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異質全雌三倍体ニジマス「ミユキマス」の作出

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0053955 更新日:2019年3月29日更新

要約

 ニジマスと異種のアメマスとを交配した異質全雌三倍体(注1ニジマスは、従来の同質三倍体(注1に比べ低酸素に対して強く、2倍体ニジマスと同様の取扱いが可能となった。
 また、2倍体ニジマスと比べて、重大な疾病であるIHN(注2に高い耐病性を持ち、成長が優れ、歯応えのある食感と成熟に伴う肉質の劣化がないことが特長であり、養鱒業振興策の一つとして期待される品種である。

背景・ねらい

 本県養鱒業振興のため高品質な三倍体ニジマス品種の作出が試みられてきた。しかし、従来のニジマス同士を掛け合わせた同質三倍体ニジマス品種は成長には優れるが低酸素に弱い、IHNに弱いことなどから、二倍体ニジマス(通常ニジマス)とは異なる飼育管理が必要であった。このため、異種交配を行うことで取扱いに強く、より高品質な三倍体ニジマス品種の作出を試みた。

成果の内容・特徴

  1. ニジマスと異種のアメマスとを交配し、異質全雌三倍体ニジマス「深雪ます」を作出した。
  2. 飼育試験によると異質三倍体ニジマスの飼育に必要な溶存酸素量は3.5mL/Lと推定されたため、二倍体ニジマスと同様の飼育環境での生産が可能である。
  3. 異質三倍体ニジマスは、取り上げ等のハンドリングに対し二倍体ニジマスと同様の取り扱いが可能である。
  4. 稚魚期に大きな被害をもたらすIHNに対し高い耐病性を持つ。
  5. 成熟しないため成長が良く、それに伴う肉質の劣化も無い。
  6. 生食が可能で、歯応えのある食感が特徴である。

成果の活用面・留意点

  1. 高品質な異質三倍体ニジマスは養鱒業振興策の一つとして奨励できる品種である。
  2. 既存のニジマス養殖施設での飼育が可能であるため、設備投資が不要である。
  3. 2倍体ニジマスと同じ収容量、環境で飼育が可能である。
  4. 2倍体ニジマスと同様の取り扱い(ハンドリング等)が可能である。
  5. 雄親魚としてアメマスを使用していることから高水温には注意が必要である。

具体的データ

表1 低酸素状態での生残数、生残率 低酸素状態での生残数、生残率 の画像

表2 空中暴露によるストレス負荷試験での生残数、生残率 空中暴露によるストレス負荷試験での生残数、生残率の画像1
空中暴露によるストレス負荷試験での生残数、生残率の画像2

図1 限界収容状態と通常飼育での異質三倍体、2倍体ニジマス成長比較
注1) 雌の遺伝子のみで発生(全雌発生)させる三倍体のうち、異種交雑したものを異質全雌三倍体、同種交雑を同質(全雌)三倍体と呼ぶ。
注2) 伝染性造血器壊死症(ウイルス性疾病)。発生した場合の生残率は数%で、有効な薬剤はない。

その他

研究課題名:ニジマス異種間交雑魚の養殖試験
予算区分:県単経常
研究期間:平成15~21年度
発表論文等:平成18年関東甲信越ブロック冷水性魚類養殖担当職員連絡会議において発表

内水面水産試験場 魚沼支場
Tel 025-792-0672
Fax 025-792-8016

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