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生如来「仏画ほほ笑み 取り返す
3月23日(木曜日)放送
三木 ゆかり 記者
放送内容
(佐野局長)=FMながおか 放送局長 佐野 護さん
(三木記者)=新潟日報社 長岡支社 報道部 記者 三木 ゆかりさん
今日は、新潟県・新潟日報・FMながおかコラボ企画「地域の魅力発信します!」をお送りします。 |
(佐野局長) 本日は1月25日の新潟日報朝刊に掲載された「民話の里 訪ねて」の記事を書かれた、新潟日報長岡支社の記者 三木ゆかりさんに、阿弥陀如来の仏画「生如来(いきにょらい)」についての話をお伺いいたします。三木さんどうぞ宜しくお願い致します。
(三木記者) よろしくお願い致します。
(佐野局長) これ、生如来という名前が付いているんですけど、まさに生きている阿弥陀如来ということになるんでしょうか。
(三木記者) はい、そうなんです。見附市杉澤町の岡木幸子さんのお宅の仏壇に飾られている物です。岡木家で先祖代々受け継がれてきていまして、生如来と言われてきました。これは仏画の阿弥陀如来が微笑んだことで、生き仏だと評判になり、杉澤町をはじめ、多くの人たちの信仰を集めてきたそうです。
(佐野局長) これ1月25日の記事を見ると、写真が出ております。岡木さんですね。優しくいらっしゃいますね。
(三木記者) はい、本当にそうなんです。
(佐野局長) それがですね、杉澤町では広く知られた生き仏ということでございます。その微笑んだ理由とは一体何だったのかと。この「生如来」の民話ですね、是非ご説明お願いいたします。
(三木記者) はい。その昔、岡木家の先祖に信心深い弥三右エ門という農民がいました。ある時、旅の僧を一晩泊めたところ、「朝夕拝んでいれば、御利益がある。長く子孫に伝えてください」と、一幅の仏画をお礼に手渡されました。毎日仏画を拝んでいた弥三右エ門は次第に運が開け、子孫代々繁栄したと伝わっています。
(佐野局長) 毎日その仏画を拝んでいた弥三右エ門さんね。御利益まで授けてくださるという如来様なんですね。
(三木記者) はい。そのあとの話なんですけれども、何代目かの弥三右エ門が仏画を洗濯してもらおうと、表具屋に持ち込みました。しかし、この表具屋は仏画の御利益を知っていまして、だまし取ろうと企みます。仏画と同じような軸を二つ集めて、取りに来た弥三右エ門に偽物二つと本物を並べ、こういうふうに言ったそうです。「一緒に洗濯したらわからなくなったので、自分で見分けて欲しい。」と言って、仏画を見せたそうです。
(佐野局長) 本物一つと偽物二つ、三つあるわけですよね。なかなかずる賢い表具屋さんはそれだけ(仏画が)評判だったということにもなるんですよね。
(三木記者) はい、そうですよね。あまりのことに茫然とする弥三右エ門だったんですが、三つ並んだ軸の中で、真ん中の如来様がにっこりと微笑んできたそうです。それで弥三右エ門は本物と見分けることができたそうです。
(佐野局長) ほほ笑みながら無事、弥三右エ門の元に戻ってきたと。どうでしょう、弥三右エ門さんの信心深さがね、この如来様にその思いが届いたんでしょうかね。
(三木記者) はい。そうだと思います。生如来の仏画は一昨年まで、毎年12月28日に、一般にお披露目してきたといいます。岡木幸子さんの義理の弟さんの岡木保さんも、近所などから大勢の人がお参りに来てくれたのを覚えていると、小さい頃の話を語ってくださいました。
(佐野局長) 如来様もどうでしょうね。微笑んで喜んでくださっているんじゃないでしょうかね。
(三木記者) はい。岡木さんのお宅の仏壇の真ん中で如来様はやわらかな表情を浮かべていました。毎日拝むことを欠かさないという幸子さんだったんですけれども、困ったことがあるときに、仏画に手を合わせると、如来様が笑ってくれるように見えるというふうにおっしゃっていました。
(佐野局長) 今もなお、仏壇の中で優しく微笑んでいる、見守ってくださる生如来ということですね。取材を通して感じたことなど是非、最後また一言お願いいたします。
(三木記者) はい。実際にこの仏画を代々守ってきた岡木さんにお話を聞きまして、困ったときに、この仏画に手を合わせると、笑ってくれるように見えると、心の支えになっているというお話を聞きまして、とっても取材してほっこりしまして、今、一般に広く公開しているものではないので、直接見ることは難しいかもしれないんですけれども、新潟日報の紙面で見ていただけると嬉しいです。
(佐野局長) 見附市杉澤町にある阿弥陀如来の仏画「生如来」の物語を知りたいという方は是非、1月25日の新潟日報朝刊、「民話の里 訪ねて」の記事をご覧ください。三木さんどうもありがとうございました
(三木記者) ありがとうございました。
(佐野局長) 次回の放送は、3月30日木曜日、最終回です。番外編「民話研究に生涯ささげた 水澤謙一さん」の記事を書かれた三木ゆかりさんが登場します。 |