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サクラマス精液の簡易保存法
要約
サクラマス精液をサクラマス用人工精漿で希釈し、冷蔵保存(4℃)することで、雌雄の成熟差の問題を解消し、効率的な種苗生産を行う。
背景・ねらい
本県内水面水産業の重要魚種であるサクラマスについては、各地で種苗生産事業が行われているが、雌雄で成熟差が生じ、種苗生産後期には雄親魚が不足する場合がある。特に、遡上系雄親魚については絶対数が少なく、効率的な親魚の利用が望まれていた。そこで、ふ化場でも導入できるように、家庭用冷蔵庫での保存を想定した簡便な精液保存技術の開発を行う。
成果の内容・特徴
- サクラマス用人工精漿(表1)で100倍希釈した精液は、4℃で冷蔵保存した場合、保存開始から焼く1ヶ月間の活性維持が可能である(図1)
- 10日~2週間程度の保存では、発眼率が50%前後(対照区80%)であり、種苗生産への利用が可能である(図2)。
成果の活用面、留意点
- あらかじめ精液を採取し保存しておくことで、雌親魚の成熟にあわせた効率的な種苗生産が可能となる。
- 保存に使用する精液は、事前に顕微鏡にて活性をチェックすることが必要である。
- 授精時、保存精液の活性付与には、120mMNaHCO3(NaHCO3:10.08gを1ℓの蒸留水に溶解)を添加すること。
- 保存中、細菌繁殖により精子活性が低下することが知られており、適当な抗菌剤を使用することにより、活性維持期間の延長ができる。
具体的データ
その他
研究課題名:サクラマスの保存精液を利用した効率的な増殖技術の開発
予算区分:県単・経常
研究期間:平成11~13年
発表論文:なし