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技術委員会電子会議室(弁の開度表示に係る不適合について)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0043371 更新日:2009年6月3日更新

議題

 柏崎刈羽原子力発電所7号機の起動試験中の5月15日、復水器から原子炉へ水を給水するポンプの先にある弁の開度表示について、現場と中央制御室との表示に違いがあることが確認されました。この修理のため、原子炉を未臨界状態にして点検を行いました。
 なお、原子力安全・保安院は原子炉は安定した状態であり、安全上の問題はないと評価しています。

これらの資料をご覧いただき、ご意見をお寄せください。

委員意見

委員 ご意見等

代谷座長
(5月18日)
 起動試験は、営業運転を開始する前に、実際の運転時に機器等が正常に動作することを確認するために行うもので、いろいろな不具合を洗い出すことも目的の一つとしている。不具合が見つかれば、それが及ぼす安全上の影響について慎重に検討し、発生原因を究明し、適切な措置を講じることが必要である。
 今回の弁の開度表示にかかる不具合は、直接原子炉の安全性に影響を及ぼすものではないと考えるが、引き続き慎重に、注意深く起動試験を進めて欲しい。
鈴木(賢)
座長代理
(5月18日)
 地震後の起動試験において、色々な機器・計器等に沢山の不具合が起こり得ることは想定されたことであるから、今回の様な不適合で試験を中止する必要はなく、慎重な原因究明と対策を実施し、起動試験を着実に進めること。
 本不適合事象の推定原因として、開度発信器に加わる振動が挙げられているが、その大きさが地震前と比べて有意(想定以上)であったならば、原因究明をしっかり行うとともに、再発防止のためにも、振動発信元となった機器(系統)の対策を取ること。
東京電力の回答
原因調査の結果、弁の振動によって、弁開度発信機のゼロ点調整のアジャストがずれて検出器の出力がドリフトしたものと分かりました。
当該計器は、センサー部、増幅回路(校正アジャスト機構を含む)が一緒になった一体型の開度発信機でした。今回の対策処置として計器は予備品と取替え、アジャスト調整のネジ部は緩み止めのロックタイトを塗布してずれない様に固定しました。また、監視カメラをセットし、弁開度ゲージの読み取りにバックアップとしました。
なお、流体が流れる弁自体の振動をなくすことは困難ですが、振動に強いタイプの機器への変更を検討しています。弁の開度表示に用いる機器には、当該品のように一体型で、(振動が出る)弁自体に取り付けるタイプの他に、センサー部分のみを弁体に取り付け、増幅(校正)機能は分離して振動の出ない場所に設置するタイプ(LVDT)があります。振動の影響を受けにくく柏崎でも既に採用実績があります。7号機についてもこのタイプに変更することを検討しています。
吉川委員
(5月18日)
コメント
 プラント計装では、中央制御室の表示や制御系、安全系への入力信号と実際の計測器信号との間で校正が行われますが、そのような校正すべき測定機器は数千点にも及びます。とくに安全系に使用する温度、圧力、原子炉出力などの計測器の校正は正確に行うことがプラントの安全運転上重要です。
 プラント停止時に校正した計装信号は実際は長時間の運転中わずかですがじわじわずれていきます。これをドリフトといいますが、安全系の設定ではドリフトの影響も考慮して安全側に設定されますし、また、プラント停止のたびに各計装の校正が行われます。今回のずれを起こした計装は流量を制御する弁の開度を測定するものであり、直接安全系には関連しませんが、BWRにはチャンネル間流力振動や核熱ー流動結合振動を起こさないように、運転中、原子炉出力ー原子炉流量特性曲線において、許容運転範囲が設けられています。その意味で、流量を制御する弁開度信号の校正がずれないようにすることも安全上は重要です。
今回の事象に対する質問
 以上の計測制御系の安全性確保の点から下記について、詳しい説明をお願いします。
(1)なぜ流量を絞った運転をしていたのか?
東京電力の回答
事象の発生時点は、発電機を並列する直前で原子炉出力は10数%程度の低出力の状態でした。給水量は原子炉の出力に見合った量としますので、この時点の給水量は小さいレベルでした。7号機の給水システムは、炉出力が低く給水流量が小さいときは電動駆動給水ポンプ、出力が上がってくるとタービン駆動の給水ポンプを使用します。この時点では、電動駆動給水ポンプ1台の能力の半分程度の流量に絞っていました。
(2)流量を絞った運転をすると何がなぜ振動するのか?
東京電力の回答
配管の取り回しや、弁などによって流れが乱されることが振動源です。電動駆動給水ポンプは一定の出力で運転しており、給水量はポンプ出口の流量調整弁の開度で増減させています。事象が発生した時点は、給水流量が小さいので流量調整弁が絞り込まれています。弁は絞り込んだ場合の方が流れを乱して振動が出やすいく、事象発生時点で当該計器には振動が加わっていました。
(3)振動が起こるとなぜ校正するねじが緩むのか?どちら側に緩むのか?
東京電力の回答
当該の計器の点検・調査の結果、機械的可動部に異常は認められず、また、出力特性のリニアリティーも正常でした。ただし、ゼロ点調整がずれており、マイナス側にドリフトしていました。このことから、計器のゼロ点調整(ネジで調整する)が振動でズレたものと推定しています。計器がドリフトし、中央操作室の計算機の受付範囲外となったため、「異常値」と判定されたものでした。なお、弁開度が少ない時にドリフトの向きがマイナス方向であったことから、計算機にマイナス値が入ってきて、また、マイナス側のデータ受付範囲は大きくないことから、「異常値」判定となったものです。振動で、ゼロ点調整ネジがどちら向きに緩むかは、そのときの状況によるもので一概には言えないと考えます。
(4)また振動が起こっても校正が緩まないねじにすることが、本当に問題の解決になるのか?振動すること自身に問題はないのか?
東京電力の回答
当該計器は、センサー部、増幅回路(校正アジャスト機構を含む)が一緒になった一体型の開度発信機でした。今回の対策処置として計器は予備品と取替え、アジャスト調整のネジ部は緩み止めのロックタイトを塗布してずれない様に固定しました。また、監視カメラをセットし、弁開度ゲージの読み取りにバックアップとしました。
なお、流体が流れる弁自体の振動をなくすことは困難ですが、振動に強いタイプの機器への変更を検討しています。弁の開度表示に用いる機器には、当該品のように一体型で、(振動が出る)弁自体に取り付けるタイプの他に、センサー部分のみを弁体に取り付け、増幅(校正)機能は分離して振動の出ない場所に設置するタイプ(LVDT)があります。振動の影響を受けにくく柏崎でも既に採用実績があります。7号機についてもこのタイプに変更することを検討しています。
(5)プラントには弁は沢山あり、弁以外にも今回の表示器と同様に校正からずれる恐れのあるものは多数あると思いますが、今回運転再開に際して計器の校正はどの程度念をいれてやられたのでしょうか?事前の検討状況はどうだったのでしょうか?
東京電力の回答
プラントには多数の計器がありますが、この例のように比較的振動の大きな機器に直付けになっているものは(現場指示確認用の簡易なゲージ類は別として、)まれであり、7号機で同型の計器は全部で6台でした。これら全てについて対策処置を行ないました。また、地震後の点検にて計器全数の点検を行なうなど、点検には意を配ってきたところで、当該品も起動前の点検では故障はありませんでした。
計器全般の点検は専門のスタッフにより実施しますが、事前に点検の要領を整備し、結果の記録を残し、重要な制御やインターロックに関しては、システムとしての機能確認をするなど的確な整備に努めているところです。また、安全機能に関わる重要な計器は多重化しており、設備面でもシステムの信頼性を確保する設計としております。なお、今般の故障は、中央制御室のコンピュータによる検知機能(異常値判定)により検知されており、このように、日常の運転管理はもとより、様々な段階で設備の状態把握に努めています。
なお、低炉心流量域での炉心安定性については、BWRの運転管理では炉心安定性が低下する運転範囲(低炉心流量かつ高出力)の運転を避けるようにしており、今般の運転状態は出力が低いので炉心安定性を注意すべき状態とは異なりますが、炉出力(熱出力)、炉心流量などに係る測定の重要性はご指摘の通りです。これらについては、所与の出力状態で十分に信頼しうる実績を有しておりますので、問題は無いと考えておりますが、起動試験の中で運転領域についても慎重に遵守してまいります。
全般的コメント
再起動に際して今後もいろいろな機器にトラブルが発生するかも知れませんが、問題は地震を受けたプラントを再起動する際に留意すべき事項を、実際の起動試験の実施全般を通じてしっかり把握していくことが大事だと考えます。
そのためには、今回発生したトラブルが地震以前のプラント起動時に経験したトラブルと比較してどうか、地震による急停止の影響があるのか、等に留意して分析しながら起動試験を慎重に進めることが重要と考えます。
角山委員
(5月18日)
(1)「原子炉給水ポンプの給水流量調整弁の開度表示の不適合について(原子力安全保安院)」中の下から13行目に「上記ゼロ点調整部等を固定する処置をし、振動対策を強化したものと交換し」とありますが、これは「ゼロ点調整部の動作を停止」させるということでしょうか。また「遠隔監視カメラを設置し、当該弁の開度を常時監視できるようにする」とありますが、今後このような監視を続けるということでしょうか。
東京電力の回答
ゼロ点調整部の機能を停止するのではなく、ゼロ点調整部の調整ネジに回り止めの接着剤のようなもので固定しました。また、当該機器の運転時にはカメラによる監視バックアップを実施しました。なお、電動駆動給水ポンプは、原子炉起動の初期段階といった出力が低い状態で使用するものであり、20%出力段階にてタービン駆動給水ポンプに切り替わりました。
(2)同上(1)の資料1ページの「(1)不適合の概要」には「本年5月15日」と書かれ、また2ページ目上から7行目には「また、本年5月11日に発生した 開度表示のずれについては」とありますが、5月11日5:09に発生した原子炉隔離時冷却系ポンプが停止出来ない事象との時間関係はどのようになっているのでしょうか。
東京電力の回答
原子炉隔離時冷却系の蒸気止め弁の事象と電動給水ポンプの流量調節弁開度表示器の事象は別々の事象です。原子炉隔離時冷却系の件が5月11日に発生し、それとは独立に電動給水ポンプ(A,Bの2系統あります)のうちA系統の開度表示器にずれが見つかり調整したのが5月11日になります。その後、5月15日に給水ポンプの今度はB系で開度表示器の不具合が発生したもので、いずれの事象も独立したものです。

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