないもち病菌レース(菌の系統)が現れやすくなるため、2~3年程度で品種を入れ替える必要があります。このため、県内のいもち病菌レースの分布状況を調査しながら、計画的に品種構成を変えていくこととしています。
- 令和5年産のコシヒカリBLは、BL1号、BL2号、BL4号、BL13号の計4品種を混合して栽培されます。
(3)コシヒカリ新潟BL品種の概要
- 特記すべき特徴
〔長所〕いもち病真性抵抗性以外の品種特性は従来の「コシヒカリ」と同じである
〔短所〕従来の「コシヒカリ」同様、長稈で倒伏しやすい - コシヒカリ新潟BL1~4号、10、11、13号の特性
(4)コシヒカリBLのいもち病防除農薬削減について
(1) コシヒカリBL導入による農薬使用量の削減
コシヒカリBL導入により、農薬使用回数(成分回数)は、慣行防除に比べ、約25%削減可能です。
コシヒカリBL導入による農薬使用回数削減の試算例
防除時期 | 削減可能な農薬例(成分数) | 成分回数 |
---|---|---|
出穂前~出穂期直前 | ブラシン (殺菌剤2) | 2回 |
穂ぞろい期まで | カスラブサイド(殺菌剤2) | 2回 |
県慣行防除における農薬使用回数(成分回数):18回 | ||
農薬使用回数(成分回数)削減率 = (2+2)/18×100 = 約25% |
※いもち病多発生地域を除く、平場の試算例
(2) コシヒカリBLの混植によるいもち病発病抑制効果
コシヒカリBLは、従来のコシヒカリに比べ、いもち病の発病度が低くなっています。
平成10年度、平成12年度ともに、抵抗性品種の混合率が高いほど、葉いもち・穂いもちの発病度が低くなっています。
(現行のコシヒカリBL種子の抵抗性系統混合率は、70%)
(3) コシヒカリBL実証ほの葉いもち、穂いもちの発病状況(平成15年度、15箇所)
冷害年であった平成15年度において、コシヒカリBLは葉いもち、穂いもち共に発病株率、発病度は従来コシヒカリと比較して低くなりました。
県下15箇所の実証の結果、コシヒカリBLのいもち病に対する抑制効果が十分に発揮されました。
(4) 葉いもち、穂いもちの発生状況
コシヒカリBLを導入した平成17年度は葉いもち、穂いもち共に発生面積率が低くなっています。
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)